16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は147.19円と前営業日NY終値(145.73円)と比べて1円46銭程度のドル高水準となった。1月米ニューヨーク連銀製造業景気指数が▲43.7と予想の▲5.0を大幅に下回ったことが分かると全般ドル売りが先行。22時30分過ぎに一時146.29円付近まで下押しした。ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事はこの日、講演で「インフレが再燃しなければ、今年利下げは可能」としながらも、「インフレ率の低下が持続すると明確になるまで利下げを急ぐべきでない」「利下げは秩序立った慎重なペースで進めるべき」などと発言。「ウォラー氏は行き過ぎた市場の利下げ期待をけん制した」との見方から、米長期金利の上昇とともにドル買いが加速した。4時前には一時147.31円と昨年12月7日以来の高値を更新した。
ユーロドルは下落。終値は1.0875ドルと前営業日NY終値(1.0950ドル)と比べて0.0075ドル程度のユーロ安水準だった。ウォラー氏の発言を受けてFRBが早い時期に利下げに転じるとの見方が後退すると、米長期金利が上昇し全般ドル買いが優勢となった。欧米株価の下落を背景にリスク・オフのドル買いも入り、1時過ぎに一時1.0863ドルと日通し安値を更新した。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時103.43と昨年12月13日以来約1カ月ぶりの高水準を付けた。
なお、低調な米経済指標を受けて一時1.0898ドル付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは鈍かった。また、欧州中央銀行(ECB)高官からは早期利下げに慎重な発言が相次いだものの、ユーロ買いでの反応は薄かった。
ユーロ円は続伸。終値は160.06円と前営業日NY終値(159.60円)と比べて46銭程度のユーロ高水準。23時前に一時159.32円付近まで売られたものの、アジア時間に付けた日通し安値159.24円が目先サポートとして働くと買い戻しが優勢に。ドル円の上昇につれた円売り・ユーロ買いが出ると、一時160.15円まで上値を伸ばした。
本日の東京外国為替市場のドル円は、日米金融政策への思惑から堅調推移が予想される。
ドル円は、令和6年能登半島地震を受けて日銀の早期マイナス金利解除観測が後退という円売り要因と、ウォラーFRB理事の発言を受けてFRBの早期利下げ観測が後退するというドル買い要因を受け、147.31円まで上昇して年初来高値を付けている。
ドル円は、昨年11月13日の高値151.91円から12月28日の安値140.25円まで11.66円下落した後、昨日は半値戻しの146.08円を上回って147.31円まで上昇し、61.8%戻しの147.46円を射程に入れつつある。一目均衡表でも、雲(下限145.92円・上限146.81円)を上抜けて、三役好転が点灯して買い時代に入りつつある。
米商品先物取引委員会(CFTC)の1月9日時点のデータでは、投機筋の主要通貨や新興国通貨に対するドル売り持ち総額は127億ドルとなっており、前週の105億ドルから増加していた。昨年11月半ばの時点では、約100億ドルのドル買い持ちだったことで、約227億ドル規模の途転ドル売りが断行されたことになる。ドル売り持ちの背景には、昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で示された今年3回程度の利下げがあると思われる。さらに、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、今年6回の利下げで、年末のFF金利誘導目標は約4割が3.50-3.75%までの1.75%の利下げが見込まれている。
現状のドル全面高の展開は、投機筋のドル安相場観に反する動きであるため、彼らの動向には注視していきたい。昨日は主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスが一時103.43と昨年12月13日以来約1カ月ぶりの高水準を付けていた。
1月9日時点のCFTCでの円のネット売り持ちポジションは、55949枚(NY終値:144.48円)となっており、昨年11月14日の130249枚(NY終値:150.37円)から大幅に減少していた。
11時に発表される10-12月期中国国内総生産(GDP)は、前期比+1.0%、前年比+5.3%と予想されており、7-9月期GDPの前期比+1.3%は下回り、前年比+4.9%は上回ることが見込まれている。12月中国鉱工業生産(予想:前年比+6.6%)は11月の同比+6.6%と同じ、12月中国小売売上高(予想:前年比+8.0%)は、11月の同比+10.1%から伸び率鈍化が見込まれている。
中国の消費者物価指数(CPI)は、昨年10月から12月まで、3カ月連続で前年比マイナスとなっており、デフレ懸念が再燃している。中国人民銀行は、デフレ圧力に対処し、貸し出しを増やすために、15日に中期貸出制度(MLF)の1年物金利を引き下げることが見込まれていた。しかしながら、利下げが見送られたことで、次回の2月19日の月次見直しまで先送りされている。
中国の2023年通年でのGDPは前年比+5.2%と予想されており、成長率目標である5%前後の達成がほぼ確実となったことが見込まれている。今年の政策目標は、デフレリスクや住宅危機、長引く信用収縮が今年の成長モメンタム構築に向けた取り組みを損なうかどうかに移っている。
※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○11:00 ☆ 10-12月期中国国内総生産(GDP、予想:前期比1.0%/前年同期比5.3%)
○11:00 ◎ 12月中国鉱工業生産(予想:前年比6.6%)
○11:00 ◎ 12月中国小売売上高(予想:前年比8.0%)
○16:00 ◎ 12月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比3.8%)
○16:00 ◎ 12月英CPIコア指数(予想:前年比4.9%)
○16:00 ◇ 12月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.4%/前年比5.1%)
○23:00 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:35 ◎ バスレ・スロベニア中銀総裁、講演
○18:15 ◎ シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○18:30 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○19:00 ☆ 12月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比2.9%)
○19:00 ☆ 12月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比3.4%)
○20:00 ◇ 11月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比▲1.1%)
○20:30 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○21:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:00 ◎ 11月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比2.1%)
○21:15 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演
○22:30 ◇ 11月対カナダ証券投資
○22:30 ◇ 12月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比▲0.7%)
○22:30 ◇ 12月カナダ原料価格指数(予想:前月比▲1.6%)
○22:30 ☆ 12月米小売売上高(予想:前月比0.4%/自動車を除く前月比0.2%)
○22:30 ◇ 12月米輸入物価指数(予想:前月比▲0.5%)
○23:00 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長(銀行監督担当)、講演
○23:00 ◎ ボウマンFRB理事、講演
○23:15 ◎ 12月米鉱工業生産指数(予想:前月比横ばい)
◇ 設備稼働率(予想:78.7%)
○24:00 ◇ 11月米企業在庫(予想:前月比▲0.1%)
○24:00 ◎ 1月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:39)
○18日00:15 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○18日03:00 ◎ 米財務省、20年債入札
○18日03:30 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○18日04:00 ◎ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○18日05:00 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
16日16:30 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「利下げの時期については言及しない」
「今年の我々の次の行動は利下げ」
「金利は現在よりも高くなるべきではない」
16日20:26 ナーゲル独連銀総裁
「利下げについての話は時期尚早だ」
「インフレについてはまだ道半ば、政策判断にはデータを待つ必要」
「米国の選挙が市場に与える影響を監視する」
16日21:33 クガニャゴSARB(南ア準備銀行)総裁
「インフレ戦争に勝利するまで金利は長期間高くなる見込み」
17日00:39 センテノ・ポルトガル中銀総裁
「インフレのアンダーシュートは避けるべき」
「第1四半期のGDPは依然として停滞しているようだ」
「賃金について懸念する理由は見当たらない」
「インフレの軌道は良好」
17日01:04 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「以前ほど迅速に利下げをしたり急ぐ理由はない」
「利下げを開始した場合でも秩序だって慎重であるべき」
「インフレが再燃しなければ今年利下げが可能」
「持続可能な2%インフレの達成が射程圏内にあると確信」
「目標は近づいているが、確実にするためには今後数カ月以内にさらに詳しい情報が必要」
「利下げ時期と回数は今後のデータ次第」
17日02:59 ミュラー・エストニア中銀総裁
「ユーロ圏の賃金上昇率はインフレ目標と一致していない」
「市場の2024年利下げ予想はアグレッシブ」
※時間は日本時間
<ドル円=雲の下限を支持に押し目買いスタンス>
大陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯した。2手連続陽線で転換線を上回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。
本日は雲の上限146.81円を念頭に置き、下限を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 149.75(2023/11/22高値)
レジスタンス1 148.51(2023/11/30高値)
前日終値 147.19
サポート1 145.92(日足一目均衡表・雲の下限)
サポート2 145.37(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売り、200日線が視野に>
陰線引け。転換線は基準線を下回っているものの、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで買いシグナルが優勢な展開となっている。しかし4手連続陰線で転換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。
本日は1.0930ドル台の転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨みたい。下サイドでは、200日移動平均線1.0848ドルや一目・雲の上限1.0828ドルが意識される。
レジスタンス1 1.0931(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0875
サポート1 1.0733(日足一目均衡表・雲の下限)
<ユーロ円=1/16安値を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で推移していることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。2手連続陽線で転換線を大きく上回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。
本日は16日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 161.78(2023/12/1高値)
前日終値 160.06
サポート1 159.24(1/16安値)
<豪ドル円=1/11高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。しかし抱き線で反落し、僅かながらも転換線を下回って引け、続落の可能性が示唆されている。
本日は96.97円の転換線を念頭に置き、11日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 97.80(1/11高値)
前日終値 96.91
サポート1 96.21(日足一目均衡表・基準線)
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