米ドル/円は、日本銀行(BOJ)の金利決定に対するお決まりの反応に続いて週安値(138.07)を更新した後反発した。為替レートは月の安値(137.24円)を前に反転していることから、50日間移動平均(140.96円)の正の傾斜に追従する可能性がある。
日銀が「許容変動幅の上限と下限について、より柔軟性を持たせてイールドカーブ・コントロールを実施する」方針であることから、米ドル/円では4日間の売り展開に歯止めがかかっている。植田和男総裁らは「経済活動や物価、金融情勢の進展に機敏に対応しながら、粘りづよく金融緩和を継続する」と表明しており、日銀現在の金融政策路線を維持するようだ。
ジェローム・パウエル議長が「インフレ率を2%に戻すにはまだ長い道のりがある」と警告する中、日銀と米連邦準備制度理事会(FRB)のアプローチのずれが米ドル/円の価格維持につながる可能性がある。また、ここ数日のうちに米国からのニュースによって為替レートが左右される可能性がある。非農業部門雇用者数(NFP)の発表が予定されており、雇用率がさらに伸びると見られているためだ。
米国経済での新規雇用者数は、前月に20万9000人増を記録したのに続き、7月も18万4000人の増加が見込まれている。労働市場のさらなる改善によって、連邦公開市場委員会(FOMC)へのインフレ対策の圧力はさらに高まる可能性がある。FOMCは引き続き「インフレ率を目標値である2%に戻すために力を注いでいる」ためだ。
出典: CME
しかしCMEのFedWatchツールでは、年内の米金利据え置きの確率は60%超と見られている。パウエル議長らが経済予測サマリー(SEP)の更新を予定していることから、NFP統計で予想を下回る値が発表されれば、9月の次回会合でのフォワードガイダンスの調整につながる可能性がある。
また、日銀がイールドカーブ・コントロール(YCC)による量的・質的緩和(QQE)を継続していることから、FRBの政策に対する思惑が米ドル/円に影響を与える可能性がある。
とはいえ、米ドル/円は4日間の下落に歯止めがかかり、為替レートは月間安値(137.24)を前に反転する中、50日SMA(140.96)の陽線に追随しようとする可能性があるため、8月の始値レンジが注目される。
チャート作成:ストラテジスト、David Song。TradingViewの米ドル/円
ただし141.50円(38.2%のフィボナッチエクステンション)~142.50円 (61.8%のフィボナッチリトレースメント)のゾーンを上抜けできなかった場合、またここより上の終値をつけられなかった場合はレンジ相場となる可能性がある。138.70円(78.6%のフィボナッチエクステンション)~140.00円 (23.6% のフィボナッチリトレースメント)より上を維持できなければ、再び7月の安値(137.24円)に向かい始める可能性がある。
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