「金曜日のFX」にようこそ。この週刊レポートでは、テクニカル分析にも随所で触れつつ、主にマクロ的な視点から特定通貨のテーマについて解説していく。今週のレポートでは米ドルとのペアをいくつか取り上げ、来週の主なイベントを展
「金曜日のFX」にようこそ。この週刊レポートでは、テクニカル分析にも随所で触れつつ、主にマクロ的な視点から特定通貨のテーマについて解説していく。今週のレポートでは米ドルとのペアをいくつか取り上げ、来週の主なイベントを展望する。
米ドルは低調な1週間を過ごし、主要通貨ペア、株価指数、金、原油価格の上昇につながった。消費者物価指数(CPI)と購買力指数(PPI)がともに予想を下回ったことから、連邦準備制度理事会(FRB)がインフレとの戦いに勝利しつつあるというストーリーがさらに真実味を帯びてきたのだ。これにより米ドル指数は100を割り込んだ。金曜日の朝に米ドルは多少持ち直したが、それは単に新鮮な材料がなかったためで、トレーダーが利益確定を図ったのだ。午後にはUoM消費者心理指数とインフレ期待指数が発表され、こちらは予想を上回る結果となった。今後1年のインフレ期待値は予想3.1%に対し3.4%となり、インフレがしつこく続く可能性を示唆するものだった。このため米ドル/円は反発し、米ドルインデックスは上昇した。
ドルは明らかに売られ過ぎだ。例えばRSIが日足で「売られ過ぎ」の基準値である30を割り込みつつあることからも、それが見て取れる。
ドルが安値を更新する中、最も抵抗の少ない道が下方向であることは明らかで、過去のサポートレベルが今後レジスタンスレベルに転じる可能性もある。ドルがプラスに転じるにはまず高値が上がる必要がある。その先のことは高値が上がり始めてから考えることにしよう。目下は100.00近辺での値動きがどうなるかに注目したい。100.82付近がレジスタンスとなるが、これは2月につけた安値にあたる。その上では102.00が次の大きなレジスタンスとなるだろう。
英ポンド/米ドルはすでに米ドル安に応じてサポートラインを見出しており、英国の5月の経済縮小率が0.3%というエコノミストの予想に反して0.1%にとどまったことから、この力強いデータを背景に1.31を超えるまで上昇した。実質賃金の改善やエネルギー価格の上昇幅縮小によって、英国経済は今後数カ月は緩やかに成長する可能性がある。住宅ローン金利が上昇すれば成長の足を引っ張り、ポンド/米ドルの長期的な見通しに影響を与え、クロスポンドの他の通貨ペアの重しとなる可能性もある。今のところ、ポンド/米ドルとその他のクロスポンドペアで最も抵抗の少ない道は上方向だ。
今週発表された賃金上昇率は予想を上回り、ポンドを扱うトレーダーの次の関心は来週水曜日のインフレ率データに移る。イングランド銀行は8月3日の次回会合でさらなる利上げに踏み切る可能性が高いが、その上げ幅は今度のインフレ・データによって決まると思われる。詳細は以下を参照。
FRBの利上げが次で最後になるかもしれず、一方でECBの利上げは最低でもあと2回実施されるだろうという観測が、ユーロ/米ドルの上昇を後押ししている。 米国とユーロ圏の金利差が縮小することで、ユーロ/米ドル価格は下落局面でも下支えされるはずだ。1.15ドルを目指す動きが出てくる可能性もある。
ユーロ/米ドルの週末にかけての見通しは引き続きポジティブだ。ここ数日見られた爆発的なブレイクアウトは、特に長期的なトレンドも強気傾向にある中で(200日間移動平均の傾斜ひとつとっても明らかだ)、ユーロ/米ドルの強気筋がまだしばらくの間値動きの主導権を握る可能性が高いことを示している。
興味深いことに、フィボナッチ・ベースの値動き、つまりハーモニック・バタフライが形成されている。チャート内の注釈を参照してほしい。価格ポイントX、A、B、Cはすでに確立されており、重要な問題はポイント「D」がどこで発生するかだ。ここは通常、レジスタンスラインが見つかり下落に転じる地点である。フィボナッチ・エクステンションの水準が目安になるだろう。BC足の127.2%エクステンションは1.1220ドルにあたる。ただしCD足の動きがABの波に比べ急だったことから、CD足はAB足より大きくなると予想される。したがって値上がりは161.8%のフィボナッチエクステンションにあたる1.1380ドルまで続き、この水準が少なくともユーロ/米ドルの一時的な頂点になると考えられる。
一方、2021年の高値からの下落に対する長期的な61.8%のフィボナッチリトレースメントの水準は1.1275ドルとなる。
サポートレベルについてだが、短期的なユーロ/米ドルの見通しに関しては、水曜日の高値である1.1140ドルの維持が非常に重要だ。この水準を割り込んだ場合、4月の高値である1.1095ドルが次のサポートとなる可能性がある。ここを守れなければ、1.10ドル付近の重要なサポートが再び視野に入ることになるだろう。
コモディティドルにとって来週最も重要なイベントは、おそらく月曜に発表される中国の経済データだろう。世界第2位の経済大国である中国は最近あまり好調とはいえない。そのため中国の株式市場と人民元はそれぞれの分野で最も低迷しており、これが豪ドルとニュージーランドドルの選好の回復にもつながっている。いずれの通貨も、来週の中国のデータの発表に伴いサプライズの方向に動くはずだ。さらに豪ドル/米ドルの見通しは、木曜日に発表が予定されているオーストラリアの雇用統計にも影響される可能性がある。
小売売上高を除けば、来週の経済カレンダーでは米国からの重要なデータ発表の予定はない。このため、低調な1週間を経た後の米ドルはわずかに回復を見せると思われる。ただし続く翌週にFRBの動きが焦点となるまで、市場心理の変化につながる企業決算が多数控えている。
豪ドル/米ドルの主要サポートレベルは現在0.6800ドル付近で、ここはかつて非常に重要な水準だった。今週のブレイクアウトを踏まえると、強気筋であればこの水準を割り込んで価格が戻るのは避けたいところだ。
7月17日(月曜日)
03:00 (BST)
世界第2位の経済大国である中国は最近あまり好調とは言えず、そのため中国の株式市場と人民元はそれぞれの市場分野で最も低迷している。第1四半期の生産高は2022年の同時期に比べて4.5%増と予想を上回っていたが、続く第2四半期の実際の状況が明らかになる。また、小売売上高と鉱工業生産の最新値も同時に発表される。
7月18日(火曜日)
13:30 (BST)
先週はCPI、PPIともにインフレ率が予想以上に鈍化し、FRBが7月の利上げを最後に利上げを一旦停止する可能性が高まった。もし小売売上高が強めの数字となれば、物価上昇の鈍化と消費の回復というゴルディロックス・シナリオを補強することになり、ウォール街の強気筋は喜ぶだろう。ただし予想より弱い数字が出れば、景気後退の懸念が生じ、投資家の自信が弱まる可能性がある。
7月19日(水曜日)
07:00 (BST)
今週発表された賃金上昇率が予想を上回った後、ポンドを扱うトレーダーの次の関心は来週水曜日のインフレ率データに移る。イングランド銀行は8月3日の次回会合でさらなる利上げに踏み切る可能性が高いが、その上げ幅が25bpになるか50bpになるかが問題だ。ここで最新のインフレ指標が大きな影響を与えるだろう。
本記事の全チャートの出典:TradingView.com
望する。
ドル分析:米ドルは売られ過ぎの水準から反発
米ドルは低調な1週間を過ごし、主要通貨ペア、株価指数、金、原油価格の上昇につながった。消費者物価指数(CPI)と購買力指数(PPI)がともに予想を下回ったことから、連邦準備制度理事会(FRB)がインフレとの戦いに勝利しつつあるというストーリーがさらに真実味を帯びてきたのだ。これにより米ドル指数は100を割り込んだ。金曜日の朝に米ドルは多少持ち直したが、それは単に新鮮な材料がなかったためで、トレーダーが利益確定を図ったのだ。午後にはUoM消費者心理指数とインフレ期待指数が発表され、こちらは予想を上回る結果となった。今後1年のインフレ期待値は予想3.1%に対し3.4%となり、インフレがしつこく続く可能性を示唆するものだった。このため米ドル/円は反発し、米ドルインデックスは上昇した。
ドルは明らかに売られ過ぎだ。例えばRSIが日足で「売られ過ぎ」の基準値である30を割り込みつつあることからも、それが見て取れる。
ドルが安値を更新する中、最も抵抗の少ない道が下方向であることは明らかで、過去のサポートレベルが今後レジスタンスレベルに転じる可能性もある。ドルがプラスに転じるにはまず高値が上がる必要がある。その先のことは高値が上がり始めてから考えることにしよう。目下は100.00近辺での値動きがどうなるかに注目したい。100.82付近がレジスタンスとなるが、これは2月につけた安値にあたる。その上では102.00が次の大きなレジスタンスとなるだろう。
ポンド/米ドルの見通し:インフレ率発表に注目集まる
英ポンド/米ドルはすでに米ドル安に応じてサポートラインを見出しており、英国の5月の経済縮小率が0.3%というエコノミストの予想に反して0.1%にとどまったことから、この力強いデータを背景に1.31を超えるまで上昇した。実質賃金の改善やエネルギー価格の上昇幅縮小によって、英国経済は今後数カ月は緩やかに成長する可能性がある。住宅ローン金利が上昇すれば成長の足を引っ張り、ポンド/米ドルの長期的な見通しに影響を与え、クロスポンドの他の通貨ペアの重しとなる可能性もある。今のところ、ポンド/米ドルとその他のクロスポンドペアで最も抵抗の少ない道は上方向だ。
今週発表された賃金上昇率は予想を上回り、ポンドを扱うトレーダーの次の関心は来週水曜日のインフレ率データに移る。イングランド銀行は8月3日の次回会合でさらなる利上げに踏み切る可能性が高いが、その上げ幅は今度のインフレ・データによって決まると思われる。詳細は以下を参照。
ユーロ/米ドルの見通し:ユーロは1.15ドルに向かうか?
FRBの利上げが次で最後になるかもしれず、一方でECBの利上げは最低でもあと2回実施されるだろうという観測が、ユーロ/米ドルの上昇を後押ししている。 米国とユーロ圏の金利差が縮小することで、ユーロ/米ドル価格は下落局面でも下支えされるはずだ。1.15ドルを目指す動きが出てくる可能性もある。
ユーロ/米ドルの週末にかけての見通しは引き続きポジティブだ。ここ数日見られた爆発的なブレイクアウトは、特に長期的なトレンドも強気傾向にある中で(200日間移動平均の傾斜ひとつとっても明らかだ)、ユーロ/米ドルの強気筋がまだしばらくの間値動きの主導権を握る可能性が高いことを示している。
興味深いことに、フィボナッチ・ベースの値動き、つまりハーモニック・バタフライが形成されている。チャート内の注釈を参照してほしい。価格ポイントX、A、B、Cはすでに確立されており、重要な問題はポイント「D」がどこで発生するかだ。ここは通常、レジスタンスラインが見つかり下落に転じる地点である。フィボナッチ・エクステンションの水準が目安になるだろう。BC足の127.2%エクステンションは1.1220ドルにあたる。ただしCD足の動きがABの波に比べ急だったことから、CD足はAB足より大きくなると予想される。したがって値上がりは161.8%のフィボナッチエクステンションにあたる1.1380ドルまで続き、この水準が少なくともユーロ/米ドルの一時的な頂点になると考えられる。
一方、2021年の高値からの下落に対する長期的な61.8%のフィボナッチリトレースメントの水準は1.1275ドルとなる。
サポートレベルについてだが、短期的なユーロ/米ドルの見通しに関しては、水曜日の高値である1.1140ドルの維持が非常に重要だ。この水準を割り込んだ場合、4月の高値である1.1095ドルが次のサポートとなる可能性がある。ここを守れなければ、1.10ドル付近の重要なサポートが再び視野に入ることになるだろう。
豪ドル/米ドルの見通し:中国GDPとオーストラリアの雇用統計に注目
コモディティドルにとって来週最も重要なイベントは、おそらく月曜に発表される中国の経済データだろう。世界第2位の経済大国である中国は最近あまり好調とはいえない。そのため中国の株式市場と人民元はそれぞれの分野で最も低迷しており、これが豪ドルとニュージーランドドルの選好の回復にもつながっている。いずれの通貨も、来週の中国のデータの発表に伴いサプライズの方向に動くはずだ。さらに豪ドル/米ドルの見通しは、木曜日に発表が予定されているオーストラリアの雇用統計にも影響される可能性がある。
小売売上高を除けば、来週の経済カレンダーでは米国からの重要なデータ発表の予定はない。このため、低調な1週間を経た後の米ドルはわずかに回復を見せると思われる。ただし続く翌週にFRBの動きが焦点となるまで、市場心理の変化につながる企業決算が多数控えている。
豪ドル/米ドルの主要サポートレベルは現在0.6800ドル付近で、ここはかつて非常に重要な水準だった。今週のブレイクアウトを踏まえると、強気筋であればこの水準を割り込んで価格が戻るのは避けたいところだ。
来週の動き
中国GDP
7月17日(月曜日)
03:00 (BST)
世界第2位の経済大国である中国は最近あまり好調とは言えず、そのため中国の株式市場と人民元はそれぞれの市場分野で最も低迷している。第1四半期の生産高は2022年の同時期に比べて4.5%増と予想を上回っていたが、続く第2四半期の実際の状況が明らかになる。また、小売売上高と鉱工業生産の最新値も同時に発表される。
米小売売上高
7月18日(火曜日)
13:30 (BST)
先週はCPI、PPIともにインフレ率が予想以上に鈍化し、FRBが7月の利上げを最後に利上げを一旦停止する可能性が高まった。もし小売売上高が強めの数字となれば、物価上昇の鈍化と消費の回復というゴルディロックス・シナリオを補強することになり、ウォール街の強気筋は喜ぶだろう。ただし予想より弱い数字が出れば、景気後退の懸念が生じ、投資家の自信が弱まる可能性がある。
英国CPI
7月19日(水曜日)
07:00 (BST)
今週発表された賃金上昇率が予想を上回った後、ポンドを扱うトレーダーの次の関心は来週水曜日のインフレ率データに移る。イングランド銀行は8月3日の次回会合でさらなる利上げに踏み切る可能性が高いが、その上げ幅が25bpになるか50bpになるかが問題だ。ここで最新のインフレ指標が大きな影響を与えるだろう。
本記事の全チャートの出典:TradingView.com
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