ユーロ/米ドルは、先週金曜午前の取引で強力な弱気相場の反応を示した。この反応が1.1000ドルを再度試した直後に起きたということは、同通貨ペアが先月同じレジスタンスライン近辺で揉み合ったことを踏まえると注目に値する。
ユーロ/米ドルは、米国の銀行セクターを巡る懸念を背景に米ドル安が進行したことから、3月初旬には力強い動きを見せた。これにより、ユーロ/米ドルは2月初旬の高値を維持していたのと同じ1.1000ドルの心理レベルのレジスタンスゾーンに戻ることになった。しかし強気派の勢いはすぐに衰えることはなく、1か月の大半で1.1000ドル~1.1100ドルのゾーンで推移した後、5月後半にようやくプルバックが起きた。
この売り展開は5月最終日、1.0638という節目の水準が見えてくるまで続いた。この価格は新型コロナのパンデミックが織り込まれつつあった2020年3月のスイングローであり、5月31日にこの水準が出現したことでユーロ/米ドルの底値が決まり、同水準の安値が3か月続いている。
6月の第1週はほとんど一進一退の展開だったが、今月中旬のFOMCによる政策金利決定前後にようやく強気派が勢いを強め、さらに翌朝の欧州中央銀行(ECB)による政策金利決定の後さらに価格を押し上げた。先週前半に買い手はこれまでよりも高い水準である1.0900ドルで安値を維持し、これが木曜日朝に1.1000ドルを再度試す流れへとつながっていった。
金曜の朝に発表された欧州のPMIは憂慮すべき結果だったことから、この通貨ペアは再び弱気な動きを見せたものの、1.0843ドルのスイングレベル付近でサポートが維持されており、今のところ今週に入ってからもこのレベルは維持されている。しかし金曜日に述べた通り、高値が下がり1.0930ドル~1.0943ドル付近なっていることから弱気相場の可能性もあると見られる。先週の高値圏であった1.1000ドルを割り込んでいるためだ。
ユーロ/米ドル日足チャート
チャート作成:James Stanley、Tradingviewのユーロ/米ドル
一歩下がって週足チャートを見ると合流が見て取れる。2023年の取引の大部分で、価格がレンジ内にとどまっているのだ。今年の後半にいずれかの方向に大規模なブレイクアウトが起きるという可能性もあるが、現在の価格はまだレンジの中間点付近であり、トレンド継続のより重要な証拠が明らかになるまでは、これを念頭に短期的な戦略を立てることが重要だ。
ユーロ/米ドル週足チャート
チャート作成:James Stanley、Tradingviewのユーロ/米ドル
より短期的には、ユーロ/米ドルの弱気筋が先週金曜日に示した動きの後、引き続き安値を引き下げていけるかどうかが大きな焦点になる。先週金曜の動きはこのペアの短時間足の安値を押し下げており、現時点で1.0930~1.0943ドルのゾーンを試す前に売り手が現れれば高値が引き下げられる可能性もある。
ユーロ/米ドル2時間足チャート
チャート作成:James Stanley、Tradingviewのユーロ/米ドル
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