連邦準備制度理事会の公開市場委員会(FOMC)では、2日間にわたる会合の後、3月22日水曜日の午後2時(米国東部時間)に金融政策に関する声明と経済予測サマリーを発表する。その後、パウエル議長による記者会見が東部時間の午後2時半から行われる。
銀行システムに多大な負荷がかかる中、今年の前半にわたって金利を上げ続けるというFRBの計画は変更を迫られる可能性がある。
こうした懸念にもかかわらず、多くのエコノミストは25bpsの利上げを行い、政策金利が4.75%~5.00%のレンジとなると予想している。トレーダーもおおむね同様の見方をしており、CME FedWatchツールによると、フェデラル・ファンド先物市場はで25bpsの利上げの可能性は約75%、金利据え置きの確率はおよそ25%と見込まれている。
出典: CME FedWatch
インフレ率は依然としてFRBの目標である2%には程遠いことから(最近発表されたコアPCEは、先月の5.3%から前年比5.4%に上昇している)、パウエル議長らが今月25bpsの利上げを実施する可能性が高いという市場の予想には同意できる。だが、今のところ金利を据え置くという決定がなされても驚きはない。
昨年のイングランド銀行(BOE)と同様、FRBは利上げによるインフレとの闘いが最優先であることを強調する一方で、金融安定の取り組みは切り離して考える立場にある。銀行を活性化させるために、マクロプルーデンス政策や量的引き締めペースを緩めた方が良いと考えるかもしれない。いずれにせよ、FOMCからの声明文やパウエル議長が、5月のに再度利上げを実施する可能性について何らかの直接的なコメントを出すとは考えにくい。
金利やバランスシート戦略への直接的な変更以外では、FRBは四半期ごとの経済予測を発表し、その中にはつねに注目を集める金利の見通し「ドットプロット」も含まれる。市場は年内に現在の水準から50bpsの利下げが実施されると見込んでおり、トレーダーはFRBが長期的な金利上昇の見通しを放棄するサインを示すどうかを見極めようとするだろう。
少なくとも、FRBが年末時点での金利予想の中央値を5.1%から引き上げることはなさそうだ。
出典: 連邦準備制度理事会
そしてこの日もっともボラティリティを高めるのは、パウエル議長の発言かもしれない。パウエル議長はFOMCの見通しや判断基準についてのインサイトを付けくわえるのが常で、最近ではしばしば先行きの見通しにニュアンスを持たせて市場の反転を引き起こすことがある。この会合ではパウエル議長が今後の利上げサイクルの一旦停止を示唆し、データを基に判断すべきであるという中央銀行の立場を再度強調すると見込まれる。
本稿執筆時点で、米ドル指数は数週間前の年間最高値にあたる105.00台中盤に近づいた後、103.00台中盤というここ1か月で最安の水準を試している。中期的なトレンドとしては引き続き値下がりに向かうと思われ、もしパウエル議長とその仲間たちが利上げを行わなければ、米ドル指数はは102.70(今年の高値からの61.8%のフィボナッチリトレースメント)、またはその下の101.90(78.6%のフィボナッチリトレースメント)にまで急落する可能性がある。
その一方、たとえ利上げが実施されたとしてもドル指数の上値は重くなると見込まれる。トレーダーは依然として今年中の利下げを確信していることから、レジスタンスラインは200日間移動平均に近い104.70近辺にとどまるかもしれない。
出典:StoneX、TradingView
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