◆ドル円、FOMC 声明や1 月米雇用統計など米重要イベントが目白押し
◆ドル円、急騰している円金利の動向に警戒
◆ユーロドル、ECB の早期利下げ観測から上値重い
ドル円 146.00-150.00 円
ユーロドル 1.0500-1.1000 ドル
ドル円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)や1 月米雇用統計など米重要イベントが目白押しとなるなか、神経質な展開が想定される。
まず、来週の注目の一つがFOMC。今回は政策金利を据え置くことが大方の予想となっているが、焦点となっているのが声明文とパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が次回3 月会合での利下げを示唆するかどうかである。17 日にウォラーFRB 理事が「迅速に利下げしたり急いだりする理由はない」と発言したほか、12 月米消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったことで、一時は7 割程度まで織り込んでいた3 月の利下げ観測が5 割程度まで下がってきている。声明やFRB 議長による発言のトーンがこれまでと変わらなければさらに利下げへの思惑は後退し、これまで早期利下げを織り込んでいた向きからのドル買い戻しが急速に強まる可能性もあるだろう。
また、30 日に12 月米JOLTS 求人件数、31 日に1 月ADP 雇用統計、2 月1 日に1 月ISM 製造業景況指数、2 日に1 月米雇用統計や1 月ミシガン大学消費者態度指数・確報値など重要指標が相次いで発表されるため、結果次第では米長期金利が乱高下し、ドルも動意づくだろう。
そして、もう一つの注目点は本邦長期金利の動向だ。23 日に植田日銀総裁が会合後の定例記者会見で「(物価見通し実現の)確度は引き続き少しずつ高まっている」と発言したことでマイナス金利の早期解除期待が高まった。市場では、特に、日本の債券市場で債券が急落し円金利が急騰している。ただ、日銀総裁は「マイナス金利を解除しても極めて緩和的な環境が続く」と述べていることを鑑みると、市場が前のめりになって政策修正を囃している面も否めず、来週は行き過ぎた円金利上昇に調整が出ることも想定しておきたい。
ユーロドルは上値の重い展開が想定される。25 日の欧州中央銀行(ECB)理事会の声明では「基調インフレの低下傾向は続いている」としたほか、ラガルドECB 総裁からは景気やインフレについてハト派的な見解が目立った。また、「インフレ統計の結果次第で3 月利下げを議論する用意がある」との一部報道が伝わったため、市場では一段と利下げ観測が高まっている。
ドル円は、植田日銀総裁の発言に一喜一憂し一時146.99 円まで下落した後148.70 円まで急反発した。その後は円金利の急騰によって売りが再開すると146.66 円まで一転下落したが、1 月米製造業・サービス部門PMI 速報値が予想を上回るとショートカバーの動きに。一時148 円手前まで切り返すなど方向感が出なかった。
ユーロドルは米長期金利の上昇で1.0822 ドルまで下げた後は1.0932 ドルまで反発したが、ECB総裁のハト派発言などを受けて再び安値圏まで押し戻された。(了)
◆豪ドル、対ドルの動向はFOMC 次第
◆豪ドル、12 月・10-12 月期CPI に注目
◆ZAR、SARB は予想通りに金利据え置きを決定
豪ドル円 95.00-100.00 円
南ア・ランド円 7.50-8.00 円
豪ドルは対ドルでの荒い値動きに警戒が必要となる。来週は30-31 日に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)に注目。政策金利は据え置かれるとの予想になっており、ポイントは声明文で今後の政策行動について示すガイダンスを変更するかどうか。市場では次回FOMC(3 月19-20 日)からの利下げ観測が根強く残るなか、声明文やパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見次第ではドル相場全般が動意づくだろう。年始から米長期金利の上昇とドル高の傾向が続き、豪ドルも対ドルでは売りに押されてきたが、FOMC をきっかけに相場の流れが変化するか注目しておきたい。
また、来週は豪州からも31 日に12 月および10-12 月期消費者物価指数(CPI)の発表が控えており、こちらにも注意が必要だ。10 日に発表された11 月分のCPI は前年比4.3%上昇と市場予想(4.4%上昇)を下回り、インフレ鈍化傾向が続いていることを確認できたが、12 月や10-12 月期CPI でも再びインフレ動向を注視しておきたいところ。翌週の2 月6 日には豪準備銀行(RBA)が金融政策を公表するが、他の中銀と比較しても相対的にタカ派姿勢を維持しているとされるRBAの方針変化につながるような結果であれば、豪ドルにとっても重しとなりそうだ。なお、来週はその他にも30 日に12 月小売売上高、2 月1 日に10-12 月期輸入物価指数や12 月住宅建設許可件数、2 日に10-12 月期卸売物価指数(PPI)など注目の経済指標も発表予定となっている。
南アフリカ・ランド(ZAR)は神経質な展開が予想される。南アフリカ準備銀行(SARB)は今週開催された金融政策決定会合で政策金利を8.25%に据え置くことを決定。声明文では「現在の金利水準は制限的であり、インフレ見通しとインフレ期待の上昇に対処する必要性と一致している」「インフレ軌道に対する深刻な上振れリスクは明らか」などの見解を示した。金利据え置きの決定も含めて総じて市場予想通りの結果となったが、SARB が利下げを急ぐ姿勢を見せなかったことから、来週のFOMC を経て米金利の先安観が広がるようであれば、対ドルでZAR が底堅く推移する可能性もあるだろう。なお、来週は南アフリカから31 日に12 月貿易収支の発表が予定されているが、相場への影響は限られそうだ。
豪ドルは対ドルで方向感の乏しい動き。週を通じて手掛かり材料を欠いたこともあり、狭いレンジ内での上下を繰り返す神経質な展開となった。もっとも、対円ではドル円の下落につれて週央以降にやや上値を切り下げた。
ZAR は対ドルを中心に底堅く推移。年始からのドル高・ZAR 安基調に一服感が見られ、対ドルではZAR の買い戻しが入った。ZAR 円もつれて下値の堅い動きとなり、SARB の金融政策公表後もZAR買いの流れは継続した。(了)
◆ポンド、英中銀声明や金融政策報告書に注目
◆ポンド、英MPC 投票でタカ派委員のスタンスを注視
◆加ドル、BOC の結果を受けて上値追いづらい
ポンド円 184.00-191.00 円
加ドル円 107.50-111.50 円
ポンドは、2 月1 日に英中銀が公表する金融政策委員会(MPC)の結果や金融政策報告書の内容がその後の方向性を決めそうだ。政策金利については「5.25%に据え置き」が市場のコンセンサス。4 会合連続となる据え置きにサプライズはないだろう。前回12 月の英中銀声明では、「インフレ率は依然として目標2%から距離があり、今後も物価上昇圧力を注視する必要」に言及。その上で、「根拠があれば追加利上げもあり得る」と繰り返した。しかし実際には、市場は利下げに目を向け続けている。今年に入り織り込み度は低下したが、通信社によるエコノミスト調査によれば、6 月の英MPC で0.25%金利引き下げを見込む向きが過半数となっている。12 月英消費者物価指数(CPI)は予想に反して加速したが、4-6 月期には2%をやや割り込む水準まで減速するとの見方は根強い。四半期に一度の英中銀・金融政策報告書は前回、2024 年のインフレ率は3%前後との予測を示していた。今回の報告書でその辺りの変化にも気を付けたい。
政策金利が見込み通りに据え置かれたとしても、9 人の委員の投票内容には目を向ける必要がある。特にタカ派と見られている3 人(マン、ハスケル、グリーン委員)のスタンスに変化があるかに関心が集まるだろう。3 人は、ベイリー英中銀(BOE)総裁の政策金利据え置き提案に反し、0.25%利上げを3 会合連続で主張している。タカ派の投票行動に変化が見られるようであれば、金融政策自体が予想通りであってもポンドの動意に繋がりそうだ。
加ドルは、カナダ中銀(BOC)の金融政策決定会合を経て上値を追いづらい展開。BOC は24 日、市場予想通りに政策金利の5.00%据え置きを決定。中銀は「インフレ基調の持続を懸念」としながらも、CPI の上昇率は今年下期には前年比2.5%まで鈍化し、来年中に目標の2%に達するとの見通しを示した。また前回までの声明に見られた「必要があればさらに利上げをする用意がある」との文言を削除。マックレムBOC 総裁の会見からも、今後の焦点は利下げ開始時期にシフトしつつあることが汲み取れ、市場は6 月までの利下げ予想を強めている。
カナダ金利先安観が強まるなか、31 日の11 月国内総生産(GDP)が注目される。前年比では3カ月連続で1%を下回り、低水準の成長率が続いている。前回に予想比下振れて横ばいとなった前月比が昨年6 月以来のマイナスを記録するようだと、加ドルにとっても印象は良くないだろう。
ポンド円は週前半、日銀のインフレ見通し下振れを受けて189 円手前まで買いが強まった。ただし、一巡後は本邦長期金利上昇を背景とした円買いで187 円前半まで失速した。ポンドドルは12 月英PMI が予想を上回ったことで1.27 ドル後半まで上昇する場面があった。
加ドルは対円では110 円前半で上値を抑えられ、一時109 円割れまで売り戻された。本邦金利上昇が円買いに繋がったほか、BOC 声明がハト派的と受けとめられて加ドルの重しとなった。対ドルでは、1.34 加ドル前半から1.35 加ドル前半まで加ドル安に傾いた。(了)__
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