25日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは反落。終値は1.0846ドルと前営業日NY終値(1.0885ドル)と比べて0.0039ドル程度のユーロ安水準となった。欧州中央銀行(ECB)はこの日の定例理事会で、市場予想通り政策金利を4.50%で据え置くことを決めたと発表。声明では「金利水準は十分に長い期間維持される必要がある」「総合インフレに対するエネルギー関連のベース上昇効果とは別に、基調インフレの低下傾向は続いている」と指摘した。また、ラガルド総裁は理事会後の会見で「成長に対するリスクは引き続き下振れ方向」「短期的なインフレ期待の指標は著しく低下した」「インフレはさらに緩和すると予想」などと発言。短期金融市場でECBの利下げ観測が高まると、ユーロを売る動きが広がった。4時30分前には一時1.0822ドルと日通し安値を更新した。なお、ECB関係者の話として「ECBはインフレ統計が改善すれば、3月にも利下げ議論を開始する用意がある」との報道が伝わった。
ドル円は反発。終値は147.66円と前営業日NY終値(147.51円)と比べて15銭程度のドル高水準だった。10-12月期米国内総生産(GDP)速報値が前期比年率3.3%増と予想の2.0%増を上回ったことが分かるとドル買いが先行し一時147.92円と日通し高値を付けたものの、すぐに失速した。
米連邦準備理事会(FRB)が重視するインフレ指標である食品とエネルギーを除いた個人消費支出(PCE)コア価格指数が前期比年率2.0%上昇と市場予想通りとなり、インフレ抑制が進んでいるとの見方が広がった。米長期金利の低下とともに一転ドル売りが優勢となり、23時過ぎに一時147.09円と日通し安値を更新した。ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。対ユーロ中心にドル買いが進んだ流れに沿って、3時前には147.90円付近まで持ち直した。節目の147.00円や一目均衡表転換線146.84円、雲の上限146.44円がサポートとして働いた面もあった。
ユーロ円は4日続落。終値は160.15円と前営業日NY終値(160.57円)と比べて42銭程度のユーロ安水準。ラガルド総裁の理事会後の会見を受けて「ECBが近い将来利下げに動く」との見方が広がると、ユーロ全面安の展開となった。前日の安値159.98円を下抜けて一時159.70円まで値を下げた。
本日のドル円は、引き続き底堅さを維持すると思われるが、アジア時間は本邦のインフレ指標、欧米入り後は米国からのインフレ指標の結果を見定め、日米長期金利の動向に連れた動きになるだろう。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、3月の利下げ予想が先週までは過半数を占めていたものが、昨日は利下げと据え置きがほぼ拮抗している。米連邦準備理事会(FRB)がブラックアウト期間に入っていることで、FRB高官の見通しなどの発言が出てこないが、同期間に入るまでは比較的早期利下げに対しては否定的な発言が目立った。利下げへの慎重姿勢を崩していないことがドルを支えている。また、昨日発表された対外対内証券投資では、海外投資家が年初から3週連続で現物株を買い越したことが判明し、累計では約1兆5000億円にも上るなど、堅調な本邦株の動きもドル円を底堅くしている。この流れが続く限りは、ドル円の下値が堅くなるだろう。
本日は日本時間の8時30分頃発表の1月の東京都区部消費者物価指数(CPI)にまずは注目したい。全国のCPIの先行指標となる同指標だが、生鮮食料品除く総合予想(コア)は前年比で1.9%の上昇となっている。予想通りとなった場合は10月の+2.7%、11月の+2.3%、12月の+2.1%に続いて4カ月連続の低下となり、2%を割り込んだ場合は2022年5月以来の伸び悩みとなる。今週の日銀政策決定会合の植田日銀総裁のタカ派発言や、春闘に向けて大企業を中心に物価高を超す賃上げ表明で、3月か4月のマイナス金利解除期待が高まる中、CPIが伸び悩みとなった場合はマイナス金利解除が先延ばしとなる可能性もあり円売りに動くか。
もっとも、本日は米国からインフレ指標の1つ、12月米個人消費支出(PCE)が発表されることで、NY入り後も値幅を伴う動きになりそうだ。中でも名目PCEを実質PCEで割った「PCEデフレーター」から、更に食品とエネルギーを除いた「PCEコアデフレーター」はFRBが最重要視しているとされ、この結果次第で米金利とドルが大きな動きを見せることになるだろう。
なお、本日は1788年1月26日に植民を目的とした英艦隊が初めて豪州に到達した日(オーストラリア・デー)で豪州市場が休場になる。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◎ 1月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合予想:前年比1.9%)
○08:50 ◇ 12月企業向けサービス価格指数(予想:前年比2.4%)
○08:50 ☆ 12月18-19日分の日銀金融政策決定会合議事要旨
○14:00 ◇ 11月景気動向指数改定値
<海外>
○09:01 ◇ 1月英消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲21)
○16:30 ◎ パネッタ伊中銀総裁、講演
○16:45 ◇ 1月仏消費者信頼感指数(予想:90)
○18:00 ◎ シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○18:30 ◎ カザークス・ラトビア中銀総裁、ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○21:00 ◇ 12月メキシコ貿易収支(予想:14.00億ドルの黒字)
○22:30 ◎ 12月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.4%)
◎ 12月米個人所得(予想:前月比0.3%)
☆ 12月米PCEデフレーター(予想:前年比2.6%)
☆ 12月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.2%/前年比3.0%)
○24:00 ◎ 12月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比2.0%/前年比▲4.3%)
○オーストラリア(オーストラリア・デー)、インド(共和国記念日)、休場
○28日 フィンランド大統領選
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
25日12:05 神田財務官
「市場で米利下げ時期や日銀への関心が高く、投機にも影響」
「金融緩和は脱デフレに道筋がついた半面、長期化した副作用の指摘も」
25日20:11 トルコ中銀声明
「委員会はインフレ期待と価格設定行動が引き続き改善の兆しを示していると評価」
「金融引き締めの影響の遅れを考慮して、委員会はディスインフレコースを確立するために必要な金融引き締めは達成されており、この水準は必要な限り維持されると評価」
「委員会は毎月のインフレの基調傾向が大幅に低下するまで、またインフレ期待が予想される予測範囲に収束するまで、政策金利の現行水準が維持されると評価」
「インフレ見通しに対する顕著かつ持続的なリスクが顕在化した場合、委員会は金融政策のスタンスを再評価する」
「金融引き締めの効果の遅れを考慮し、委員会はインフレの基調的傾向の低下を確実にし、中期的に5%のインフレ目標を達成するために必要な金融環境を生み出すような形で政策決定を決定し続ける」
25日22:21 欧州中央銀行(ECB)声明
「総合インフレに対するエネルギー関連のベース上昇効果とは別に、基調インフレの低下傾向は続いており、過去の金利上昇は資金調達条件に強制的に反映され続けている」
「厳しい金融環境が需要を抑制し、これがインフレの押し下げにつながっている」
「金利は十分に長期間維持される必要」
「必要な限り政策金利は十分に制限的な水準に設定される」
「下期にはPEPPポートフォリオを月75億ユーロ削減する予定」
「理事会はPEPPに基づく再投資を2024年末に中止する予定」
25日22:53 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「労働市場は引き続き堅調」
「労働需要は減速している」
「ユーロ圏経済は第4四半期に停滞した可能性が高い」
「データは短期的な弱さを示唆」
「12月のインフレ反発は予想よりも弱かった」
「インフレは2024年にさらに緩和するだろう」
「インフレはさらに緩和すると予想」
「短期的なインフレ期待の指標は著しく低下した」
「成長に対するリスクは引き続き下振れ方向」
「賃金や利益率も価格上昇リスクとなる可能性がある」
「中東情勢の緊張はインフレの上振れリスク」
「成長鈍化は物価圧力を弱める可能性がある」
「利下げ議論は時期尚早がコンセンサスだった」
「初回の利下げ時期について自身の発言を維持」
※時間は日本時間
<ドル円=転換線の動向など支援に底堅い>
下影陽線引け。147.40円台で推移する90日移動平均線や昨年11月13日につけた同年高値151.91円から年末12月28日の安値140.25円までの下落幅に対する61.8%戻し147.46円を割り込んでも戻す底堅さを維持した。
一目均衡表・転換線が現水準147.20円から、現状の試算で来週早々にも147.73円に切り上がる見込みであることも支援となる。目先の底堅さを示唆する材料となる。
レジスタンス1 148.39(ピボット・レジスタン2)
前日終値 147.66
サポート1 147.09(1/25安値)
サポート2 146.66(1/24安値)
<ユーロドル=雲の中に潜り込み一目の買い示唆消滅>
陰線引け。一目均衡表・転換線と雲の上限が交差した1.08ドル後半を中心としたレンジから一時1.0822ドルへ下振れ、雲の中へ潜り込む動きとなった。その後の戻りも鈍く、一目の主要指標のなかでどうにか唯一の買い示唆を点滅させていた雲と相場の関係も悪化。雲の中にある間はまだ気迷いの範囲ともいえるが、重い動きになりやすいとみる。
レジスタンス1 1.0902(1/25高値)
前日終値 1.0846
サポート1 1.0787(90日移動平均線)
<ユーロ円=切り上がった転換線を下回る推移に>
下影陰線引け。一時159.70円まで下振れた。その後は上昇中の一目均衡表・転換線160.22円前後へ戻している。ただ本日は朝方から、160.55円へ切り上がった転換線を下回って推移。まだ上昇余地のある転換線は強い抵抗にならないかもしれないが、同線の動向が示唆する頭打ちの流れを想定して臨みたい。
レジスタンス1 160.60(5日移動平均線)
前日終値 160.15
サポート1 159.54(1/9-19上昇幅の半値押し)
<豪ドル円=転換線の動きに沿った底堅い推移想定>
小陽線引け。前日24日と並ぶ96.92円に安値をとどめ、下値に一目均衡表・基準線96.86円のサポートを控えるなか一目・転換線97.24円前後のレンジへ戻した。転換線は横ばいから来週にもじり高の流れへ移行する見込み。同線の動きに沿った底堅い推移を想定する。
レジスタンス1 97.65(1/24高値)
前日終値 97.22
サポート1 96.72(1/18安値)
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