イングランド銀行の金利決定を前に、トレーダーたちは再び25bpの利上げを織り込み始めていた。先週の銀行セクターの危機に中央銀行は連携して対応し、それがトレーダーたちの懸念を和らげたのだ。金融市場の安定に対する懸念が完全に払しょくされたわけではないものの、トレーダーたちはBoEが昨年の「ミニ・バジェット」経済危機時のように今回のリスクにも的を絞った対策を取る選択肢を備えており、一方でインフレに対してはより従来型の対策(政策金利の変更)を取ることができると理解した。そういうわけで、投資家たちは今日の利上げをほぼ確信していた。
果たして大方の予想通り、BoEは25bpの利上げを実施し、政策金利を4.25%とした。
既に述べた通り、25bpの利上げは、特に水曜日に発表された最新のインフレデータとそれに対応するポンドのポジティブな反応から、ほぼ織り込み済みだった。
そのため会合直後の反応としては、ポンドはわずかに上昇したのみで、FTSEも数ポイント下落した後で再び反発した。
しかしポンド価格に影響を与えるのは金利決定だけではない。
賛成票と反対票の割合や、フォワードガイダンスでBOEが使用した言葉も重視される。
今回は賛成7、反対2で、テンレイロ氏とディングラ氏が金利据え置きに投票した。他のメンバーが追従しなかったことを踏まえると、バランスとしては先週予想されたよりもややタカ派的な結果であったと言える。
しかし、水曜日に発表された高インフレのニュースの後では、2月に開催された前回のBoE会合で利上げの一旦停止が示唆された後にポンドが急落したような大きな影響は市場には見られなかった。
BoEの決定は、結局はそれほど多くの人を驚かせるものではなかった。また、BOEが「より持続的なインフレ圧力の証左があれば、金融政策のさらなる引き締めが必要になる 」というフレーズを繰り返したことも、ほとんど驚くことではない。銀行セクターに関しては、BoEは政策決定員会の見立てとして英国の銀行システムに「回復力がある」と評している。
イングランド銀行の金利決定の前、為替市場全体にわたってポンドが強く、米ドルが弱くなっていたことから、英ポンド/米ドルは値上がりしていた。
「ケーブル」とも呼ばれるこの通貨ペアは、英国の消費者物価指数(CPI)が予想に反して10.4%にまで上昇し、BoEの25bpの利上げがほぼ確実視されるようになった後、2月初旬に最高値の水準に入っていた。ポンドとの他のペアも為替市場全体で上昇した。また、銀行セクターの危機の影響を英国の金融サービスは比較的よく防いでいるという見方から、今回のトラブルの影響を受けた他の通貨に対しても英ポンドは優位を保っていた。
さらに米国連邦準備制度理事会が水曜に実施した「ハト派的利上げ」も英ポンド/米ドルの価格を支えた。FOMCが今後の金利見通しについて、「継続的利上げ」という言い方を取り消し「ある程度の追加の政策引き締めが妥当になると思われる」と述べたことで、為替市場全体で米ドル売りの動きが広がった。しかしその後、今年中に利下げが実施されるという市場の観測をパウエル議長が却下したことで、英ポンド/米ドルは他の米ドルペアと合わせて最高値水準から値下がりを始めた。
1.2350ドルのレジスタンスラインを超えれば、次は1.25ドルまで上がる可能性がある。しかし1.2200ドルのサポートラインを割れば弱気相場に入るだろう。
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