24日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。終値は147.51円と前営業日NY終値(148.35円)と比べて84銭程度のドル安水準だった。本邦長期金利の上昇や日経平均先物の下落を背景に円買い・ドル売りが先行。米長期金利の低下に伴うドル売りが強まると、前日の安値146.99円を下抜けて一時146.66円まで値を下げた。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。1月米製造業・サービス部門PMI速報値が予想を上回ると、米長期金利が上昇に転じたためドル円にも買い戻しが入った。市場では「一目均衡表雲の上限146.44円がサポートとして意識されている」との指摘もあった。
低調な米5年債入札を受けて米長期金利が上昇幅を広げると、6時過ぎに147.64円付近まで下値を切り上げた。
ユーロドルは3営業日ぶりに反発。終値は1.0885ドルと前営業日NY終値(1.0854ドル)と比べて0.0031ドル程度のユーロ高水準となった。明日25日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会を前にポジション調整目的の買いが入ったほか、米長期金利の低下に伴うドル売りが出ると、23時30分過ぎに一時1.0932ドルと日通し高値を更新した。
ただ、米経済指標の上振れや低調な米5年債入札をきっかけに米長期金利が上昇すると、ドルを買い戻す動きが優勢に。6時過ぎには1.0878ドル付近まで下押しした。
ユーロ円は3日続落。終値は160.57円と前営業日NY終値(161.04円)と比べて47銭程度のユーロ安水準。1時前に一時159.98円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢となり5時前に160.72円付近まで下げ渋った。ドル円につれた動きとなった。
米ドルカナダドルは一転上昇した。23時30分過ぎに一時1.3430カナダドルまで値を下げたものの、6時過ぎには1.3528カナダドルまで値を上げた。米長期金利の動向につれた。
なお、カナダ銀行(BOC)はこの日、市場予想通り政策金利を5.00%に据え置くことを決めたと発表。声明では「インフレ率は徐々に低下し、2025年には目標の2%に達すると予想」「依然としてインフレ見通しに対するリスク、特に潜在的なインフレ圧力の持続を懸念している」と表明した。また、「コアインフレのさらなる持続的な緩和を確かめ、経済の需要と供給のバランス、インフレ期待、賃金上昇率、企業の価格設定に焦点を当てている」とし、前回までの「必要があればさらに利上げをする用意がある」との文言を削除した。
本日のドル円は、日米長期金利の動向を見定めながらの取引となるか。日銀政策決定会合後のドル円レンジは、高値が23日のNY午後に付けた148.70円、安値は昨日のNY午前に付けた146.66円になり、本日早朝にはそのレンジの半値(147.68円)に近い水準まで戻している。ここからは、再び仕切り直しとなり、日米の長期金利の動向がドル円市場を左右することになりそうだ。
円買いを促すのが、本邦長期金利の上昇。長期金利の指標となる10年債利回りは昨日0.74%まで上値を切り上げ、約1カ月ぶりの水準を回復した。植田日銀総裁の会見がややタカ派寄りと捉えられたことがきっかけだが、経済界が賃上げを積極的に進め、マイナス金利解除を促そうとしているのも一因だ。経団連と連合が賃上げの方針などを示す「労使フォーラム」が昨日に開催され、実質春闘が始まった中で、すでに大企業を中心に物価高を超す賃上げ表明が相次いでいる。マイナス金利は4月解除予想が依然として濃厚だが、解除への道のりが見えてきていることは円買い要因となる。
一方で、ドル買い要因は昨日の1月米製造業・サービス部門PMI速報値が予想を上回るなど、米経済指標が好結果なことで、これまでの米連邦公開市場委員会(FOMC)の早期利下げ観測が後退していることがあげられる。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、3月の利下げ予想が先週までは過半数を占めていたものが、昨日は据え置き予想が過半数になるなど見通しに変化が生じていることはドルの支えになりそうだ。
本日のアジア時間では、本邦から対外対内証券投資が公表される。先週発表された同指標では、国内居住者の対外投資が7833億円の買い超、非居住者の国内証券投資にいたっては、1兆2026億円の買い超と、いずれも大幅に数値を伸ばした。年初から始まった、新しい少額投資非課税制度(新NISA)の影響からドル買い意欲が旺盛となったとされているが、本日発表される前週分がどのような推移をたどっているかが、今後のドル買い意欲を占う面でも注目される。
なお、本日は欧州入り後には欧州中央銀行(ECB)をはじめ、複数の国が政策金利を発表することで、アジア時間では円以外の相場が動意づくのは難しいだろう。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○未定 ◇ 1月月例経済報告
<海外>
○16:45 ◇ 1月仏企業景況感指数(予想:98)
○18:00 ◎ 1月独Ifo企業景況感指数(予想:86.7)
○18:00 ◎ ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:4.50%で据え置き)
○18:30 ◇ 12月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.3%/前年比4.3%)
○20:00 ◎ トルコ中銀、政策金利発表(予想:45.00%に引き上げ)
○21:00 ◇ 12月メキシコ失業率(季節調整前、予想:2.60%)
○未定 ☆ 南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:8.25%で据え置き)
○22:15 ☆ 欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:4.50%で据え置き)
○22:30 ☆ 10-12月期米国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比年率2.0%)
◎ 10-12月期米個人消費(速報値、予想:前期比年率2.5%)
◎ 10-12月期米コアPCE(速報値、予想:前期比年率2.0%)
○22:30 ◇ 12月米卸売在庫(予想:前月比▲0.2%)
○22:30 ◎ 12月米耐久財受注額(予想:前月比1.1%/輸送用機器を除く前月比0.2%)
○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:20.0万件/182.8万人)
○22:45 ☆ ラガルドECB総裁、定例記者会見
○24:00 ☆ 12月米新築住宅販売件数(予想:前月比10.0%/64.9万件)
○26日03:00 ◎ 米財務省、7年債入札
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
24日16:12 功勝・中国人民銀行(PBOC)総裁
「穏健な金融政策に引き続きコミット」
「中国の金融リスクは全体的に管理が可能」
「2月5日に預金準備率を0.5%引き下げる見込み」
24日23:45 カナダ銀行(BOC、カナダ中央銀行)声明
「世界経済の成長は引き続き減速しており、ほとんどの国でインフレは徐々に緩和している」
「米国の成長は予想より強いものの、個人消費と企業投資の低迷により、2024年には減速すると予想」
「ユーロ圏では経済が緩やかに縮小しているようだ」
「中国では、消費者信頼感の低下と政策の不確実性により、活動が抑制される可能性が高い」
「原油価格は10月時点の想定よりも1バレル当たり約10ドル安い」
「金融情勢は緩和し昨秋の引き締めからほぼ逆転した」
「インフレ率は徐々に低下し、2025年には中銀の目標に到達すると予想」
「カナダ経済が2023年半ばから失速しており成長率は2024年の第1四半期までゼロ近くにとどまる可能性が高い」
「労働市場の状況は緩和し、求人数はパンデミック前の水準にほぼ戻り、新規雇用の創出ペースは人口増加よりも遅い。しかし賃金は依然4-5%程度上昇している」
「インフレ率は今年上期は3%近くにとどまり、その後徐々に緩和し、2025年には目標の2%に戻ると予想している」
「理事会は依然としてインフレ見通しに対するリスク、特に基調インフレの持続を懸念」
「理事会はコアインフレのさらなる持続的な緩和を望んでおり、引き続き経済の需要と供給のバランス、インフレ期待、賃金上昇率、企業の価格設定行動に焦点を当てている」
「物価安定を回復するという確固たる決意維持している」
25日00:56 マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁
「利下げ議論前にインフレに関してさらなる進展が必要」
「最新の予測により、金利を十分に引き上げたという確信が高まった」
「基調インフレの持続を懸念」
「政策金利の引き下げを議論するのは時期尚早」
※時間は日本時間
<ドル円=90日線や61.8%戻しこなした余波が続くか>
下影陰線引け。ここ数日続く下振れ場面が昨日もあり一時146.66円と16日以来の安値を更新した。しかし、やはりここ数日同様に147.45円前後で推移する90日移動平均線に近づいたり下抜けたりした水準から戻す底堅さも維持。付近に昨年11月につけた同年高値151.91円から年末安値140.25円までの下落に対する61.8%戻し147.46円も位置する。これらの水準を上抜けた勢いの余波が足もとの底堅さ維持の一因か。昨日の下振れは一目均衡表・転換線にも支えられた。同線は本日146.84円に位置し引き続き支えとなりそう。
レジスタンス2 148.70(1/23高値)
レジスタンス1 147.98(1/19-24下落幅の61.8%戻し)
前日終値 147.51
サポート1 146.84(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロドル=雲上限–転換線が交差する水準へ収れん>
上影陽線引け。上限が1.0870ドル前後で推移している一目均衡表・雲の中に潜り込んだものの上振れ、一時1.0932ドルまで上昇している。しかし1.09ドル前後で低下中の一目均衡表・転換線上回る同水準からは押し返された。結局は転換線と雲に挟まれたレンジ付近の推移が続き、転換線と雲の上限が週をまたいで交差しそうな1.0880ドル付近へ収れんしてきた。ここからレンジ放れの方向が決まるか。雲を支えとしたじり高を期待したいが、転換線が基準線を下回り、遅行スパンも同指標付近のローソク足を下回る現状では雲の中へ再び潜り込むリスクが意識されそう。
レジスタンス1 1.0932(1/24高値)
前日終値 1.0885
サポート1 1.0822(1/23安値)
<ポンド円=十字線形成で調整、転換線付近の動き注視>
下影陰線引け。19日の気迷いを示す十字線に近い足型形成に続き、23日は完全な十字線を形成し頭打ち。5日移動平均線を割り込む調整が進んだ。下値に上昇が続く見込みの一目均衡表・転換線186.80円が控えている。同線近辺で底堅さを示すことが予想され、付近での動意を注視したい。
レジスタンス1 188.48(1/24高値)
前日終値 187.72
サポート1 186.80(日足一目均衡表・転換線)
<NZドル円=転換線付近が重いものの一定の底堅さ維持>
陰線引け。一目均衡表・転換線90.28円を上回る水準の重さが続き、90円割れをうかがう様相。90.10円付近の21日移動平均線付近の底堅さもあり強弱を断言しにくい。89.81円へ切り上がった一目・基準線も支えとなりそうであるため、重いながら一定の底堅さを保ち、もみ合う展開か。
レジスタンス1 90.61(1/23高値)
前日終値 90.09
サポート1 89.74(1/23安値)
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