米国10年物国債の利回りは、8月2日以来値上がりを続けて上昇ウェッジを形成していたが、10月21日に上端のトレンドラインを抜け、4.335%で高値を付けた。 しばしばみられることだが、価格(今回の場合は利回り)がパターンの片側でのブレイクアウトを維持できなかった場合、しばしば逆を試す方向の値動きが起きる。 主要な米国債の利回りは、2022年11月10日、最終的にパターンの下端をなすトレンドラインを割り込んで急落した(2022年11月10日は米国で非常に弱いCPIが発表されたことを思い出そう)。以来、米国10年物国債の利回りは3.321%~3.90%のレンジで取引されている。 2022年8月2日の安値から2022年10月21日の高値までの50%のリトレースメントは3.426%だが、ここは利回りのベンチマークとして何度かサポートラインの役割を果たしている。
出典: Tradingview、Stone X
240分足では現在、利回りは先ほど述べたレンジ内の3.80%になっている。 過去の高値である3.90%を超えた場合には二重底パターンが形成されるはずだ。 二重底パターンのターゲット価格は、ブレイクアウト地点に、底からブレイクアウト地点までの高さを足した位置になる。 この場合のターゲット価格は2022年10月21日の高値の上、2007年からの水平レジスタンスラインに近い4.473%だ。
出典: Tradingview、Stone X
下は米ドル/円の日足チャートである。 一番下のパネルには、米ドル/円と米国10年物国債の利回りの相関係数を示したチャートが記載されている。 現在の相関係数は+0.93で、 +0.80を超えれば統計的に有意な相関があるとされる。 +0.93という数値は、米国債利回りがある方向に動くと、強い相関がある米ドル/円の価格も同じ方向に動く可能性が高いという意味になる。 相関係数が+1.00になると完全な相関ということになり、2種類のアセットが100%同じ値動きを見せるということになる。 この相関は2月13日に回復したばかりであることが見てとれるだろう。 これ以前は2か月にわたって相関が失われていた。
出典: Tradingview、Stone X
米ドル/円もまたレンジ相場が続いており、2022年12月中旬以降は127.22円~134.50円のレンジで取引されている。この通貨ペアは最近、チャネル上端のレジスタンスライン、2022年12月15日にまでさかのぼる下向きのトレンドライン、50日間移動平均を上抜けした。 米ドル/円が直近の高値134.77を超えた場合(米国10年物国債の利回りが上がっていることから、その可能性は高い)、2022年10月21日の高値から1月16日の安値までの38.2%のフィボナッチリトレースメントと200日間移動平均にあたる、136.66~136.85円近辺でレジスタンスラインが合流する。 その上には138.35円の水平レジスタンスライン、および先述の期間の50%リトレースメントレベルにあたる139.58円のレジスタンスラインがある。しかし米国債の利回りが下がれば、米ドル/円も合わせて値下がりする可能性がある。 最初のサポートラインは50日間移動平均にあたる132.02円。 そこを割り込むと、2月10日の安値である129.80円、さらに下向きのトレンドラインにあたる129.30円付近まで値下がりする可能性がある。
米国10年物国債と米ドル/円は、現在相関係数+0.93という強い相関を示している。 相関係数+0.80以上は強い相関と見なされる。 そのため米国債の利回りに注目しておくと、米ドル/円の今後の値動きを予想しやすくなるだろう。 利回りが上昇すれば、米ドル/円も合わせて値上がりする可能性がある。 しかし利回りが下がれば、米ドル/円の値下がりに注意が必要だ。
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