24年9月8日版為替 Weekly Report

先週の為替相場サマリー

リスクオフで円の買い戻しが優勢

USD/JPY

ドル円は大きく下落。1ドル＝146.18円からスタートすると、週初は先週の流れを引き継ぎ円安が進行、147.21円まで上値を伸ばした。しかし火曜日に植田日銀総裁が物価の見通しが実現していくとすれば「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整」する方針を改めて示すと円の買い戻しが優勢となり146.00円を割り込む展開となった。火曜日NY時間の米8月ＩＳＭ製造業景況指数が47.2と事前予想を0.3ポイント下振れ145円台前半まで下押すと、水曜日の米国7月JOLTS求人件数が767.3万件と事前予想を43万件下回り144.00円まで急落。木曜日に発表された米8月ADP雇用統計は民間雇用が+9.9万人と予想を4.6万人下回る弱い数値で143.00円を割り込んだ。その後、米8月ＩＳＭ非製造業景況指数が51.5と事前予想を0.4ポイント上振れたことで144円台を回復する場面も見られたが週末の米8月雇用統計が弱く一時141.78円を記録、乱高下したのち142.29円でクローズ。

EUR/USD

ユーロは小幅に上昇。1ユーロ＝1.1047ドルからスタートすると、フランス、ドイツ、ユーロ圏の8月製造業ＰＭＩ改定値が上方修正され上昇する場面もあったが、火曜日のロンドン時間からユーロ売りが強まり1.1027の今週安値を記録。ただこのレベルで支えられると米8月指標が軟調で米長期金利が低下する中、ユーロは買い戻しが優勢となり水曜日の米国7月JOLTS求人件数発表のタイミングで週初の水準を上回った。その後もじり高の展開が続き、米8月雇用統計発表のタイミングで乱高下、1.1156まで上昇したのち1.1085まで値を戻してクローズ。

USD/CNH

小幅にドル高、人民元安。1ドル＝7.0888元からスタートすると、火曜日のロンドン時間までに7.1307まで上昇。ただその後は発表された米国8月の経済指標が弱含んだことに加えて、日本円が買い戻される中で人民元も連れ高。木曜日に週初の水準を下回ると、米8月雇用統計後にドルの安値7.0743を記録した。その後は買い戻され7.0927でクローズ。週初のレベルが低かったことで、週を通じては小幅な上昇となっている。

先週の世界の通貨強弱

ややドル売りが優勢（120/196ヵ国）

クロス円は軒並み下落

※通貨騰落率を可視化し、現在の「相場のテーマ」の推測に役立てています

• 先週の主要通貨における強弱は右記の通り 日本円＞ユーロ＞人民元＞英ポンド＞米ドル
• リスクオフ相場の中で特に買い戻されたのが日本円。ドル売りではなく円買いである点がポイント。
• 資源国通貨が弱い。

今週の為替相場の注目点

全体

どちらかと言えばドル売りが優勢のなか、今週は①トランプ・ハリス氏の討論会、②ECB金融政策決定会合、③米国8月CPIなどに注目が集まる。

また強まるリスクオフムードから、週明け月曜日の東京株式市場の値動きには注意を要するだろう。

USD/JPY

想定レンジ：139.00～144.50

直近安値141.70円、年初来安値140.25円、節目の140.00円の安値更新が視野に入る状況。下値を試すのであれば、その後は落ちついた値動きを想定するが積極的にドルを買う材料がない点は気掛かり。

EUR/USD

想定レンジ：EUR/USD 1.0980～1.1260

ECB金融政策決定会合に注目集まる。想定通り0.25％の利下げに留まるのであれば影響は限定的に留まり、その後はドル次第の展開となるだろう。

USD/CNH

想定レンジ：USD/CNH 6.97～7.14

引き続き人民元単独の材料は不足している状況。ただ米中金利差が縮小していく局面であることからレンジ設定は小幅にドル安、人民元高サイドに設定。

今週の注目イベント

9日

08:50　日本4-6月期ＧＤＰ（改定値）

08:50　日本7月国際収支

10:30　中国8月ＣＰＩ

10:30　中国8月ＰＰＩ

14:00　日本8月景気ウオッチャー調査

21:00　メキシコ8月ＣＰＩ

23:00　米国7月卸売売上高

28:00　米国7月消費者信用残高

10日

中国8月貿易収支

08:50　日本8月マネーストックＭ２

15:00　ノルウェー8月ＣＰＩ

15:00　ドイツ8月ＣＰＩ（改定値）

15:00　英国8月失業保険申請件数

15:00　英国8月失業率

15:00　英国7月失業率（ＩＬＯ方式）

21:00　ブラジル8月ＩＰＣＡ

トランプ・ハリス氏の討論会（ABCテレビ）

11日

15:00　英国7月月次ＧＤＰ

15:00　英国7月鉱工業生産

15:00　英国7月製造業生産指数

15:00　英国7月商品貿易収支

15:00　英国7月貿易収支

20:00　米国ＭＢＡ住宅ローン申請指数

21:30　米国8月ＣＰＩ

25:00　ロシア8月ＣＰＩ

12日

08:01　英国8月ＲＩＣＳ住宅価格指数

08:50　日本7-9月期法人企業景気予測調査

08:50　日本8月国内企業物価指数

08:50　日本前週分対外対内証券売買契約等の状況

15:00　スウェーデン8月ＣＰＩ

21:00　インド8月ＣＰＩ

21:15　ユーロ圏ＥＣＢ、金融政策決定会合

21:30　米国8月ＰＰＩ

21:30　米国前週分新規失業保険申請件数

21:45　ユーロ圏ラガルドＥＣＢ総裁、定例記者会見

27:00　米国8月月次財政収支

13日

13:30　日本7月鉱工業生産（確報値）

13:30　日本7月設備稼働率

15:45　フランス8月ＣＰＩ（改定値）

18:00　ユーロ圏7月鉱工業生産

19:30　ロシア中銀、金融政策決定会合

21:30　米国8月輸入物価指数

21:30　米国8月輸出物価指数

23:00　米国9月ミシガン大学消費者態度指数

25:00　ロシア4-6月期実質ＧＤＰ（改定値）