新しい月の始まりにあたって、アジア太平洋地域、欧州、米国で購買担当者景気指数(PMI)の速報値発表が多数予定されている。さらに米国の製造業とサービス業を対象にした企業調査による昔ながらのISMレポート、日銀短観、またオーストラリア準備銀行(RBA)やニュージーランド準備銀行(RBNZ)といった中央銀行の会合も控えている。そして今週の締めくくりとして、トレーダーが注目する非農業部門雇用者数が金曜に発表される。それに先立って求人労働異動調査(JOLTS)、新規失業保険申請件数、ADP雇用者数レポートも注目を集めるだろう。これ以上の銀行破綻がないとすれば、経済データと利回りが再び金融市場を動かす要因として戻ってくるはずだ。
投機筋が外国為替とコモディティ市場でどのようなポジションを取っているかについては、毎週発表されるトレーダーのコミットメントに関するレポート(COT)を参照してほしい。(米国時間日曜深夜、アジア時間月曜早朝に更新)
PMIデータは今後の経済成長の可能性を先取りして示す指標としてつねに注視されている。一般に速報値の発表が注目を浴び、特に増大または縮小(50を超える/切る)のサプライズがあったときは市場のボラティリティが高くなる場合がある。しかし中央銀行が金融引き締めのサイクルを近いうちに終えるかどうか、トレーダーたちが見極めようとしている中で、PMIのデータセットはこれまでになく重要になっている。
今週はサービス業、製造業、複合PMI(サービス業と製造業を合わせたもの)、そして昔ながらのISM景気指数レポートが発表される。最近関心を集めているのはサービス業のPMIが予想よりも速く増大していること、そして製造業の契約が伸び悩んでいることだ。また「支払い価格」も世界的なインフレ圧力の見通しを示すものであり、同様に「新規受注」もインフレ率の総合値の先行指標となる。
この指標もつねにトレーダーの注目を集めるもので、特にFRBが市場の圧力に屈して今年中に利下げを一旦停止するか、あるいは利上げを継続するのかをトレーダーが見極めようとする中、かつてなく重要になっている。最終的には、歴史的な基準からすると雇用情勢は引き続きひっ迫しているものの、以前ほどではなくなっている。雇用の伸びという点では、過去3か月のNFPはいずれも23万9,000人を超えており、30万人を超えた月と50万人を超えた月があった。それでも12か月間のトレンドとしては明らかに下降傾向にあり、雇用の伸びは緩やかに勢いを失いつつある。ADPは引き続き安定しており、雇用参加率は上昇傾向にあるが、失業率上昇と不完全雇用の谷に向かうごく初期の兆候が表れている。インフレ率が依然として4%を超える中、雇用が減少に転じ、失業率が大幅に上昇するまでは、FRBが「利下げ」という言葉を検討するかどうかさえ疑わしい。そのためNFPレポートが堅調な値を打ち出してきた場合、米ドルが買い圧力にさらされる可能性が残る。
RBAが火曜日に25bpの追加利上げを実施するのか、あるいは金利据え置きとして記録的な引き締めに終止符を打つのかは、ソーシャルメディア上で熱い議論になっている。公平を期すために言えば、どちらのシナリオにも確かな根拠がありる。インフレ率は目標である2~3%の2倍以上をつけており、今後順調に低下することもなさそうだ。ただしRBAの総裁本人によると、現在のインフレ水準ではなくインフレ飲み込み(これは十分に固定されている)に基づいて政策を決定しているという。しかし雇用市場はまだひっ迫しており、支出は軟化しつつも依然として拡大傾向にある。筆者としてはタカ派的保留となる可能性が高いと考えている。つまり今月のインフレ率も緩和していることから金利は据え置きとし、四半期でのインフレ率が不都合なほど高ければ5月に再度利上げをする選択肢を残すということだ。この場合、利上げまた据え置きの決定それ自体よりも声明文のメッセージが重視される可能性が高い。
さらに会合翌日にはロウ総裁の講演が予定されており、声明文のメッセージに誤解があった場合はそこで微調整することもありうる。「利上げの一旦停止」の話題がまた空振りに終わるのかどうか、オーストラリアドルにとっては重要な週になるだろう。
金融市場がRBAの金利据え置きを確信している一方、エコノミストの間では意見が分かれている
RBNZのチーフエコノミストは先週、OCV(オーバーナイトキャッシュレート)はほどよく高めであり、経済に対して望ましい契約効果をもたらしているとともに、需要減少の歓迎すべき兆候があると述べた。またニュージーランドは穏やかな景気後退に入りつつあるようで、それ自体デフレの効果がある。これは4.75%での金利据え置きを正当化するには十分だろうか。おそらくそうは言えないだろう。RBNZは第1四半期のインフレ率を7.3%と予想しており、2月の会合で「50bpの引き上げに重点を置いた」議論が行われ、25bpの利上げはあまり考慮されなかった。
しかし来週はおそらく25bpの利上げが正当化されるだろう。景気後退の可能性が浮上する中で、金利据え置きと50bpの強硬な利上げの間の良い妥協点になるからだ。1か月物オーバナイト・インデックス・スワップ(OIS)は4.96%で、これは金融市場が25bpの利上げを強く望んでいることを示唆している。これから週末にかけてエコノミストの見解が明らかになるだろう。
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