ECBは50bpの利上げを示唆した際、市場の一部参加者を落胆させることになると思われた。すでに明らかになった通り、銀行セクターのここ最近のトラブルにもかかわらず、ECBは路線を変えることなく50bpの利上げを実施した。ユーロは当初わずかに値上がりした後で急落。ドイツ株価指数(DAX)は今週およびここ数か月での最安値を付けた後、反発して最悪のレベルからわずかに脱している。ユーロ/円はリスク回避の心理から今年の新たな最安値まで下がる可能性があるため、注意が必要だ。
トレーダーたちは、この状況ではECBにとって利上げが最善の判断であったことに気付いている。もし利上げをせずに発言を撤回していたならECBは信用を失っていたかもしれない。利上げ以外に道はなかった。しかし巧妙なのはここからで、ECBとしては利下げ幅の縮小や金利据え置きを求める人々を落胆させるのも避けたい。そのため今後の利上げについてのフォワードガイダンスや約束は発表せず、「ますます見通しが不透明になっていることから、政策委員会の金利決定ではデータに基づくアプローチの重要性が高まっている」と述べている。つまりこの状況では、今回の利上げはこの上なくハト派的なものだったということだ。
フォワードガイダンスを示さなかっただけではなく、ECBはまた必要に応じて市場流動性をサポートする手筈を整えており、金融と価格安定性のリスクに対処する準備があるとも述べている。
しかし金融の安定性のリスクが低下すれば、ECBはさらに利上げを進めるかもしれない。今後の利上げの可能性が取り消されたわけではないため、これから始まる記者会見でECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁がこの点に言及してくると筆者は見込んでいる。
たしかにインフレ率は依然として不愉快なほど高いため、今後もさらなる金利引き締めが必要になるだろう。最近発表されたユーロ圏のインフレデータは、2月に比べてほとんど改善していなかった。総合CPIは前年比で8.5%とわずかに下がっていたものの、8.3%まで落ち着くという予想は外れている。一方でコアCPIは5.3%から新たに最高値となる5.6%にまで上がっていた。ECBは主にコアインフレ率に焦点を当てることから、そちらが上昇したということは今後もさらなる引き締めが続く可能性が高い。
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