米ドル/円は今月の安値(144.45円)を前に反発し、今週初めからの下落を戻しつつあるようだ。米国の消費者物価指数(CPI)が強固なインフレを示した場合、為替レートは2022年11月の高値(148.83円)をさらに試そうとする可能性がある。
米ドル/円は、前週に今年の高値(147.88円)を更新した後、底堅く推移している。日銀がイールドカーブ・コントロール(YCC)と量的・質的緩和(QQE)に固執する中、米国発の動向が為替レートを左右するかもしれない。
日銀政策審議会の中川淳子委員による最近の発言は、日銀が政策転換を急いでいるわけではないことを示唆するものであり、「政策委員による消費者物価指数(生鮮食品を除く全品目)の前年比変化率の見通しは、2023年度が2.5%、2024年度が1.9%、2025年度が1.6%」という。
日銀は「持続的かつ安定的に2%の物価安定目標を達成する」という公約を掲げ、緩和サイクルを継続するようだ。一方、米国の8月の主要消費者物価指数(CPI)は前月の前年比3.2%から前年比3.6%まで上昇すると予想されていることから、米連邦準備制度理事会(FRB)が現在の方針の金融政策を維持するかどうかは未知数だ。
コアCPIは同時期の4.7%から4.3%に縮小すると予想されているがものの、インフレ率の指標はどちらもFRBの目標である2%を上回っている。また物価上昇の持続の兆しはドル相場に強気な反応をもたらし、米金利上昇への思惑を煽る可能性がある。
しかし、消費者物価指数(CPI)が予想を下回った場合には、米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げサイクル終了への圧力となるため、米ドル/円の足を引っ張る可能性がある。9月のオープニングレンジを防衛できなければ、相対力指数(RSI)が価格と乖離しつつあることから、短期的に価格調整に入る可能性もある。
以上を踏まえ、FRBがより制限的な政策を実施する可能性が残っていることから、米国消費者物価指数(CPI)の最新値の発表が米ドル/円の動きを左右する可能性がある。為替レートは今月の安値(144.45ドル)を前に反発し、2022年11月の高値(148.83ドル)をさらに試そうとするかもしれない。
チャート作成:ストラテジスト、David Song TradingViewの米ドル/円
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