米国の非農業部門雇用者数(NFP)が予想を上回る上昇を見せる中、米ドル/円は今週初めから引き続きより安値圏での高値と安値をつけている。消費者物価指数(CPI)の最新の値もインフレの継続を示すと予想されることから、今後も米国で発表される経済データが為替レートを揺さぶる展開が続きそうだ。
米ドル/円は3月の高値(137.91円)の到達に失敗した後、そこまでの値動きを逆にたどっているように見受けられた。相対力指数(RSI)も同様の動きを反映し、買われすぎの領域に戻りつつあった。しかしNFPの25万3,000人という数値が引き続き労働市場のひっ迫を示していることから、FRBによる金利決定の後米ドル/円はこれまでの下落から逆戻りしている。加えてインフレ継続の兆候が中央銀行に対策へのプレッシャーをかけ、為替レートのさらなる回復につながるかもしれない。
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総合CPIは3月の前年比5.0%から今回は4.4%まで下落すると予想されているものの、コアCPIのほうは同じく3月の5.6%から今回は5.8%に上昇すると見込まれている。
コアCPIが上昇すれば、FRBが2023年中に利下げを実施する見込みが下がることから、米ドル価格の強気な反応につながる可能性がある。市場参加者は政策の転換が迫っていると予想しているが、今後の展開によって金融政策が変わるかはまだ不透明だ。
出典: CME
パウエル議長と仲間たちが「もし金融政策のさらなる引き締めが必要であれば、それを進める準備がある」と述べているにもかかわらず、CME FedWatchツールは依然として今年の終わりまでに米国の金利が下がるという見込みを反映している。特に日銀が「1年~1年半程度の時間をかけ、これまでの政策の多角的なレビューを行う」予定であることから、このFRBの政策転換への思惑は米ドル/円価格を年間レンジ内に抑える可能性がある。
それを踏まえた上で、米ドル/円価格は今週初めからより安値圏での高値と安値をつけている中、月の高値(137.78円)からの下落を逆にたどろうとする可能性がある。さらに米国のコアCPIが上がれば、FRBが金融政策引き締めの強化を視野に入れる見込みも上がり、米ドル/円価格の維持につながる可能性がある。
チャート作成:ストラテジスト、David Song
米ドル/円は一時3月の高値(137.91円)に向けて値を戻しつつあるように見え、相対力指数(RSI)も同様の動きを反映していたが70を超えて上がることはできなかった。
補足資料:
米ドル/カナダドルは4月の高値に向け反転、月の始値が焦点に
原油価格見通し:売られすぎを示すRSIの影響を受けやすい状態に
— 文責:ストラテジスト、David Song
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