今週は米国の重要な経済データ発表がが目白押しで、主要通貨ペアではいずれもボラティリティの高まる週となりそうだ。しかしECBの金利決定も控えていることから、主要通貨の中でもユーロ/米ドルはより活発に取引されるペアのひとつになるだろう。ということで、今週の注目通貨ペアとしてユーロ/米ドルを取り上げる。
米ドル指数(DXY)は8週連続で上昇し、終値は105.00を上回った。しかし日銀の植田総裁から、マイナス金利を維持すべきかどうかを判断するために年内に十分なデータを得ることができるだろうというタカ派的な発言が出たことで、夜間に円相場が上昇、これにより米ドル指数は105.00の水準を再び割り込んだ。
DXYがやや弱含みということで、ユーロ/米ドルでも今週初めにある程度のサポートが形成されている。しかしここしばらくの強さを考えると、現在のマクロな状況に大きな変化がない限り、ドルは再び反発する準備を整えつつあるはずだ。
ここ数週間、米国のデータが継続的に予想を上回るサプライズを見せたことで、米ドルの価格は下支えされてきた。先週はISMサービス業PMIと週間失業保険申請件数が予想を超えて改善しており、労働市場の逼迫感が和らいでいるとの見方にある程度の疑問符がついた。ユーロ圏と中国のデータは特に弱く、これに応じてユーロと人民元は対ドルで下落した。しかし中国人民銀行(中央銀行)が日次固定レートを強化し、また夜間の記録マージンを設定して、さらに市場の一方的な動きを修正するための口先介入も行ったことから、人民元にはある程度の落ち着きが見られた。
投資家の関心は、水曜日に発表される米国の消費者物価指数(CPI)と、今週後半に発表される予定のその他の米国の主要データに移る。インフレデータはFRBの追加利上げの判断に影響を与える可能性がある。市場はFRBの利上げサイクルは終わったと確信しているようだが、米国経済の底堅さから、トレーダーたちは当初の見込みよりも長期にわたって金利が現在の水準にとどまると予想している。この見込みがここ数週間のドル相場を下支えしているのだ。 そしてエコノミストによる最新のCPIレポートの見通し、つまり前年比+3.2%から前年比+3.6%への上昇という予想から判断すると、ドル価格はまだしばらくの間支えられる可能性が高い。インフレデータがさらに強いものであれば、ユーロ/米ドルは1.07ドルを明確に下回る可能性がある。
今後発表される米国のインフレ指標は、おそらくすべての主要通貨ペアに同じ方向性のバイアスを与えると考えられるが、ユーロ/米ドルは木曜日のECB理事会で新たな試練に見舞われ、急激な値動きを示す可能性がある。ユーロ圏と中国の両方の成長懸念により、ユーロはこのところ下落の圧力にさらされている。中国は欧州製品の最大の輸出先のひとつであるためだ。失望を誘うデータが相次いでおり、先週はユーロ圏のGDPが下方修正され、ドイツの多くの指標もすべて予想を下回った。今回のECB理事会で最終利上げが実施される確率は急激に低下している。現在の重要なリスクは、いずれにせよECBが利上げに踏み切るかどうかで、利上げが実施されれば(一時的かもしれないが)ユーロの急上昇が見込まれる。
今週の経済カレンダーでは、米消費者物価指数(CPI)の発表と欧州中央銀行(ECB)の金利決定が予定されているほか、米国から重要なデータが相次いで発表されるため、主要な通貨ペアにとってはボラティリティの高い週になりそうだ。以下は、今週のユーロ/米ドルに関連する主なデータの発表予定を以下にまとめている。
お気づきのとおり、中国のデータも意図的にカレンダーに記載している。北京がユーロ圏の重要な貿易相手国であることから、中国のデータはユーロに影響を与える傾向があるためだ。
高値と安値が下落し続けていることから、今日はわずかに回復を見せたものの、はっきりとした兆候がチャート上に表れない限りはユーロ/米ドルのテクニカルな見通しは依然として弱気のままだ。主なレジスタンスは1.0765~75付近で、ここは過去にサポートラインだった位置だ。ユーロ/米ドルがこのゾーンを多少上回ったところで、必ずしも弱気トレンドの終わりとはいかないだろう。トレンドの転換を確認するには、強気筋はその後も1.0945ドルを超える高値を目指す必要がある。弱気筋にとっては、2023年5月の安値である1.0635ドルを下回る流動性が次の大きなターゲットとなる。
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