今日のFOMC金利決定ではサプライズはほとんどなかったが、おそらく最も重要な帰結は、パウエル議長が今後の政策の方向性についての明言を避けたことだ。FOMCの今後の方向性はデータ次第であり、9月の次回会合で何をするかはまだ決めていないとパウエル議長は繰り返し述べた。
昨日のWebセミナーではこの点について触れたが、この「データ次第」という要素はおそらくハト派的と見ることができる。FRBに追加利上げを約束させない一方で、必要であれば追加利上げを行う可能性も残しているからだ。
最初の反応は強い米ドル安展開で、米ドル指数(DXY)は100.87のサポートレベルを試した。これにより売りの勢いは失速し、反発から弱気の値動きを多少埋め合わせる形で値が戻った。現時点でDXYは、依然として過去のサポートである101.05を下回っている。
しかし日足チャートを見る限りは、強気・弱気のどちらの側にも向かう可能性があり、明日のECBの金利決定がこの問題に何らかの影響を与えるだろう。
DXYでは、前のブレイクダウンの50%にあたる101.50を維持していることから、長期的な弱気ブレイクアウトの可能性がまだある程度残っている。しかし、より短期的な強気サイドでは、このレジスタンスへの反応ではまだ100.80レベル付近の重要なサポートレベルを下回っていない。
米ドル – DXY 日足チャート (指標のみ。FOREX.comプラットフォームでは利用不可)
チャート作成:James Stanley、データ提供:Tradingview
今日の金利決定会合でFOMCはあからさまにタカ派的な姿勢を見せはしなかったものの、ECBのほうはここ最近かなりタカ派的だ。最近の欧州の経済データが不調を示していることから、ECBがどの程度タカ派的な姿勢を維持できるのかは疑問である。ユーロ/米ドルでは、今週すでに何度か言及したのと同じ状況が影響を及ぼしているが、これはいわば上記の背景の鏡映しと言える。
ユーロ/米ドルは、数週間前の米消費者物価指数(CPI)データ発表に伴う米ドル安の後、強気のブレイクアウトを見せた。そして、その後のプルバックから始まり、今年前半に何度かレジスタンスレベルとして機能していた1.1000~1.1100ドルに戻るまで値下がりが続いた。
下のチャートでは、ユーロ/米ドルが6日連続で下落した後、初めて値上がりの日を迎えていることが見て取れる。これは売られ過ぎの反動かもしれないが、過去のレジスタンスラインだったサポートラインが試されていることから、明日のECB理事会前後で強気相場に入る可能性は十分にある。
短期的なレジスタンスラインは1.1108ドルで維持されており、その少し上の1.1145ドル付近がもうひとつのレジスタンスとなっている。サポートとしては現在の安値が1.1027ドルで、その下に1.1000ドルのレベルが控えている。この水準が試されることになれば、ユーロ/米ドルの次のレベルとして1.0943ドルが注目される。
ユーロ/米ドル 日足チャート
チャート作成: James Stanley, Tradingviewのユーロ/米ドル
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