10日の日経平均株価は反落、前日比▲191.32円、▲0.48%となる39,581.81円で大引け。
前日にイラン革命防衛隊の海軍司令官より、「アラブ首長国連邦(UAE)におけるイスラエルの存在を脅威と見なし、ホルムズ海峡を封鎖する可能性がある」と伝わったことで、ややリスクオフムードに包まれる東京株式市場オープンを迎えた。
日経平均株価は前日の終値より191円安い39,582円で寄り付くと、フラフラと上下し方向感に欠ける滑り出しとなったが、39,672円まで値を戻して前場クローズ。後場に入ると39,709円まで反発したものの、ここから積極的に上値を追う展開にはならず39,510円まで下落したのち、オープンと同水準の39,582円でクローズ。
中国本土および香港株が軟調に推移したこと、NY時間に米国3月CPIを控えていることから、積極的に上値を追う動きにはならなかった。
また植田日銀総裁が衆院財務金融委員会で「為替が動いたから直接的に金融政策の変更を考えようということでは全くない」と発言したが株式市場への影響は限定的であった。
当日は小売業、医薬品が軟調に推移。小売業ではファーストリテイリングが▲49円、医薬品では中外薬品工業が▲16円、第一三共が▲11円、それぞれ日経平均株価を押し下げた。
なお10日のNY時間に発表された米国3月CPIを受けて株安が進み、NY午後の日経平均株価CFDは39,112円で取引されており、11日の東京株式市場は大きく下窓を開けてオープンしそうな状況。
10日の米国株式市場は主要3指数が揃って下落。
21:30に発表された米国3月CPI(消費者物価)が前年同月比で+3.5%、前月比で+0.4%と事前予想比でも実数としても強いインフレ圧力が確認されたことで米長期金利が4.50%台まで急上昇、ドル円は152.00円を突破し、米国株は22:30の寄り付き前に時間外で大きく売られた。
10日のS&P 500指数は、前日終値より56ドル安い5,154ドルで寄り付くと米長期金利が一段と上昇し、ドル高が進む中で上値は重く、NY午後にかけて5,139ドルまで下落。しかしこのレベルでは次第に買戻しが優勢になると、発表されたFOMC議事要旨において「量的緩和縮小ペースの減速を検討している(量的緩和の緩やかな縮小方針)」と伝わったことで5,161ドルまで買い戻されて引けた。
なお米国を訪れている岸田総理がバイデン大統領と会談し、防衛協力を深めるとともに、経済安全保障や宇宙など幅広い分野での連携強化を確認したが、相場への影響は限定的であった。
業種別では米長期金利の大幅な上昇を受けて、金利上昇による負担が大きい不動産が▲4.10%と大きく売られた。一方で唯一、買い越しとなったのがエネルギーで、イスラエルとイランを巡る軍事的緊張感の高まりを背景に資源価格が高止まりしていることが好感されているもよう。
個別の大型株ではテスラが▲2.89%、アップルが▲1.11%下落した他、マイクロソフトやグーグルも小幅に下落した。一方でエヌビディアが+1.97%、メタやアマゾンも小幅に上昇しており、大型株は一進一退の状況となっている。
①米国3月PPI(生産者物価)。日本時間21:30に発表予定の米国3月PPIは、CPIの先行指標として注目を集める。米国株価指数への影響も小さくないため、しっかり見ておきたい。
②ECB理事会に注目。21:15よりECB理事会における金融政策の決定が公表される。今回は金融政策の据え置きが予想されるものの、次回以降への政策修正に対する言及に注目が集まる。ユーロ圏の金融政策決定は金融マーケット全体に与える影響が大きいため、必ず押さえておきたい。
③岸田首相が米国上下両院で演説。立場上Buy Japan を趣旨とした発言を行うと見られており、これに株式市場がどのように反応するかが注目点。
④中東情勢に注目。引き続きイスラエルとイランを取り巻く状況を注視しておきたい。
⑤米長期金利の推移。昨日は4.56%台まで上昇しており、為替や株価への影響が非常に大きいものとなった。次の目安は4.65%となるがここに向けて一気に上昇するか、それとも一旦は落ち着きを見せるか、注目が集まる。
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