27日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは4日続伸。終値は1.1105ドルと前営業日NY終値(1.1042ドル)と比べて0.0063ドル程度のユーロ高水準だった。12月米リッチモンド連銀製造業指数が▲11と予想の▲3を下回ったことを受けて全般ドル売りが先行。米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.7815%前後と7月20日以来の低水準を記録したことも相場の支援材料となり、一時1.1123ドルと7月27日以来5カ月ぶりの高値を更新した。米国のインフレ鈍化が鮮明になる中、米連邦準備理事会(FRB)が来年前半にも利下げに転じるとの観測も引き続きドル売りを促した。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時100.83と7月27日以来の低水準を付けた。
ドル円は3営業日ぶりに反落。終値は141.83円と前営業日NY終値(142.40円)と比べて57銭程度のドル安水準だった。米リッチモンド連銀製造業指数が予想を下回ったことで全般ドル売りが先行。堅調な米5年債入札を手掛かりに米長期金利が低下幅を拡大すると円買い・ドル売りが活発化し、4時30分過ぎに一時本日安値となる141.55円まで値を下げた。200日移動平均線が位置する142.93円を下回っていることで、テクニカル的にも売りが出やすい地合いだった。
ユーロ円は3日続伸。終値は157.51円と前営業日NY終値(157.24円)と比べて27銭程度のユーロ高水準。ダウ平均は史上最高値を更新するなど米国株相場が底堅く推移すると、リスク・オンの円売り・ユーロ買いが優勢となった。24時過ぎに一時158.39円と日通し高値を更新した。
ただ、19日の高値158.57円がレジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。ドル円の下落につれた売りも出て、一時157.30円付近まで下押しした。
本日のドル円も方向感がなく上下し、年末相場としか例えようのない相場となりそうだ。昨日のドル円とクロス円の乱高下は、年末を挟んでスワップポイント獲得期待で円ショートにしていた市場参加者が、あきらめてポジションを手仕舞ったとのうわさもあった。本日もスポット応当日が年をまたぐことや、年末にかけての特殊玉のフローが東京時間の仲値前後からNY時間まで満遍なく出てくることも予想されることで、ファンダメンタルズを無視した値動きになりやすい相場が続くことになるか。
昨日は1日を通すと結果的にはドル安・円高になったが、今週に入り円安に傾く材料も豊富に出ている。26日に発表された11月の全国消費者物価指数(CPI)から算出した「刈込平均値」「加重中央値」「最頻値」のインフレ基調3指標が、生鮮食料品を除くコアCPIが2%を超えてからは22年4月以来となる3指標の伸び率が同時にすべて縮小した。そして、昨日発表された12月18-19日に行われた日銀金融政策決定会合における主な意見で、「(現在、慌てて利上げしないと、ビハインド・ザ・カーブになってしまう状況にはなく)少なくとも来春の賃金交渉の動向を見てから判断しても遅くはない」との見解が示された。これまで市場が日銀のゼロ金利政策解除への期待が先走り過ぎていた巻き返しが入りやすい状況下にあり、ドル円の下値を支えることになるだろう。本日は、本邦の11月鉱工業生産・速報値が発表されるが、前年比で10月の+1.1%から-2.1%、前月比では+1.3%から-1.6%への低下が予想されている。予想よりマイナス幅が拡大した場合は、円安に動くか。
一方で、円高を促すのが経済界からの催促という面がある。経団連の十倉会長は18日に日銀のマイナス金利などの大規模緩和策について「できるだけ早く正常化すべきだ」と述べ、経団連が「前年以上の熱量で賃上げをめざす」としている。本日の日経新聞朝刊も「社長100人のアンケート」で賃上げは「5%台が最多」との見出しで、賃上げ路線が継続されるような報じ方をしている。また、昨日の日銀の主な意見についても日経新聞は「緩和出口へ現実味」と報じ、昨日市場が捉えた方向とは違う見出しで、ゼロ金利解除への道を煽っているようにも見受けられる。本邦金利の動向も2面性があることで、年末の薄い相場の中で、本日も方向感なく上下することになりそうだ。
また、昨日は米国市場も、通常なら市場の反応が鈍い米リッチモンド連銀製造業指数などで動意づき、米金利低下・ドル安となった。年末の特殊相場ということもあり、本日も通常ならば反応が鈍い経済指標や観測記事などで、大きな値動きを繰り返すことになりそうなので注意をしたい。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 11月鉱工業生産速報(予想:前月比▲1.6%/前年比▲2.1%)
○08:50 ◇ 11月商業販売統計速報(小売業販売額、予想:前年比5.0%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○21:00 ◇ 11月メキシコ失業率(季節調整前、予想:2.65%)
○22:30 ◇ 11月米卸売在庫(予想:前月比▲0.2%)
○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.0万件/187.5万人)
○24:00 ◎ 11月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比1.0%/前年比なし)
○29日01:00 ◇ EIA週間在庫統計
○29日03:00 ◎ 米財務省、7年債入札
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
27日08:55 日銀金融政策決定会合における主な意見(12月18-19日分)
「粘り強く金融緩和を継続する必要がある」
「現在、慌てて利上げしないと、ビハインド・ザ・カーブになってしまう状況にはなく、少なくとも来春の賃金交渉の動向を見てから判断しても遅くはない」
「物価が過度に上振れて、急激な金融引き締めが必要となるリスクは小さいが、そのリスクが顕在化した場合のコストは甚大である」
27日20:14 植田日銀総裁
「来年のマイナス金利解除の可能性、結論的にはゼロではない」
「今年上がった賃金がどの程度サービス価格に反映されるか見たい」
「非常に近い将来にデフレに戻るリスクは低い」
「2%インフレの実現、まだもう一つ自信を持てない」
「(将来の金融政策転換で)一部現状のままかもしれないが、全体を見直す作業はしたい」
「今年の春と同じか、それを少し上回るくらいの賃上げが望ましい」
※時間は日本時間
<ドル円=14日安値など141円割れ水準までの調整意識>
陰線引け。目先のすう勢を示す5日移動平均線の低下をともなう下向きの動きとなった。15日以来の安値141.55円をつけている。
本日142.15円前後へ低下した5日線前後の重い動きが続きそう。14日安値140.97円など141円割れ水準までの調整が意識される。
レジスタンス1 142.35(12/27レンジ61.8%水準)
前日終値 141.83
サポート1 140.97(12/14安値)
サポート2 140.70(7/31安値)
<ユーロドル=調整あっても5日線前後にとどめたい>
陽線引け。上昇継続で7月27日以来の高値1.1123ドルまで上値を伸ばした。高値圏でやや大きめに上振れた感もある。反動安となった際に支えとなりそうなトレンド系の主だった日足テクニカル指標が5日移動平均線ぐらいしかないため動意が多少不安定となる可能性も視野に入れて臨みたい。だが、反落が本日1.1055ドル前後で推移する5日線前後にとどまるなら、強い基調維持の確認になるといえる。
レジスタンス1 1.1150(7/27高値)
前日終値 1.1105
サポート1 1.1055(5日移動平均線)
<ポンド円=転換線を上回る水準から押し返される>
上影小陽線引け。一時182.19円まで上昇した。しかし日足一目均衡表・転換線181.98円を上回る同水準から押し返されている。転換線は現水準で頭打ちとなり、来週早々にも低下へ転じる見込み。転換線の動向が示唆するような戻りの限定される推移が続くとみる。
レジスタンス1 181.98(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 181.52
サポート1 180.51(12/26安値)
<NZドル円=雲の上限付近の攻防想定>
陰線引け。一目均衡表・雲を上回る水準で重い動きとなった。雲の上限89.53円付近の攻防を想定して臨みたい。下押し局面で支えとなりそうなのは一目・転換線89.14円。同線を割り込んでも雲の下限88.94円や90日移動平均線88.69円は支えになるだろう。
レジスタンス1 90.42(12/27高値)
前日終値 89.84
サポート1 89.14(日足一目均衡表・転換線)
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