米ドル/円は200日間移動平均(137.47円)を割り込み、2022年12月の高値(138.18)を前に反転しつつあるようだが、日本銀行(日銀)は金融緩和を続けると見られていることから、今後の政策金利決定次第ではここ最近の値下がりが帳消しになる可能性もある。
米ドル/円では今週初めに見られた大きな値動きがなくなり、相対力指数(RSI)は買われすぎの領域より下にとどまっている。オシレーターでは強気相場の勢いが弱まっていることから、相場はこれまでの値上がりを帳消しにして値下がりに転じる可能性もある。
とはいえ、黒田東彦総裁の最後の会合でも日銀は量的・質的緩和(QQE)とイールドカーブコントロール(YCC)を維持すると見られており、政策委員会がハト派的な金融政策のフォワードガイダンスを続けていることから、日銀がさらに現在の路線維持を発表すれば日本円への向かい風になる可能性もある。
一方、FRBのジェローム・パウエル議長がさらなる金利引き上げを示唆したことから、米ドル/円は今月の安値(135.26)よりも上を維持する可能性もある。さらに非農業部門雇用者数(NFP)レポートでは雇用と賃金のさらなる上昇が見込まれていることから、米国での経済データ発表も引き締め政策強化の予想をより強めるものになるだろう。
米国での2月の新規雇用者数は20万5,000人と予想されており、平均時給はここ2か月の減速の後、今月は前年同月比で+4.7%まで上昇すると見込まれている。経済の好調が続けば、連邦公開市場委員会(FOMC)がより大規模な利上げを実施する圧力となるため、米ドルは強気相場に入る可能性がある。日米の金融政策の道筋の乖離から、22日のFRBでの金利決定を前に、今後も円に対してドルの強い状態が続くかもしれない。
これを踏まえ、米ドル/円では、日銀が方向転換に消極的であることから、2022年12月の高値(138.18円)を再度試す可能性がある。しかし200日間移動平均(137.47円)を維持する勢いがないことから、RSIが買われ過ぎの領域に入る前に短期的に値下がりするかもしれない。
チャート作成:David Song、ストラテジスト
米ドル/円では2022年12月の高値(138.18円)を超えず、今週初めに見られた大きな値動きがなくなり、200日間移動平均(137.47円)より上を維持するのが難しくなっていることから、相対力指数(RSI)は依然として70未満にとどまっている。
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