米ドル/円が6週間前に145.00円を(再度)突破して以来、トレーダーは日銀による為替介入の可能性を恐れて神経を尖らせてきた。
一般的に言って、輸出志向の日本経済は円安の恩恵を受ける。なぜなら、日本製の商品は外国人にとって「安く」見えるからだ。このような経済上の通説があるものの、日本の当局者はやはり自国通貨があまりにも急激に、あるいは一方的に下落すると不快になる。
その点、昨晩は日本の高官から明確な「口先介入」があった。岸田首相は「行き過ぎた」為替の動きは「望ましくない」と指摘し、政策当局は為替変動を「緊密に」「高い危機感を持って」監視し続けると述べた。加えて日銀の植田総裁は、外国為替の動きは「ファンダメンタルズを反映して安定的に動く」ことが重要だと指摘したものの、この点に関しては現在進行中の円安は、すぐには縮小しそうにない日米間の利回り格差というファンダメンタルズを反映していると言えるかもしれない。
これとは別に、岸田首相は防衛費の大幅増額や半導体、EVバッテリー、バイオテクノロジーへの減税を含む予算案の概要を明らかにした。この予算案の市場への影響、少なくとも円相場への影響は限定的なものにとどまっている。
出典: TradingView, StoneX
チャートに目を向けると、米ドル/円は主要な円クロスの中で最も強気な動きを維持している。先週半ばに目先の強気トレンドラインを試した後、米ドル/円はここ2セッションで強い反発を見せ、現在148.80円付近で昨年11月の高値を試している。このレベルをブレイクアウトした場合には、昨年10月の高値である152.00円付近までテクニカル的なレジスタンスはほとんどない。とはいえ148.80円を明確にブレイクアウトすれば、米ドル/円がそれより上のレベルに到達する前に、日本の政策当局者が脅しをやめて実際に市場介入を始めるのには十分だろう。
出典: TradingView, StoneX
政府が介入を控えている理由のひとつに、円クロスのパフォーマンスがある。上のチャートが示すように、ユーロ/円は過去7週間で上昇の勢いをすべて失い、その間150円台後半で横ばいに推移しているに過ぎない。今のところ、短期的なテクニカルバイアスは中立を維持しており、短期的に弱気筋に有利な方向に傾くには、157.00円の主要サポートを割り込む必要がある。一方、160.00円を明確に上回れば、テクニカルな上昇トレンドの再開が期待でき、ここからさらに上昇する道が開けるだろう。
出典: TradingView, StoneX
米ドル/円やユーロ/米ドルに比べ、ポンド/米ドルはまだ弱く、過去6週間にわたって短期的な弱気チャネルを形成している。先週の50日間移動平均線の急落から、もう一段下落する可能性が高まっており、弱気筋は次のターゲットとなる論理的なサポートレベルとして、2023年の上昇全体の23.6%のフィボナッチリトレースメントにあたる180.00円のすぐ下に目を向けている。
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