英国のインフレは依然として高止まりしており、今朝発表された総合インフレ率も予想を上回る8.7%となった(予想値は8.4%)。コアインフレ率も予想値の6.8%に対して7.1%と予想を上回り、英国と欧米諸国との乖離が際立っている。
先週、FRBは総合インフレ率が4%まで低下したことを受け、コアインフレ率は5%を超えているものの利上げは見送った。明日のイングランド銀行の金利決定はこれとはかなり異なった状況で下される。BOEは利上げに踏み切ると予想されているが、インフレ水準を踏まえるとタカ派的姿勢を維持する以外にほとんど選択肢はないのかもしれない。
外国為替市場もここしばらくは同様のテーマが浮上しており、英ポンドは多くの主要通貨に対して強さを保っている。ポンド/円は7年ぶりの高値をつけ、ポンド/米ドルは急騰して今年の高値を更新した。
先週、FOMCの金利決定を前に、筆者はポンド/米ドルは米ドル安シナリオの場合に魅力的な市場の一つになる可能性があると述べた。この時点で、英ポンド/米ドルの価格は5月初旬にレジスタンスラインとして試された長期的な下降トレンドラインの下に位置していた。しかし、先週の水曜日にFOMC、木曜日にECBの金利決定が相次いだことが強気筋に有利に働き、ポンド/米ドル価格はこのトレンドラインを超え、今年の高値更新まで押し上げられた。この強さは金曜の取引まで続き、週明けの取引開始後には反落が始まった。
ポンド/米ドル週足チャート
チャート作成:James Stanley、Tradingviewのポンド/米ドル
日足チャートからは、先週はマクロイベントによる動きが大きかった中でも、強気派の力強い働きかけを見ることができる。
まずは過去のレジスタンスゾーンだった1.2444~1.2500ドルのサポートを試す展開から始まった。しかし先週同ペアが見せた弱さはこの反落のみにとどまり、その後4日間にわたって強烈な上昇が続き、最終的に今年の高値を更新した。
この過程で、水曜日のローソク足が1.2667ドルの重要なレジスタンスのすぐ下で引けたことから、一時はこの水準の維持が危ぶまれた。しかし木曜日の突き上げで再びこのゾーンを上回り、今のところこのサポートは試されていない。ここは過去のレジスタンスラインであり、この通貨ペアの今年の高値でもあった。
これは明日の金利決定を前に価格を支える水準となり、引き続き注目されるが、もしかしたら問題にならない可能性もある。ここ2日間、プルバックが強気相場の圧力で相殺されており、さらに高値を更新するまで値上がりした場合にはブレイクアウトの可能性もあるためだ。今年の高値は今は1.2850ドルのすぐ下にあり、これを上抜けると1.3000ドルの心理レベルを再び試す可能性が視野に入ってくる。
1.2667のサポートが維持されなかった場合でも、ここまでの強気相場の構造がしばらく残り、5月上旬、そして先週に高値を維持したのと同じレジスタンストレンドラインがサポートになるかもしれない。明日は1.2566ドル前後が予想され、これが維持されれば安値は依然として先週のスイングローである1.2500ドルを上回る高値圏となり、強気相場継続のシナリオが維持される可能性がある。
ポンド/米ドル日足チャート
チャート作成:James Stanley、Tradingviewのポンド/米ドル
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