ほぼ予想通りのインフレデータから、すぐに利上げが実施されることはないという見込みが強まり、金融市場は明日のFOMC会合を前にリスクオンの傾向が目立っている。トレーダーは強気相場が再開されたと考えており、今年後半の金利低下を期待している。結論:リスクオン。
ほぼ予想通りのインフレデータから、すぐに利上げが実施されることはないという見込みが強まり、金融市場は明日のFOMC会合を前にリスクオンの傾向が目立っている。トレーダーは強気相場が再開されたと考えており、今年後半の金利低下を期待している。
結論:リスクオン。
・ナスダック100とS&P500はともに0.7%上昇し、より広範な銘柄を対象とするラッセル2000は1.3%上昇。米国では比較的小型の景気循環株とテック株が引き続きリードしている。
・米国外では、日経平均株価が1.8%、DAXが0.7%、FTSE100が0.3%それぞれ上昇。日本と新興国がリードしている。
・ウォール街恐怖指数であるVIXは、長期間の低下を経て3%上昇し14.6となったものの、この値は懸念材料にはなっていない。
・金価格は0.7%下落し1オンスあたり1956ドル。心理的に重要な2000どるを維持することができなかった。
・原油価格は反発し、3.8%高の1バレル=67.3ドル。OPEC+の減産予想により、供給側の強気が優勢。
・穀物・油糧種子相場は、米国中西部の作柄が弱いこと、ドル安、エタノール燃料に対する政府の支援に関する具体的なニュースなどに支えられ、ほとんどの商品が上昇。
今朝発表された消費者物価指数(CPI)のインフレデータは予想以上の改善を見せており、FOMCが明日の会合で利上げを一旦停止するとの観測に拍車をかける形となった。コアインフレ率は依然として高いものの、エネルギー価格の下落が総合値を押し下げる要因となっている。明日は生産者物価指数(PPI)インフレデータの発表が予定されているが、金利据え置きの見通しが揺らぐ可能性は低いだろう。
今日のウォール街では慎重な「リスクオン」のセンチメントが広がっており、ことわざで言われる「ガラスには半分も水が入っている」という見方をとって、さらに株式市場の強気相場の再開を正当化した。FOMCはコアインフレ率を重視しており、この値はタカ派的政策の継続なしには2%の目標値まで引き下げることはできないだろう。現にFRBは、金利をより長期にわたってより高く維持する側に回るほうがましだと繰り返し表明している。
フェデラル・ファンド先物市場では引き続き6月の金利据え置きが見込まれており、さらに7月にはFRBのベンチマーク金利で25bpの利上げを実施して、年末までに利下げが始まると考えられている。しかし最近のデータやFRBメンバーのコメントからは、利下げが始まるまでの金利据え置き期間は市場の予想よりもはるかに長くなる可能性を示唆している。
・5月の総合CPIは前年比+4.0%、予想の+4.1%を下回り、4月の+4.9%からは低下した。
・変動の大きい食品とエネルギー部門を除いた5月のコアCPIは前年比+5.3%と予想通りで、4月の+5.5%からは低下。
・クリーブランド連銀のインフレ指標「ナウキャスティング」では、総合CPIが前年比4.13%増、コアCPIが前年比5.34%増と予測されていた。実際の数値はこの予想をわずかに下回る結果となっている。
・数字を詳しく見ていくと、5月の総合CPI下落の背景にはエネルギー価格の下落が大きく影響している。エネルギーコモディティの価格は前年比20.4%減となっている。
・このセクターで最も下落率が大きかったのは重油で、前年比37.0%減となった。
・電気は5月、前月比1%の下落を見せた
・コアCPIの高止まりは、食料とエネルギーを除いた商品の価格が0.6%上昇したことに加え、中古車・トラックが前月比4.4%上昇、医療コモディティと住宅価格が前月比0.6%上昇したことによる。
先日の2日間のアラブ・中国ビジネス会議では、中国はアラブ諸国との100億ドル相当の取引を成立させた。最大の56億ドルは、中国の電気自動車メーカーHuman Horizonsとサウジアラビアの投資省との間で、サウジアラビアのEV製造産業の確立を支援することを目的としたもの。ここには自動車に関する研究、製造、ゆくゆくはサウジアラビアでのEV販売が含まれる。これにより中国企業はインフラを整備し、電気自動車を開発し、新エネルギープロジェクトを海外市場で展開できることから、欧米諸国の需要減退により苦境に立たされている中国メーカーのプレッシャーを緩和することになる。これは中国が「一帯一路」イニシアティブを利用して、欧米からの脱却を図りつつ一帯一路参加国の中国への依存を強めている事例だ。テスラ、フォード、GMにとっては、海外の成長市場での競争が激化していることから、やや残念な知らせと言える。
本レポートに記載されている情報や見解は、一般的な情報としての使用のみを目的としたものであり、FX、CFD、その他あらゆる金融商品の購入や売却に関する勧誘や依頼の意図は全くありません。本文書に記載されている見解や情報は、予告や通知なく変更されることがあります。本文書は、特定の投資目的や背景、特定の受領者の意思などに沿って書かれ配布されたものではありません。本文書内で引用・言及されている過去の価格データは、当社独自の調査や分析に基づいており、当社はそのデータの提供元やそのデータそのものの信頼性につき、いかなる保証もせず、また筆者や訳者、各国の支社・ 支店も、本文書の内容の正確性や完全性についても一切保証しません。本文書については英語版を原本とし、翻訳版と原本に相違がある場合には、原本の内容が優先するものとします。本文書の内容に基づく直接または間接の損失、そして本文書を信頼したことにより生じた損失についても、当社は一切その責を負いません。
本レポートに記載されている情報や見解は、一般的な情報としての使用のみを目的としたものであり、FX、CFD、その他あらゆる金融商品の購入や売却に関する勧誘や依頼の意図は全くありません。本文書に記載されている見解や情報は、予告や通知なく変更されることがあります。本文書は、特定の投資目的や背景、特定の受領者の意思などに沿って書かれ配布されたものではありません。本文書内で引用・言及されている過去の価格データは、当社独自の調査や分析に基づいており、当社はそのデータの提供元やそのデータそのものの信頼性につき、いかなる保証もせず、また筆者や訳者、各国の支社・ 支店も、本文書の内容の正確性や完全性についても一切保証しません。本文書の内容に基づく直接または間接の損失、そして本文書を信頼したことにより生じた損失についても、当社は一切その責を負いません。