米ドルはいくつかの重要なレジスタンスを再び試そうとしており、今週はこれから市場動向を左右する重要な材料が2つ発表される。明日はサービス業PMI、明後日には6月の非農業部門雇用者数が発表される予定で、米国の雇用市場の最新の状況が明らかになる。今日の材料としては前回FOMCの議事録の発表があり、この時は2022年1月以来初めて利上げが見送られた。しかしパウエル議長とFRBが金利決定時に述べていた通り、当局はこのまま利上げを停止するつもりはなく、今後どれほど積極的な引き締めを行うべきか今後のデータを見て判断しようとしている。その鍵となるのが雇用状況で、これは金曜日に発表されるNFP報告で明らかになる。
今日の議事録公表の前後、米国の10年物国債債利回りは強い反応を示し、ここ3ヵ月で最高の水準となって4%の大台に急接近した。
米国10年物国債利回り、日足チャート(参考用、FOREX.comプラットフォームでは利用できません)
チャート作成:James Stanley、データ提供:Tradingview
米ドルは、2023年前半の取引ではらせんを描くように価格が上下しており、ある程度の積極的なトレンドの影響が残っている。2021年と2022年の最初の9ヶ月間は米ドルの強気筋が支配的で、FRBによる金利上昇が為替市場に織り込まれたことから、米ドル/円、ユーロ/米ドル、さらにはポンド/米ドルなどの市場で大きなトレンドが発生した。
しかし昨年の後半にインフレ率が軟化し始めると、市場はFRBが利上げのペースを落とし、いずれは利下げに入るという期待を抱き始めた。このテーマは3月に米国の銀行セクターのリスクが表面化したことでいっそう強まり、FRBが銀行セクターのリスクに対応して今後は金融政策の緩和に動くのではないかという見方をもたらした。
これは特に、2022年第4四半期から翌年1月まで続く強力な弱気トレンドにつながった。
しかし米ドル指数では2月2日にサポートが形成され、続いて2月3日に公表された1月のNFPが非常に好調であったことから、6週間の強気相場のサイクルが始まる。この流れは3月中旬まで続き、そのころには銀行セクターに関する懸念が市場を支配していた。
米ドル – 米ドル指標(DXY) 週足チャート(参考用、FOREX.comプラットフォームでは利用できません)
チャート作成:James Stanley、データ提供:Tradingview
DXYの日足チャートからは、2つの異なるフォーメーションがまだ視野に入っていることがわかる。弱気相場の側としては弱気の三角持ち合いがあり、これは強気派が弱気のトレンドラインを越えて強気のブレイクアウトを遂げない限り、あるいはブレイクアウトが起きるまで残り続けるだろう。このトレンドラインは5月下旬から6月上旬にかけて問題となり、最終的に弱気筋が価格を102まで押し下げるまで、11日間中10日間にわたって高値を支えていた。
しかし102ではまだ過去のスイングローにあたる101を上回っており、今後の強気相場の初期の兆候である可能性もある。
一方では100.87のサポートが2度にわたって維持されてきたことから、二重底形成の可能性が残されている。二重底はしばしば強気の反発に向けたアプローチを受けるが、その形成のためには強気筋がネックライン(下のチャートの105.88に示した2つの安値の間の高値)を超えてブレイクアウトする必要がある。
しかしそのどちらかが実現する前に、米ドル指数の短期的な値動きとしては、最後に102を試してから高値と安値がともに上がり続けている。頭上のレジスタンスラインは2022年の終値水準である103.45で、その先には弱気トレンドラインが控えている。トレーダーとしては日足終値でのこのトレンドラインのブレイクアウトを確認したいところだ。これまで強気筋が何度かこの水準を超えようと試しているものの、値上がりを維持できずに終わっている。
以上の構図から、値動きに影響を及ぼす重要な材料が2つ発表される今後数日間で、この重要なレジスタンスを試す展開が考えられる。もし強気筋がこのレジスタンストレンドラインを終値で突破することができれば、弱気の三角持ち合いが無効となり、米ドルの強気トレンドがより魅力的に見え始めるだろう。もし弱気筋が再び上値を抑えれば、103~102のサポートラインを再び試す可能性をはらみつつ、このレンジ相場が続くと思われる。
米ドル – 米ドル指標(DXY) 日足チャート(参考用、FOREX.comプラットフォームでは利用できません)
チャート作成:James Stanley、データ提供:Tradingview
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