今朝、連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長が議会の公聴会で証言に立ち、25bpの利上げは確定事項ではないと述べた。パウエル議長は、好調が続く今年の経済活動を踏まえ、中央銀行の担当者は政策金利の引き上げを加速させる必要が出てくるかもしれないという自身の考えを示し、さらにこの状況から、高インフレと戦うために、当初の見込みよりも高い金利設定につながる可能性を示唆した。
パウエル議長のコメントは上院銀行委員会の前に準備されたものだ。パウエル議長は最近の経済データが予想を上回る力強さを見せていることを強調し、そのために最終的な金利はこれまでの予想より高くなる可能性があることを示唆している。また同様に、パウエル議長は経済データから金融引き締めの加速が必要と判断されれば、FRBは利上げのペースを上げる用意があるとも説明した。
それに加えてインフレ率を2%に引き戻す道のりは長く、おそらくは険しいものになるだろうとも述べている。米国のインフレはここ数か月で緩和しているものの、パウエル議長はFRBが引き続き各会合ごとに決定を下していく方針であることを明らかにした。
2月に行われたFRBの前回の会合以降、いくつかの経済データが発表されたが、雇用市場、支出、インフレ率はいずれも予想を上回るものだった。データの上方修正もあり、インフレ率と労働力需要は当初の報道ほどには落ち着いていなかったことも明らかになっている。広汎な経済データが反転上昇していることと、前四半期の数値の上方修正も合わせ、パウエル議長はインフレ圧力が当初予想されているよりも強いという見方を示した。
そして金利を上げることで、企業の投資、支出、雇用を抑制しようとしていると述べている。つまり資金の借り入れコストが高くなり、株や不動産と言ったリスク資産の値下がりにつながる。
パウエル議長の今週の証言は、政策金利決定に関しては予定されている中で最後の公的な発言機会となる。つまり3月21日から22日にかけて行われるFRBの次の会合を前に、パウエル議長が市場の予測形成に関わる最後の機会ということだ。FRBの委員は市場が閉まっている土曜日の静かな時期に事前会合を始める。
注意しておきたいのは、今週が終わればパウエル議長が市場を誘導するのは難しくなるということだ。広く注目を集めており、委員の審議に影響を与えうる2つの経済データ、つまり金曜に発表される非農業部門雇用者数(NFP)と来週の消費者物価指数(CPI)は、パウエル議長の証言と次のFRB会合の間に発表されるためだ。
FRBの委員のうち数名は、ここ数週間のうちに今年の利上げ幅が当初の見込みよりも高くなる可能性を示唆している。3つの地域連銀の総裁は、先月、または次の会合で50bpの利上げを支持する可能性に言及した。
最近の好調な経済データから、投資家たちの予想も移り変わっている。FRBの前回の会合では、金利先物市場の投資家たちは、フェデラル・ファンド金利が今年あと1度だけ引き上げられ、4.9%をピークとして秋には引き下げが始まると見込んでいた。
CMEのFedWatchツールによると、現在、投資家たちは60/40の割合で、あと2週間で50bpの利上げが行われ、ピーク金利が5.5%となる可能性を見込んでいる。
出典: CME FedWatch
当然ながら、パウエル議長のコメントを市場が「より長期間、より高金利が続く」と解釈したことで、米ドルがひとり勝ちの様相を呈している。英ポンド/米ドルは今日特に値下がりしており、以前のサポートレベルだった1.1900ドルを割り込んで、今年の最安値を試す展開になっている。
1月6日の安値である1.1840ドルを割ると、すぐ下では38.2%で1.1640ドルの史上最安値まで下がる可能性も見えてくる。この時点では、1.1900ドルを再び上回れば短期的な弱気相場の見通しが打ち消されるだろう。
出典: StoneX,、TradingView
本レポートに記載されている情報や見解は、一般的な情報としての使用のみを目的としたものであり、FX、CFD、その他あらゆる金融商品の購入や売却に関する勧誘や依頼の意図は全くありません。本文書に記載されている見解や情報は、予告や通知なく変更されることがあります。本文書は、特定の投資目的や背景、特定の受領者の意思などに沿って書かれ配布されたものではありません。本文書内で引用・言及されている過去の価格データは、当社独自の調査や分析に基づいており、当社はそのデータの提供元やそのデータそのものの信頼性につき、いかなる保証もせず、また筆者や訳者、各国の支社・ 支店も、本文書の内容の正確性や完全性についても一切保証しません。本文書については英語版を原本とし、翻訳版と原本に相違がある場合には、原本の内容が優先するものとします。本文書の内容に基づく直接または間接の損失、そして本文書を信頼したことにより生じた損失についても、当社は一切その責を負いません。
本レポートに記載されている情報や見解は、一般的な情報としての使用のみを目的としたものであり、FX、CFD、その他あらゆる金融商品の購入や売却に関する勧誘や依頼の意図は全くありません。本文書に記載されている見解や情報は、予告や通知なく変更されることがあります。本文書は、特定の投資目的や背景、特定の受領者の意思などに沿って書かれ配布されたものではありません。本文書内で引用・言及されている過去の価格データは、当社独自の調査や分析に基づいており、当社はそのデータの提供元やそのデータそのものの信頼性につき、いかなる保証もせず、また筆者や訳者、各国の支社・ 支店も、本文書の内容の正確性や完全性についても一切保証しません。本文書の内容に基づく直接または間接の損失、そして本文書を信頼したことにより生じた損失についても、当社は一切その責を負いません。