・ユーロ/米ドル価格は、FRBの利上げへの期待の低下、さらにタカ派的な姿勢を維持するECBによって支えられる可能性がある
・ドイツのデータは引き続き暗い見通しを示している
・ラガルド総裁とノット委員のコメントはさらなる利上げを示唆
今週のユーロ/米ドルはパンケーキのように平坦だが、ここしばらく弱気相場が続いた後、再び上昇に転じようとしている可能性がある。ドイツのデータは軟化しているものの、ECBのタカ派的なレトリックは変わっていない。その上FRBが利上げを実施する確率が低下したことで、ドル価格が調整に入る可能性が高まり、それによってユーロ/米ドルの見通しは良くなっている。FOMCはすでにブラックアウト期間に入り、これから6月14日の会合までの間に注目すべき重要なデータポイントは2つしかないことから、ドルの上昇に直接つながる要因はそれほど多くはない。
ユーロに圧力をかけているのはユーロ圏の経済大国ドイツのドイツの低調な経済データだ。さらにダメ押しのごとく、今朝発表されたドイツの4月の鉱工業生産も0.3%増と予想を下回り、3月の3.4%減からほんのわずかしか回復していない。予想では0.6%増が見込まれていた。先立って先週発表されたドイツの製造業PMIは、過去3年間で最も速いペースで低下ていた。またドイツの4月の工場受注は0.4%減とこれも予想を下回っている。
このようにデータはドイツ経済の暗い見通しを示しているが、それでもECBは一貫してタカ派的な姿勢を崩していない。そしてまさにこれが、ここ数日ユーロ/米ドルが比較的好調を維持し続けている理由といえる。
実際、ECB関係者の中で特にハト派的姿勢が見られないのはノット委員で、同氏はインフレ率が高止まりすれば中央銀行は利上げを続けることを躊躇すべきではないとし、今後2回の会合で利上げを続けることを見込んでいる。それ以降のECB会合ではデータに応じて決定する、と彼は付け加えた。
ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は昨日、さらなる引き締めを求める発言を繰り返した。
ユーロ/米ドルの値上がりの期待が高まっているのは、月曜日に発表されたISMサービス業PMIデータが軟調で会ったことを受け、FRBのタカ派的姿勢への見込みがわずかに低下したことによる。CMEのFedWatchツールによると、FRBが来週の会合で金利を据え置く確率を、市場では約81%と見込んでいる。
月曜日には最新のISMサービス業PMIによって米国が景気後退に向かうとの懸念が強まり、FRBが今夏に利上げを行うかどうか改めて疑問視されるようになった。金曜日に発表された雇用統計では、雇用者数と失業率の両方が上昇し、トレーダーはどちらを信じるべきか迷うことになった。このように雇用統計がまちまちであったため、6月利上げの確率が50%を超えるほどには投資家たちは確信を得られなかった。ISMサービス業PMIが懸念すべきサインを示したことから、すでに6月の利上げの確率は20%近くまで急落している。
次に注目される米国の経済データは、FOMCの金利決定会合の前日、6月13日に発表されるインフレ率レポートとなる。
ユーロ/米ドルの週足チャートでは、先週1.07ドル付近の重要なサポートエリアで小さな同事線が形成され、4週連続での下落を終えている。この優柔不断な値動きは弱気相場の勢いが弱まったことを示唆しており、ここで強気派が参入してくる可能性がある。もしそうなれば、FRBの動向によっては、為替レートは今後数週間で1.10ドルのエリアに向かって再び上昇する可能性がある。
出典: TradingView.com
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