ナスダックの分析は、この指数が主なレジスタンスゾーンを試す展開になりつつあることを示している。来週はマクロイベントが控えていることから、この動きは軽く見るべきではない。
AI主導による水曜の大規模な売り展開に続き、ナスダック100は米国での取引時間前半に1.4%の反発を見せた。我々のナスダック分析ではこの指数は主なレジスタンスゾーンを試しつつあり、来週は重要なマクロイベントを控えているため、この状況は軽視できない。
理由はいくつか考えられる。強気相場であることは言うまでもなく、今年の市場はこうした動きをずっと続けている。
しかし個別のきっかけとしては、逆説的ではあるものの、米国の失業保険申請件数が見通しを下回ったことが今回の動きを誘発した可能性がある。国債の利回りとドルがともに低下したためだ。最近のハイテク関連銘柄が売られた後、おそらくはこうした背景が値下がり後を狙った買いにつながったと思われる。しかし今の焦点はフォロースルーだ。今週いくつかの重要なマクロイベントが控えていることを踏まえ、反発が続くのか、それとも再び弱まるだろうか?火曜日には米国の消費者物価指数(CPI)が発表され、その結果次第で翌日のFOMC会合で利上げ実施の如何が決まる可能性がある。また週明けにはECBと日銀の金利決定も控えており、こちらも要注目だ。
マクロイベントの詳細を詳しく見ていく前に、ナスダックのチャートをざっと確認してみよう。テクノロジー株が多数を占めるこの指数は現在、水曜日の下落の基点となった14500付近まで値を戻している。この辺りがレジスタンスとなるか、あるいはここを超え、再び弱気筋の下値追いの試みはくじかれるのだろうか。
出典: TradingView.com
ナスダックは週足チャートでも歴史的に重要な分岐点にあり、どんな弱気相場の兆候もここでは軽く見るべきではない。
それを踏まえてもトレンドは強気であり、現在のところは値下がりの可能性を示す重要な反転サインは出ていない。 しかしこれから重要な週に入っていくため、ある程度の警戒は不可欠だ。
来週は中央銀行の会合が目白押しで、水曜日のFOMCに始まり、木曜日のECB、そして金曜日には日銀が政策決定会合を行う。さらに米国では政策の路線を左右しうる重要なインフレ率レポートの発表が控えている。
今回の米国のインフレ率レポートは、FOMCの会合が終わって金融政策の決定が下される前日に発表されることから、特に注目すべきものとなっている。もし火曜日のCPIが低調に終われば、金融引き締めサイクルの一時停止への期待の裏付けになることから、外国為替の主要通貨ペア、金、株価指数の急上昇につながる可能性がある。主要通貨ペアでは、今週のRBAとBOCによるタカ派的な金利決定と、原油価格の上昇の可能性を踏まえ、豪ドル/米ドルとカナダドル/米ドル(要は米ドル/カナダドルだが)を推したいところだ。
一方米国CPIが好調となった場合には、水曜日のFOMCの決定は利上げのほうに傾く可能性があり、このシナリオではドルの急騰が見込まれる。この厳しい経済状況下での利上げは、明らかに望ましくないためだ。とはいえ、ジェファーソン副議長をはじめとする一部のFOMC当局者のコメントでは、CPIの結果が好調となっても、FOMCはそれを無視していずれにせよ金利を据え置く可能性が示唆されている。
CPIと金利決定それ自体の他にも、当局者による四半期ごとの経済予測、ドットプロットの更新、記者会見にも注意を払っておくべきだ。これらもドルを大きく動かす要因となる可能性がある。
ECBが25bpの利上げを行い、主要預金金利を2008年以来最高水準となる4%まで引き上げる可能性が高いという市場のコンセンサスには同意する。利上げが決まれば今回のサイクルにおける8回目の利上げとなり、来月にはさらにもう1回利上げが実施される可能性が高い。ドイツでさらに弱い経済データが出たことや、ユーロ圏全体でのディスインフレの兆候について中央銀行がどのように判断するか、ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁のコメントは興味深いところだ。最近のコメントから想像されるよりもハト派的なECBの姿勢が明らかになる可能性もある。
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