ユーロ/米ドルの強気筋は引き続き価格を押し上げており、相場は6週間ぶりに1.1000ドルの心理レベルにまで戻っている。
5月の最終日につけた安値は、パンデミックが織り込まれつつあった2020年3月の安値と同じ水準で、それ以来買い手は主導権争いにおいてさまざまな段階を経験してきた。
1.1000付近のレジスタンスゾーンは、2月、そして4月と5月にも値動きを支えたことから、今年はこの通貨にとってある程度重要になっている。2回目にレジスタンスゾーンを試す展開はほぼ1ヶ月間続いたため、この地点での抵抗力が多少は和らいだのか、また強気筋が前回よりも良い結果を得られるかどうかが依然として問題にある。しかし金融政策の相違に関して、1.1100ドルよりも上で強気相場の力強いトレンドが続くほど、ECBのタカ派的な姿勢がゆるぎないものかどうかという問題も残る。
まず何よりも、今週初めに安値が上昇した後、高値の更新が続いていることから、短期的な値動きは強気を維持している。火曜日に見られた、これまでよりも高い1.0900ドル周辺の安値が、ここまでのところ今週の安値を支えており、さらに過去のレジスタンスゾーンだった1.0930~1.0943ドル近辺がサポートとなる可能性もある。
もし近いうちにこのゾーンの安値を引き上げていく買い手が参入すれば、1.1000~1.1100ドルのレジスタンスゾーンへの突入に向けて勢いが増していく可能性がある。この値動きはドル指数で火曜日に見られた、102近辺のサポートレベルを再度試す動きとある程度関係していると思われるが、それでもこの動きから買い手がどの程度強気の姿勢を続けているかを読み取ることができるだろう。
このゾーンを買い手が維持できない場合、サポートラインは依然として1.0900ドルで変曲する可能性があるが、以前レジスタンスラインを試した際にサポートを維持できなかったことを考えると、そこまで楽観的な見方はできないかもしれない。ここからいくつかのシナリオが考えられるが、おそらくありそうなのは1.0900ドルから反発し、1.0930~1.0943ドルでこれまでよりも安い高値のレジスタンスゾーンが形成されるという流れだ。1.1000ドルよりも下でレジスタンスゾーンが維持されれば、弱気筋が戻ってくる可能性もある。
ユーロ/米ドル4時間足チャート
チャート作成:James Stanley、Tradingviewのユーロ/米ドル
この時点で指摘しておくべきことは、2023年の取引も折り返し地点に差し掛かる中、ユーロ/米ドルの今年の取引は大半が約500ピップ以内のレンジで推移してきたということだ。1.1000ドルのレベルは、レンジ相場継続の見込みのもとで、弱気相場の可能性をさらに維持するレジスタンス側を把握するのに役立つ。しかし、以下の日足チャートから見てとれるとおり、レンジを試す展開はまだ始まったばかりで、先行する高値圏での安値のいくつかにふたたび到達するまでは、弱気筋が主導権を取り返す絶好の機会だというのは推測の域にとどまる。
ユーロ/米ドル日足チャート
チャート作成:James Stanley、 Tradingviewのユーロ/米ドル
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