11日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3営業日ぶりに反落。終値は145.29円と前営業日NY終値(145.76円)と比べて47銭程度のドル安水準となった。12月米消費者物価指数(CPI)が前月比0.3%/前年比3.4%と予想の前月比0.2%/前年比3.2%を上回り、エネルギーと食品を除くコア指数が前月比0.3%/前年比3.9%と前年比で予想を上回ったことが分かると、米長期金利の上昇とともに全般ドル買いが先行。前日の高値145.83円や5日の高値145.97円を上抜けて一時146.41円と昨年12月11日以来1カ月ぶりの高値を付けた。前週分の米新規失業保険申請件数が20.2万件と予想の21.0万件より強い結果となったこともドル買いを促した。
ただ、一時は4.06%台まで上昇した米10年債利回りが3.96%台まで低下するとドル円にも売りが波及。6時30分過ぎに145.26円付近まで押し戻された。市場では「米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測は根強い」との指摘があった。
なお、今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するメスター米クリーブランド連銀総裁は「12月CPIの結果は我々の仕事がまだ終わっていないことを示唆」「3月は利下げ時期としては恐らく早過ぎる」と述べ、市場の早期利下げ観測をけん制した。
ユーロドルはほぼ横ばい。終値は1.0972ドルと前営業日NY終値(1.0973ドル)と比べて0.0001ドル程度のユーロ安水準だった。22時30分頃に一時1.0996ドルと日通し高値を付けたものの、米CPIの上振れをきっかけにドルが全面的に買われると一時1.0930ドルと日通し安値を更新した。ただ、米長期金利が低下に転じると一転ユーロ買い・ドル売りが優勢に。5時前には1.0983ドル付近まで持ち直した。
なお、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁はテレビインタビューで「金利はピークに達した可能性が高い」「インフレを巡る最も困難な時期は終わった」「インフレ経路がデータで確認されれば利下げを開始できる」などと話した。
ユーロ円は反落。終値は159.41円と前営業日NY終値(159.94円)と比べて53銭程度のユーロ安水準。23時30分前に一時160.18円と昨年12月1日以来の高値を付けたものの、5時30分前には一時159.39円と日通し安値を更新した。ドル円の失速につれた。
本日の東京外国為替市場のドル円は上値が重い展開が予想される。昨晩発表された米12月CPIのコア及びスーパーコアの伸び率鈍化を受けて、米10年債利回りが低下していることが重しとなりそうだ。
ドル円は、昨年11月13日の高値151.91円から12月28日の安値140.25円まで11.66円下落した後に反発。昨日は146.41円まで上昇して半値戻しの146.08円を上回り、一目均衡表の雲の中へ入った。しかしながら現状は145円台に戻しており、雲の下で推移している。すなわち、「半値戻しは全値戻し」を意識する展開を警戒しておきたい。もし上昇基調が続くのならば、上値目処は雲の上限146.81円や61.8%戻しの147.46円となる。
2023年12月の米CPIは前年比+3.4%(11月:+3.1%)まで加速するも、エネルギーと食品を除くコア指数は同比+3.9%(11月:+4.0%)となり、2年7カ月ぶりに4%を割り込んだ。また、パウエルFRB議長が物価見通しの判断に最も重要であると注視しているスーパーコア(※住居費を除くサービス業の価格動向)は、前年比+4.09%だった。住居費インフレは前年比+6.15%で11月の同比+6.51%から低下し、家賃インフレは前年比+6.47%で11月+6.87%から低下し、どちらも22年7月以来の低水準だった。
CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、3月19-20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げ確率は71%台へやや上昇、据え置き確率は24%台へ低下している。
なお、米財務省が発表した23年12月の財政収支は1294億ドルの赤字となり、前年同月比で444億ドル(約52%)増加した。歳出は3%増の5587億ドルで、12月としては過去最高を記録した。昨年10月には、年間の利払い額が1兆ドルを超えたことが話題になったが、12月の利払い費は1190億ドルだった。
米議会は、1月19日のつなぎ予算の期限に向けて24会計年度(23年10月─24年9月)の予算を審議しているが、ジョンソン米下院議長は「つなぎ予算案についてコミットしていない。期限に間に合うことを強く希望している」と述べており、予断を許さない状況が続いている。
10時30分に発表される12月中国消費者物価指数(CPI)の予想は前年比-0.4%、生産者物価指数(PPI)の予想は同比-2.6%と、デフレ懸念を強めることが見込まれている。中国人民銀行はデフレ阻止のために金融緩和策を打ち出しているものの、今のところ効果は限定的だ。世界生産シェアが高い中国によるデフレの輸出が、主要国のインフレ圧力を緩和させる可能性を高めている。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 11月国際収支速報
◇ 経常収支(予想:季節調整前2兆3851億円の黒字/季節調整済2兆1770億円の黒字)
◎ 貿易収支(予想:5330億円の赤字)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース、2週分)
○14:00 ◇ 12月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数49.8/先行き判断指数49.5)
<海外>
○10:30 ◎ 12月中国消費者物価指数(CPI、予想:前年比▲0.4%)
○10:30 ◎ 12月中国生産者物価指数(PPI、予想:前年比▲2.6%)
○未定 ◎ 12月中国貿易収支(予想:747.5億ドルの黒字)
○16:00 ☆ 11月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.2%)
○16:00 ◎ 11月英鉱工業生産指数(予想:前月比0.3%/前年比0.7%)
○16:00 ◎ 11月英製造業生産高(予想:前月比0.3%)
○16:00 ◇ 11月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:157.00億ポンドの赤字/30.00億ポンドの赤字)
○16:00 ◇ 11月トルコ経常収支(予想:17.0億ドルの赤字)
○16:45 ◇ 12月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.1%/前年比3.7%)
○16:45 ◇ 11月仏消費支出(予想:前月比▲0.1%)
○21:00 ◎ 11月インド鉱工業生産(予想:前年同月比4.0%)
○21:00 ◎ 12月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比5.87%)
○21:30 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○22:30 ◎ 12月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.1%/前年比1.3%)
◎ 食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比1.9%)
○24:00 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○13日01:00 ◎ 12月ロシアCPI(予想:前月比0.9%)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
11日05:21 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「政策金利は2%の物価目標達成に十分に景気抑制的」
「緩和前にインフレ率が2%に向かうと確信する必要がある」
「インフレ率を2%に戻すという我々の取り組みはまだ終わっていない」
「FRBはしばらくの間、制限的な政策スタンスを必要とするだろう」
「見通しはいまだ不透明、金利決定は会合ごとに行われる」
「経済に対するリスクは両面ある」
「インフレ状況はかなり改善」
「バランスシートの縮小は計画通りに進んでいる」
11日06:38 米証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー委員長
「投資家は暗号資産に慎重であるべき」
11日23:31 ブイチッチ・クロアチア中銀総裁
「ユーロ圏のソフトランディングを予想」
「第1四半期の賃金動向をしっかり確認したい」
12日01:56 メスター米クリーブランド連銀総裁
「12月CPIの結果は我々の仕事がまだ終わっていないことを示唆」
「今年もインフレ率は引き続き低下するとの予測」
「今年は2%の目標に届かないだろう」
「3月は利下げには早すぎる」
「まだ利下げするには至っていない、経済が予想通りに進んでいるというより多くの証拠が欲しい」
12日03:29 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「インフレが目標に向かっていることを確信したい」
「インフレ率が2%に向けて軌道に乗れば利下げに前向きになる」
「本日の米CPIはほぼ予想通りであり、全体としては緩やかな推移を示唆」
12日04:56 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「現時点では我々は戦いに勝利している」
「我々はインフレの最も困難で最悪の時期を乗り越えたと思う。それはインフレが順調に低下するという意味ではない
「2025年のユーロ圏インフレ率は1.9%を見込む」
「ECBはピーク金利にある可能性が高い」
「インフレ経路がデータで確認されれば利下げを開始できる」
12日 05:22 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「利下げ前にさらなるデータを確認する必要がある」
※時間は日本時間
<ドル円=1/10安値を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の下で引けているものの、買いシグナルが優勢な展開となっている。孕み線で反落したものの転換線を上回って引けており、反発の可能性が示唆されている。
本日は10日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 146.41(1/11高値)
レジスタンス1 146.04(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 145.29
サポート1 144.32(1/10安値)
サポート2 143.62(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロドル=転換線を念頭、雲の上限を支持に押し目買い>
極小陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグナルが点灯している。2手連続陽線の後に孕み線で小反落したが、僅かながらも転換線を上回って引けており、反発の可能性が示唆されている。
本日は転換線1.0962ドルを念頭に置き、雲の下限を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.1046(1/2高値)
前日終値 1.0972
サポート1 1.0843(日足一目均衡表・雲の上限)
<ポンド円=押し目買いスタンス、下値は雲の上限がめど>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で推移しているため三役好転の強い買いシグナルが点灯している。孕み線で反落したものの転換線を上回って引けており、反発の可能性が示唆されている。
本日は押し目買いスタンスで臨みたいが、売り圧力が強まるようだと183.60円台の雲の上限まで下押しも想定しておきたい。
レジスタンス1 186.16(1/11高値)
前日終値 185.40
サポート1 183.63(日足一目均衡表・雲の上限)
<NZドル円=89円後半の転換線を支持に押し目買い>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。孕み線で反落したものの転換線を上回って引けており、反発の可能性が示唆されている。
本日は89円後半の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 91.52(2023/12/1高値)
前日終値 90.55
サポート1 89.81(日足一目均衡表・転換線)
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