米国労働省労働統計局(BLS)は、4月の消費者物価指数を5月10日水曜日、米国東部時間8時30分(グリニッジ標準時12時30分)に発表する予定だ。
トレーダーやエコノミストたちは総合CPIを前月比0.4%(前年比5.0%)、いわゆる「コア」CPI(燃料費と食料品を除いたもの)を前月比0.3%(前年比5.5%)と予想している。
ここ数四半期にわたり、米国の消費者物価指数(CPI)は市場の大きな動きにつながる唯一の経済データになっている。これはインフレ率が連邦準備制度理事会(FRB)の決定(より正確には、米国の中央銀行が次の会合でどの程度金利を引き上げるか)を左右する最も重要な要因になっていたからだ。
しかしFRBのパウエル議長が、経済データの推移を見るために少なくとも2~3か月間にわたって利上げを一旦停止すると強く示唆していることから、今月のCPIの発表はこれまでのように市場を大きく動かすことはないかもしれない。
実際、S&P500などの主要な株式市場指数やクロス米ドルの潜在的なボラティリティは、最近のCPI発表時のボラティリティの約半分と見られており、トレーダーが小さな値動きを見込んでいることは明らかだ。
先行指標を見ると、注目を集めているクリーブランド連銀の「Inflation Nowcast」は、今回のCPI値が予想を上回るリスクを示唆している。
Source: Cleveland Fed
今月のCPI発表で具体的に注目すべき点としては、住宅価格の影響が挙げられるだろう。住宅市場は遅行指標となる傾向があるため、FRBは住宅市場を除いたコアサービスのインフレ率に注目していると繰り返し述べている。この指標は前月比で0.2%上昇すると予想されているが、一方で住宅価格はさらに前月比で0.6%上昇すると予想されている。
いずれにせよ、市場はFRBが次回会合で金利を据え置くことを確信していることから、今月の発表が直ちに政策に何らかの影響を与える可能性は低く、トレーダーの関心は米国の地方銀行や債務上限の問題に戻っているため、市場が大きく動く余地は限られそうだ。
今年は好調なスタートを切ったユーロ/米ドルだが、現在は勢いを失いつつあるように見える。世界で最も広く取引されているこの通貨ペアは、過去3週間で何度か1.1100ドルを試すも上抜けすることができず、今日は短期的な上昇トレンドラインと上向きの21日間移動平均を割り込む方向へと向かいつつある。
同時にこの通貨ペアの14日間でのRSI指標は、ここ2ヶ月の最低水準まで下落しつつあり、強気相場の勢いが衰えつつあることを示している。ユーロ/米ドルのここ4週間の安値が1.0900ドル付近に位置しており、CPIの発表を受けてこの水準を割り込むようであれば、その後は過去のレジスタンスラインからサポートラインへと変わった1.0800ドルに向けてさらに下落する可能性がある。
出典: StoneX、 TradingView
一方、ユーロ/米ドルがもし今週半ばに値上がりに転じたとしても、1.1100ドルのレジスタンスラインをはっきりと超えるまでは、強気筋は買いを控える可能性がある。
— 文責:Matt Weller、リサーチグローバルヘッド
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