8日のニューヨーク外国為替市場でドル円は下落。終値は144.23円と前営業日NY終値(144.63円)と比べて40銭程度のドル安水準となった。NY連銀が公表した12月の消費者調査で、1年先の期待インフレ率が3.0%と前月の3.4%から低下し、3年ぶりの低水準を付けたことが分かると、米10年債利回りが3.96%台まで低下。全般ドル売りが優勢となった。前週末の安値143.81円を下抜けて一時143.66円まで値を下げた。
ただ、売り一巡後は下げ渋る展開に。米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するボスティック米アトランタ連銀総裁が「FRBはインフレ抑制を確実に継続するため、引き締めの姿勢を崩していない」「現時点では勝利を宣言するのは時期尚早」と述べ、市場の早期利下げ観測をけん制すると米長期金利が低下幅を縮小。ドル円にも買い戻しが入り、5時過ぎには144.27円付近まで下値を切り上げた。
ユーロドルは小反発。終値は1.0950ドルと前営業日NY終値(1.0943ドル)と比べて0.0007ドル程度のユーロ高水準だった。米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが優勢になると、1時過ぎに一時1.0979ドルと日通し高値を付けた。ただ、ボスティック米アトランタ連銀総裁の発言が伝わると、1.0949ドル付近まで上値を切り下げた。
ユーロ円は続落。終値は157.93円と前営業日NY終値(158.25円)と比べて32銭程度のユーロ安水準。21時過ぎに一時158.37円付近まで上げたものの、アジア時間に付けた日通し高値158.49円が目先レジスタンスとして意識されると上値が重くなった。ドル円の下落につれた売りも出て、1時過ぎには一時157.69円と本日安値を更新した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りが4.0%台で推移していることで底堅い展開が予想される。
年初来のドル円は、2日の安値140.82円から3手連続陽線で上昇。その後、5日の米12月雇用統計を受けて高値145.97円まで続伸したものの寄引同事線となり、昨日は抱き線で反落した。テクニカル分析では、143円台の日足一目均衡表・転換線(143.11円)と基準線(143.88円)、200日移動平均線(143.42円)の上で推移していることで、買いバイアスが優勢な展開となっている。
米12月雇用統計では、失業率の3.7%、非農業部門雇用者数の前月比+21.6万人、平均時給の前年同月比+4.1%などはドル買い材料だった。しかし、11月と10月の非農業部門雇用者数が合計で7.1万人下方修正されたこと、家計調査の就労者数が68.3万人減少していたこと、失業期間が長期化し、労働参加率は62.5%へ低下し、労働時間が減少していたことは、ドルの上値を抑える要因となった。
ドル円を下支えする材料としては、米12月の失業率と非農業部門雇用者数を受けて米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始時期が先送りされる可能性がやや高まったこと、米議会超党派が2024年会計年度予算の大枠について合意に達したことで20日以降に米政府機関の閉鎖が回避される可能性が高まったことなどが挙げられる。
さらに、令和6年能登半島地震を受けて、生産活動の落ち込みや政府による復旧対策の補正予算編成などで、1月や3月に開催される日銀金融政策決定会合での早期マイナス金利解除が困難となったことも、円売り要因となっている。
8時半に発表される12月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)の予想は前年比+2.1%で、11月の同比+2.3%からは伸び率の鈍化が見込まれている。また、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数の予想は前年比+3.5%で、11月の同比+3.6%からの伸び率の鈍化が見込まれている。
12月の東京都区部CPIは来週発表される12月の全国CPIの先行指標となるため、日本のインフレ率の鈍化傾向を確認することになる。しかしながら、能登半島地震の影響により、日本のインフレ率が予想通りに鈍化傾向を辿っても、市場への影響は限定的だと思われる。
9時30分に発表される11月豪小売売上高は前月比+1.2%と予想されている。2月5-6日の豪準備銀行(RBA)理事会に向けて、重要視されている11月消費者物価指数(CPI)の発表を明日に控えていることで、予想から大幅に外れることがない限り市場への影響は限定的か。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◎ 12月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合予想:前年比2.1%)
○08:30 ◇ 11月家計調査(消費支出、予想:前年比▲2.3%)
<海外>
○09:01 ◇ 12月英小売連合(BRC)小売売上高調査(予想:前年同月比2.4%)
○09:30 ◎ 11月豪小売売上高(予想:前月比1.2%)
○09:30 ◎ 11月豪住宅建設許可件数(予想:前月比▲2.0%)
○15:45 ◇ 12月スイス失業率(季節調整前、予想:2.3%)
○16:00 ◎ 11月独鉱工業生産(予想:前月比0.2%/前年同月比▲4.0%)
○16:45 ◇ 11月仏貿易収支
○16:45 ◇ 11月仏経常収支
○19:00 ◎ 11月ユーロ圏失業率(予想:6.5%)
○未定 ◎ ポーランド中銀、政策金利発表(予想:5.75%で据え置き)
○21:00 ◎ 12月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比4.55%)
○22:30 ◇ 11月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲1.7%)
○22:30 ◇ 11月カナダ貿易収支(予想:20.0億カナダドルの黒字)
○22:30 ◎ 11月米貿易収支(予想:650億ドルの赤字)
○10日02:00 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○10日02:30 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○10日03:00 ◎ 米財務省、3年債入札
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
9日02:47 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「インフレ率の低下を考慮すると、失業率の上昇は典型的なケースよりもはるかに小さい」
「FRBは現在非常に強い立場にある」
「FRBはインフレを抑制するために制限的な政策を機能させ続けることが可能
「年末までに2回の0.25%の利下げが見込まれる」
「雇用減によりリスクは均衡しているが、インフレ率は依然として目標を上回っている」
「年末時点でも政策は依然として制限的である必要があるが、インフレの進展により金利引き下げが正当化される」
「現時点ではインフレがリバウンドする見通しはないが、FRBは依然として注意を払う必要がある」
9日06:37ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事
「インフレの低下が停滞した場合には引き続き利上げの用意がある」
「政策金利がしばらく据え置かれればインフレはさらに低下する可能性」
「現在の政策スタンスは十分に制限的であるようだ」
「インフレ率が2%近くまで低下すれば、最終的にはFRBの政策金利を引き下げるのが適切に」
「労働市場の需要と供給のバランスが改善されつつある」
「インフレの上振れリスクは依然として残る」
※時間は日本時間
<ドル円=143円前半で横ばいの転換線を支持に押し目買い>
陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。しかし、抱き線で反落したものの転換線を上回って引けており、反発の可能性が示唆されている。
本日は、143円前半で横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 146.59(2023/12/11高値)
レジスタンス1 145.97(1/5高値)
前日終値 144.23
サポート1 143.11(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 141.86(1/3安値)
<ユーロドル=1.10ドル超えの転換線を抵抗に戻り売り>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。1.09ドル前半の基準線を割り込んだところで下げ渋り、抱き線で反発した。しかしながら転換線を下回って引けており、反落の可能性が示唆されている。
本日は、横ばいの転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.1008(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0950
サポート1 1.0832(日足一目均衡表・雲の上限)
<ユーロ円=横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を上回っているものの、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、売りシグナルが優勢な展開。しかし、2手連続陰線でも転換線を上回って引けており、反発の可能性が示唆されている。
本日は、157円手前で横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 159.00(1/5高値)
前日終値 157.93
サポート1 157.04(日足一目均衡表・転換線)
<豪ドル円=基準線を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の中で引けた。3手連続陽線の後に抱き線で反落したものの転換線を上回って引けており、反発の可能性が示唆されている。
本日は転換線96.72円を念頭に置き、基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 97.60(2023/12/27高値)
前日終値 96.93
サポート1 95.85(日足一目均衡表・基準線)
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