オーストラリアの消費者価格指数(CPI)の下落を受けて豪ドル/米ドルはより安値圏での高値と安値を示しており、米国の国内総生産(GDP)の最新の値もインフレの強固な継続を示すと見込まれることから、豪ドル/米ドル価格にとってさらに重しとなるかもしれない。
先週、200日間移動平均(0.6739)より上の価格を維持できなかったことから、豪ドル/米ドルはレンジ相場を下抜けしている。今月に入って「デッドクロス」が形成された後、現在は50日間移動平均(0.6709ドル)が長期的な移動平均線の下に居座っていることから、テクニカルな見通しとしてはさらなる値下がりが見込まれる。
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同時に、2023年第1四半期には米国の経済成長率が鈍化すると予想されているにもかかわらず、米国から発信される経済データも豪ドル/米ドルの足を引っ張る可能性がある。連邦準備制度理事会がインフレの指標として推奨しているコア個人消費支出(PCE)は、同じく第1四半期には4.4%から4.8%に増加すると予測されるためだ。
一方、FRBは景気後退のサインがほとんど見られない中でインフレとの戦いをさらに進める可能性がある。オーストラリア準備銀行(RBA)は金融政策に関しては様子見を貫いていることから、豪ドル/米ドルは年初来安値(0.6565ドル)からの反発を維持するのに苦戦する可能性がある。
出典: ASX
ASX RBA金利インジケーターによると、4月26日時点では「2023年5月限は96.415で取引されており、これは次のRBA理事会での3.85%への利上げの可能性が0%と見込まれていることを示す」。また「メンバーは今後の会合で金融政策の引き締めが必要になる可能性を明確にすることが重要であると考え」、フィリップ・ロウ総裁らがその次の5月2日の金利決定でフォワードガイダンスを調整するかどうかは未確定だ。
それまでの間は、5月にFRBがさらに25bpの利上げを行うとの観測がある中、米国の動向が豪ドル/米ドルの価格を揺さぶる可能性がある。RBAと連邦公開市場委員会(FOMC)が異なる道筋を取っている中、最新のGDP発表が為替レートに逆風をもたらすかもしれない。
これを踏まえ、豪ドル/米ドルでは50日間移動平均(0.6709ドル)と200日間移動平均(0.6739ドル)の両方が負の傾斜をたどって「デッドクロス」を形成する可能性があり、為替レートはより安値圏での高値と安値をつけ始め、年初来の安値(0.6565ドル)からの反発の維持に苦戦するかもしれない。
チャート作成:ストラテジスト、David Son,。 TradingViewでのAUD/USDチャート。
・豪ドル/米ドルは200日間移動平均(0.6739ドル)よりも上を維持するのに苦戦した後、先週からのレンジ相場を維持できずにm50日間移動平均(0.6709)が長期移動平均線を下回る「デッドクロス」の形成が見られるようになっている。
・ 豪ドル/米ドルは、月間安値(0.6595ドル)を更新し、終値が0.6600ドル(23.6%のフィボナッチリトレースメント)を下回れば、3月の安値(0.6565ドル)を目指す動きが視野に入ってくることから、移動平均線の負の傾斜に追随する可能性がある。
・ 次の注目エリアは0.6510ドル(38.2%のフィボナッチリトレースメント)から0.6550ドル(61.8%のフィボナッチリトレースメント)付近。ただし終値で0.6600ドル(23.6%のフィボナッチリトレースメント)を下抜けしなければ、最近の下落に歯止めがかかるかもしれない。0.6660ドル(50%のフィボナッチリトレースメント)を超える動きがあれば、50日間移動平均(0.6709ドル)が再び視野に入ってくる。
補足リソース
ユーロ/米ドル見通し: 2022年4月の高値がふたたび視野に
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