ドル円は先週木曜日に合流したレジスタンスエリアにぶつかって打ちのめされている。103.45ドルを試す流れで、この価格水準はまた米ドルの強気筋がおそらくすぐに忘れることはないであろう下降トレンドラインとも一致している。ここ2か月で米ドル指数(DXY)が反転を見せるのは2回目だ。
木曜日のレジスタンスラインでの価格変曲は、金曜日の非農業部門雇用者数(NFP)発表まで続き、米ドルの強力な売り展開に拍車をかけた。今週に入ってからこれまでのところ米ドルはさらに弱くなっており、ユーロ/米ドルは4月と5月に堅いレジスタンスラインとなった1.1000ドル付近を再び試している。
明日は消費者物価指数(CPI)の発表が控えており、ユーロ/米ドルの強気筋がブレイクアウトを達成して今年の高値を更新する気概を見せられるかどうかが大きな焦点だ。ここにはおそらく米ドルの弱気シナリオも含まれる。
現時点でドルは主要なサポートレベルである102を割り込んでいるが、ここは6月取引で安値の維持に貢献した水準だ。為替レートは101.53付近にあたる次のサポートラインに急接近しているが、実際には101レベルが突出しており、その下に100.87が控えている。101付近は4月の高値圏での安値を維持するのに役立った水準で、最終的にはトレンドラインを再度試すのにつながる強気相場の可能性が維持された。その下の100.87は2月と4月の2回到達したことのある価格で、二重底の形成を示す。
このサポートラインを割り込めば二重底の形成は無効となり、さらにトレンドラインの維持に基づいた弱気の三角持ち合いの形成にもつながる。
しかしこれまでの米ドルの弱さを考えると、大きな問題はその継続である。
米ドル – DXY 週足チャート (参照用、FOREX.comプラットフォームでは利用できません)
チャート作成:James Stanley、データ提供:Tradingview
米ドルの弱気テーマの継続可能性については、ユーロ/米ドルにも関連する問題がある。強気筋が今年まだ達成できていないこと、つまり1.1100ドルの上抜けが実現できるかどうかが焦点だ。
この価格水準は特に4月と5月に何度も試されてきた。Webセミナーではこの件について、1.1000~1.1100ドルの領域で引き続き注目すべき重要なレベルに焦点を当てて取り上げた。
しかし現時点で、日足チャート上では1.1000ドル付近で同事線が形成されている。過去に強気筋が乱高下にぶつかったエリアであるため、大きな問題は1.1000ドルより上で買い手が現れ、値動きのサポートを続けられるかどうかだ。
明日のCPIは明らかに絶好のチャンスだが、おそらくより興味深いのは、強気派がブレイクアウトを達成したもののその動きを維持できなかった場合に何が起こるかだろう。この場合は反転シナリオの可能性があり、先述した米ドルの問題とある程度連動する可能性がある。
EUR/USD 日足チャート
チャート作成:James Stanley、Tradingviewのユーロ/米ドル
米ドル/カナダドルは明日は忙しい展開になるかもしれない。米国東部時間午前8時30分には消費者物価指数(CPI)が発表され、続いてカナダ銀行の金利決定(日本時間午前10時)があるためだ。
カナダ銀行は先月利上げを実施して衝撃を呼び、米ドル/カナダドルが過去8か月間続いたレンジ相場を脱するのにつながった。この利上げは、さらに1週間後のFRBとECBの利上げ決定が相まって、米ドル/カナダドルの最安値更新につながった。しかし価格が1.3100ドル近辺に近づくにつれて売りが鈍り始めた。その結果下降ウェッジが形成され、直後に強気の反転が始まった。
このテーマに関しては、先週の金曜日までは値上がりの傾向が強いと見られたが、この日にNFPとカナダ雇用統計が発表され、日足チャートは弱気なアウトサイドバーとなった。今週、これまでのところこのテーマは売りに押され続けているが、価格はいくつかの重要なサポートより高いことから、強気相場の可能性も未だに維持されている。
このサポートラインは1.3200ドル付近で、値上がりの可能性を維持するには、値動きに影響を与える明日の2つのイベントの両方を通じて強気筋が価格を防衛する必要がある。防衛できない場合は、最近の高値圏での安値の更新が止まり、強気相場のシナリオには疑問符がつくだろう。
米ドル/加ドル 4時間足チャート
チャート作成:ジェームズ・スタンレー、TradingviewのUSD/CAD
米ドル/円は先週、145円の主要な心理的水準にぶつかったが、これは昨年の値動きを約1ヶ月間停滞させたのと同じ場所だった。しかし、昨年の第4四半期には強気トレンドが逆転することはなかく、価格はこのまま伸び続けて最終的に150円を試した(そして失敗した)。
直近で145円を再び試す流れは、先週、節目の価格を下回った後で揺らぎ始めた。ここから高値の下落の可能性が出始め、最終的には安値も下落し始めた。
現在、価格はすでに次の重要な心理レベルである140円近くまで落ち込んでいる。サポートラインは140.30円のすぐ上にあるが、これは今年1月の安値につながったのと同じ大きな動きの23.6%のフィボナッチリトレースメントにあたる。Webセミナーでも時間を割いて語ったように、米ドル/円の強気相場はまだ終わっていないかもしれないが、このペアの最近の弱気トレンドの流れを変えるには、米ドル指数に何らかの強気の反応が必要だろう。
このフィボナッチ数列は、以下の週足チャートに最もよく現れており、23.6%にあたる140.30円の水準が際立っている。
米ドル/円 週足チャート
チャートはTradingviewのUSD/JPY、James Stanley氏作成
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