ユーロ/米ドルは50日移動平均(1.0869ドル)に沿って反発しており、7月のオープニングレンジが注目される。非農業部門雇用者数(NFP)が労働市場のさらなるひっ迫を示すと予想されることから、為替レートは今後数日にわたってボラティリティの上昇に直面することになりそうだ。
米国の連休を前にユーロ/米ドル価格にはほとんど変化がない。移動平均線が正の傾きを示さなくなったことから、このペアでは5月以来のレンジ内での取引が続く可能性がある。
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いずれにせよユーロ/米ドルの短期的な見通しは米国非農業部門雇用者数(NFP)が左右すると考えられる。米国経済では新たに20万人の雇用が増えると予想されており、労働市場のひっ迫を示す兆候が続くことで、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策引き締めに向けた圧力が増し、ドル市場の強気な反応を招く可能性がある。
その結果、FRBのパウエル議長らがフェデラル・ファンド金利の急な上昇を見込む中、米国での金利上昇の見込みがユーロ/米ドル価格の足を引っ張る可能性がある。ただしNFPの結果が予想を下回った場合は、FRBがインフレとの戦いを続ける余地が限定されることから、ドルの弱気な反応を引き起こす可能性もある。
出典:CME
それまではFRBの政策をめぐる思惑がユーロ/米ドル価格に影響を与えるだろう。CMEのFedWatchツールでは、今月後半に25bpの利上げが行われる可能性は80%を超えると見込まれている。FRBではインフレ率が2025年まで目標値の2%を上回り続けると見込んでいることから、7月26日に米国公開市場委員会(FOMC)が引き続きタカ派的なフォワードガイダンスを出すかどうかはまだ不透明だ。
これを踏まえ、ユーロ/米ドル市場では今月のオープニングレンジが注目される。現在は50日間移動平均(1.0869ドル)に沿って反発しているものの、移動平均線はもはや正の傾斜を見せていないことから、NFPの発表前に価格が合流に向かう可能性もある。
チャート作成:ストラテジスト、David Song 。TradingViewのEUR/USD
ユーロ/米ドルは5月の高値(1.1092ドル)を試すのに失敗した後、50日間移動平均(1.0869)に沿って反発している。移動平均線はもはや正の傾きを示していないことから、為替レートは一定のレンジ内で推移する可能性がある。
1.0880ドル(23.6%のフィボナッチエクステンション)~1.0940ドル(50%のフィボナッチリトレースメント)付近を上抜けできない場合、ユーロ/米ドルは移動平均を下回る可能性がある。1.0730ドル(23.6%のフィボナッチリトレースメント)を下抜けすると、5月の安値(1.0635ドル)を試す可能性が視野に入ってくる。
次の注目エリアは1.0610 ドル(38.2%のフィボナッチリトレースメント)付近だが、1.0880ドル(23.6%のフィボナッチエクステンション)~1.0940ドル(50%のフィボナッチリトレースメント)のエリアを上抜けすれば、ユーロ/米ドルは6月の高値(1.1012)に向けて上昇する可能性があり、今年に入ってからの値動きの中で7月のオープニングレンジが焦点になる。
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