ユーロ/米ドルは高値、安値共に下落が続く中、3月の安値(1.0516ドル)を試す可能性がある。ユーロ圏の消費者物価指数(CPI)の発表も、総合値、コアCPIともにインフレ率の鈍化を示すと予想されていることから、為替レートを下支えすることはほとんどないだろう。
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁がユーロ圏の利上げ観測をけん制したため、ユーロ/米ドルは米連邦準備制度理事会(FRB)の金利決定後も値下がりの圧力を受けている。ECBの政策理事会は利上げサイクルを近いうちに終わらせようとしている様子で、ユーロは今年いっぱいは向かい風にさらされることになりそうだ。
最近のラガルド総裁の発言は、ユーロ圏の金利が「十分な期間にわたって維持されれば、インフレ率が適時に目標まで戻ることに大きく寄与する水準に達した」として、ECBが政策引き締めを控えることを示唆している。「これまで打たれ強さを示してきたサービスセクターも現在は弱体化しつつある」ことから、政策理事会は今後数か月で政策転換への準備を整える可能性がある。
ひるがえって、ユーロ圏の消費者物価指数(CPI)が総合値、コア値ともに鈍化すれば、政策転換が迫っているとの思惑を煽り、ユーロ/米ドルには引き続き値下がりの圧力がかかると思われる。しかし予想を上回る数字が発表された場合には、ラガルド総裁らにインフレ対策強化の圧力がかかり、ユーロ相場は強気の反応を示すかもしれない。
上記を踏まえた上で、ECBが利上げ観測を後退させる中、ユーロ/米ドルはユーロ圏からのデータ発表に左右される可能性がある。為替レートは50日間移動平均(1.0859ドル)の負の傾斜に追従しているように見えることから、3月の安値(1.0516ドル)を試す可能性がある。
チャート作成:ストラテジスト、David Song。TradingViewのユーロ/米ドル
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