ここ数週間にわたって、市場はFOMCの25bpの利上げとタカ派的な態度を予想していた。 FOMCはたしかに25bpの利上げを実施したものの、記者会見でのパウエル議長のトーンは予想よりもタカ派的姿勢を弱めているように思われる。 今回の声明の要点は2つ。1)FOMCは「現在進行中の」利上げは適切なものになるという見解の繰り返し 2)インフレは緩和しているものの引き続き進行している。 これはトレーダーに対し、記者会見でのパウエル議長の態度がどの程度タカ派的なものになるのか疑問を持たせる内容だった。
その後の記者会見で、パウエル議長はいくつか予想通りの発言をした一方、「タカ派的姿勢を弱めた」とも取れるコメントを発した。 今回初めてインフレ緩和のプロセスに入ったと言えるかもしれない、と述べたのである。 またインフレ率低下のためには経済成長率が「現在のトレンドを下回る」必要があるだろうとも述べた。 FOMCがさらに利上げを続ける前の「一時停止」について議論したかという質問に対しては、パウエル議長は明言を避けた。今日のFOMC会合全体のまとめについては、ここから同僚のMatt Wellerのコメントを参照してほしい。加えて「噂で買い、事実で売る」戦術が今回の会合でも有効だったと言える(本稿の書き出しを参照のこと!)。
タカ派的姿勢を弱めたコメントと、会合前の市場のポジショニングにより、会合後は米ドル売りが広がった。米ドル指数(DXY)は大幅に下落し、直近のチャネルの上端を成すトレンドラインの下に戻り、さらに2022年5月30日の水平サポートラインにあたる101.29を切った。 DXYの次のサポートラインは、心理的にキリの良い数字である100.00までは存在しない。 そこを割れば2022年3月のサポートラインである99.42まで値下がりする可能性がある。 弱気筋が手を引くには、昨日の高値を超える102.60まで値が回復する必要があるだろう。 その後のレジスタンスラインは1月12日の高値である103.29となる。
Source: Tradingview、Stone X
DXYと逆の値動きを見せているのがユーロ/米ドルだ。 この通貨ペアは今日目覚ましいブレイクアウトを見せ、パウエル議長の記者会見後は1.102ドルの高値に達した。 ユーロ/米ドルは4月21日の高値である1.0936ドルの水平レジスタンスラインに到達するまではチャネル内で値上がりを続けていた。1月中旬以降は上昇ウェッジパターンを形成し、1月31日にこのパターンを割り込んでいる。今日の記者会見後はウェッジパターンの圏内まで値を戻し、さらにかつてのレジスタンスラインだった1.0936ドルまで値上がりした。 今後も値上がりが続いた場合、次のレジスタンスラインは2022年3月31日の高値である1.185ドル。その後は2022年の高値から安値までの61.8%のフィボナッチリトレースメントレベルにあたる1.221ドルとなる。最初のサポートラインは1月31日の安値である1.0936ドルまでは存在せず、その下は水平サポートラインの1.0802ドルとなる。そこを割り込むと、ユーロ/米ドルは50日間移動平均にあたる1.0658ドルまで下落する可能性がある。
Source: Tradingview、Stone X
今日のFOMC会合では大きな動きはなかった。 しかし会合に続くパウエル議長の記者会見ではタカ派的姿勢を弱めたコメントが見られ、市場は大きく反応。米ドル価格と利回りは低下し、金価格と株価は上昇した。
*注意: まもなくECBの政策決定会合が行われ、 50bpの利上げと記者会見でのタカ派的な発表が予想されている。 状況に合わせ適切にポジションを管理してほしい。
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