ポンド/円は我々が監視しているクロス円ペアの一つである。日銀の介入とみられる動きの後、および水曜日に見られたおよび債券利回りの低下を受けて、今後さらに下落する可能性があるためだ。
日銀が為替市場に介入したという確証はないものの、火曜日には米ドル/円や他のクロス円ペアが大きく下落したことは介入の可能性を示している。当時は何のニュースもなく、150.00円付近での利益確定売りが要因であったとは言えるが、ほんの数秒の間にレートが200ピップス以上も下がるほど大きな要因ではありえないだろう。
外国為替市場では今年に入ってから円以上に弱い主要通貨はなかった。日本円のパフォーマンスが最も悪いのは、2つの大きな理由による。まず第一に、何よりも日銀の現在の政策スタンスだ。他の主要中央銀行が過去2年間、積極的に引き締めを行ってきたにもかかわらず、日銀は異次元緩和の政策スタンスを維持してきた。第二に、日本は石油輸入国であるため、為替レートの下落によって原油価格がさらに割高になっている。これが消費者の可処分所得をさらに厳しいものにしている。
しかし原油価格が下落しつつあり、水曜日には利回りが急落したことで、円は今後さらに買われる可能性がある。利回りが再び低下し始めれば、円のような低利回り通貨は相対的に魅力的になるだろう。その上、日本が介入を強化する可能性もあり、円の下値は限られるかもしれない。
水曜日には利回りが急降下し、火曜日に急落した米ドル/円や他のクロス円通貨に圧力をかけ続けた。今日は目下のところ、この下落の勢いはやや停滞しているものの、世界経済の低迷が米国に追いつき始めたことで、債券利回りに再び弱さが忍び寄り始める可能性は十分にある。
本日の週間新規失業保険申請件数は健全な労働市場を示しているが、ADP民間雇用者数がもっと信頼できるものであれば(実はあまり信頼できるものではない)、雇用はようやく冷え込み、インフレ圧力をさらに緩和するのに役立つだろう。水曜日に見られた原油価格の5%の大幅下落、そして今日までの2%の追加下落も、インフレリスクを低下させている。そのため、水曜日が天井だったのか、それとも5%への上昇を前にした一時的なストップだったのか、債券利回りからは目が離せない。今週の経済カレンダーの主なマクロイベントは米国の非農業部門雇用者数だ。この数字が発表される前後には、かなりのボラティリティが予想される。
英国にとっては状況は良くなるばかりか?そうとも言えない。英国経済は腰折れ状態で、それはここ数週間のポンドの全面安に表れている。来週木曜日には、最新の月次GDP速報値、さらにいくつか英国の経済指標データが発表される。前回、8月の月次GDP速報値は予想を大幅に超えた0.5%という落ち込みを示し、7月の上昇分を帳消しにした。夏の暑さが9月の成長にどのような影響を与えたかが気になるところだ。英ポンドの強気筋にとっては急反発が欲しいところだが、そううまくいくだろうか。
購買担当者景気指数(PMI)をはじめとする経済の先行指標は、縮小領域(50.0未満)にとどまっているだけでなく、低迷のペースも悪化している。製造業PMIは13ヵ月連続で50.0を下回っており、うち過去6ヵ月にわたっては低下の予想をさらに下回る下落を示している。サービス業PMIは数ヶ月前に50.0を下回ったばかりだが、これも過去5ヶ月連続で予想を下回っている。
PMIは、英国の短期的な見通しが暗いことを示唆している。そのため、ポンド/円や他のクロスポンドペアの急速な回復は考えにくい。
ポンド/円は、直近の180.80円を含め、いくつかの短期的なサポートレベルをすでに割り込んでいる。火曜日の急落以降価格は順調に回復しているものの、今やレジスタンスラインとなった180.80円の下にとどまっている。このため短期的にもっとも抵抗が少ないのは依然として下落方向であり、グッピーが180.00円のサポートを割り込むことがあれば、本格的な値下がりが始まるかもしれない。この場合、176.30円が次の下値目標となる可能性がある。
上昇方向だが、強気筋に有利なバランスを取り戻すには、弱気のトレンドラインを上抜けする必要がある。このシナリオが実現すれば、同通貨ペアの短期的な弱気バイアスは打ち消されるはずだ。
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