米連邦準備制度理事会(FRB)と日本銀行(BOJ)が相反する金利決定を下すと見られることから、今後数日間は米ドル/円にとって極めて重要な時期になる。この状況では、どちらかの方向にも爆発的な動きが起きる可能性がある。現在の国内経済の弱さを考えると、日銀はインフレが一過性のものであると言い切ることはできない。そのため今後24時間はかなりの部分、米国の債券市場の動きに左右されるだろう。リスクバランスに基づくと、米ドル/円にとって最も抵抗の少ない道は依然として値上がり方向であるように思われる。
今週すでに述べたとおり、過去3ヵ月間の米国経済の底堅さから、FOMC当局者は9月の金融政策決定会合でタカ派的な見方を維持する可能性が高く、GDP予想の修正にも上方寄りのバイアスがかかるだろう。FOMCの各委員による年末時点でのフェデラル・ファンド金利予測のドットプロットは、引き続き今年中にもう1回利上げが行われる見通しを示すと思われるが、経済成長がトレンドを上回るペースで推移する中、失業とインフレのリスクが変化していることを踏まえると、2024年の緩和は縮小されるだろう。
この動きは、エネルギー価格の高騰が下流のインフレ圧力に拍車をかけていることと相まって、米国のイールドカーブを上昇させるリスクがある。火曜日にはベンチマークとなる10年債を含む多くの期間の債券が新たなピークをつけた。米ドル/円は日米間の利回り格差と強い相関があることから、この状況は米ドル/円にとって重要だ。
FRBから発信されるであろう穏健なタカ派的メッセージとは対照的に、日銀は経済に波及している最近のインフレのさざ波が持続するかどうか確信が持てない。日本の経済活動の半分以上を占める家計支出は懸念を呼ぶほどに弱く、日銀が切望する成長力強化、賃金上昇、持続的なインフレ環境の見通しに影を落としている。
好循環が機能していると確信できるまでは、異次元の金融緩和政策を続ける以外のことはできない。これはつまり、日本の利回りに対する米国の利回り、ひいては米ドル/円の方向性リスクは高止まりする可能性が高いということだ。
下記で示した通り、日米のベンチマークである10年債利回りのスプレッドは最近になって失速しており、米ドル/円の日足チャートでも同様の動きが見られる。
出典:Refinitiv
米ドル/円は7月以来の上昇トレンドを割り込んだものの、再び上昇トレンドに戻るための唯一の障壁は148.00円の強いレジスタンスだ。ここはまだ突破されていないが、真のテストは、利回り格差が再び上昇した場合、売り手がまだ価格を守る気があるかどうかだろう。筆者は疑問に思っている。149.00円まで、そして昨年つけた152.00のすぐ下にあたるここ数年の最高値までは、目に見えるレジスタンスラインがあまりないことを考えると、ロングを建てる前にブレイクアウトが欲しいところだ。
このようなリスクイベントがあるにもかかわらず、148.00のレジスタンスが強く維持され続ければ、米ドル/円のバイアスは下降に転じる可能性もある。しかし、まずは様子を見るべきだろう。
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