18日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は142.78円と前営業日NY終値(142.15円)と比べて63銭程度のドル高水準だった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.96%台まで上昇するとドル買いが進行。明日の日銀金融政策決定会合の結果に注目が集まる中、円売りも優勢となり、前週末の高値142.47円や14日の高値142.90円を上抜けて一時143.16円まで上値を伸ばした。200日移動平均線が位置する142.57円を上抜けたことでテクニカル的にも買いが入りやすかった。
なお、市場の関心は明日の日銀会合の結果に向いており、「会合の結果と植田和男総裁の会見から政策修正などのタイミングを探りたいとの思惑が強い」もよう。
ユーロドルは反発。終値は1.0924ドルと前営業日NY終値(1.0895ドル)と比べて0.0029ドル程度のユーロ高水準だった。ただ、NY市場に限れば1.09ドル台前半での狭いレンジ取引に終始した。ユーロ豪ドルやユーロポンドなどユーロクロスの上昇につれた買いが相場を下支えした半面、米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが出たため相場は方向感が出なかった。
市場の関心が高かった米欧の主要中銀による金融政策の発表を終えたことで、方向感が出にくい面もあった。NY時間の安値は1.0907ドル、高値は1.0931ドルで値幅は0.0024ドル程度と小さかった。
ユーロ円は反発。終値は155.97円と前営業日NY終値(154.85円)と比べて1円12銭程度のユーロ高水準。ドル円の上昇につれた円売りが出たほか、ユーロクロスの上昇につれたユーロ買いが入ると一時156.31円と本日高値を付けた。なお、ユーロ豪ドルは一時1.6321豪ドル、ユーロポンドは0.8647ポンド、ユーロカナダドルは1.4645カナダドルまで値を上げた。
本日の東京外国為替市場のドル円は、植田日銀総裁のチャレンジング発言を受けて昨年12月の日銀金融政策決定会合の再現に警戒する展開が予想される。
今月6日の氷見野副総裁による大規模な金融緩和政策からの正常化への言及と、7日の植田総裁による年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる、との発言により、日銀ショックの再現の可能性が高まっている。
昨年12月19-20日の日銀会合では、金融緩和政策の修正が決定され、日銀ショックが市場を襲った。すなわち、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)で0%程度に誘導している長期金利(10年国債金利)の上限と下限を従来の「0.25%程度」から「0.5%程度」に拡大された。当時のドル円の動きを振り返ると、高値137.48円から安値130.58円まで約7円急落。最終的には、今年1月16日の安値127.23円まで約10円下落していった。
今回も、昨年同様の日銀ショックが再現された場合、142円台から135円程度までの急落を警戒すべきかもしれない。ドル円のテクニカル分析では、エリオット波動での最終第5波動となる「斜行三角形」が完成しており、目標値137.25円が点灯している。
想定される金融政策正常化の道筋としては、「必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」というガイダンスが削除された場合。そして、植田総裁がチャレンジング発言で示唆していたように、マイナス金利の解除が議論された場合となる。
日銀の金融政策予想を反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場では、来年1月の会合での利上げ確率が一時約4割まで高まった。
一方で、11日の報道「日銀関係者は、賃金と物価の好循環の実現に向けた十分な確証が得られていないため、マイナス金利やYCCの撤廃などを今月急ぐ必要はほとんどないとの認識」を裏付ける現状維持となった場合、ドル円は6日高値圏となる147円半ばまでの上昇が予想される。
個人消費は7-9月期実質国内総生産(GDP)の2期連続減少を踏まえ、従来の判断「物価上昇の影響を受けつつも、緩やかなペースで着実に増加している」が維持、または変更されるのかに注目しておきたい。
なお、自民党の派閥による政治資金パーティー収入の裏金化問題を受けた政局混迷が、本日の日銀の金融政策に与える影響も警戒されている。緩和重視の安倍派の勢力が低下していることで、日銀の自由度が高まる可能性、あるいは、政治の混乱の最中には景気への影響が大きい金融政策正常化の判断は避けられる可能性が指摘されている。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○未定 ☆ 日銀金融政策決定会合(終了後、決定内容発表、予想:当座預金金利▲0.10%で据え置き)
○15:30 ☆ 植田和男日銀総裁、定例記者会見
○未定 ◇ 12月月例経済報告
<海外>
○09:00 ◇ 12月ANZ企業信頼感
○09:30 ◎ 12月豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨
○17:00 ◎ シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○18:00 ◎ カジミール・スロバキア中銀総裁、講演
○19:00 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○19:00 ☆ 11月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比2.4%)
○19:00 ☆ 11月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比3.6%)
○22:00 ◎ ブリーデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○22:30 ◎ 11月カナダ消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%/前年比2.9%)
○22:30 ◇ 11月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比▲0.6%)
○22:30 ◇ 11月カナダ原料価格指数(予想:前月比▲3.5%)
○22:30 ◎ 11月米住宅着工件数(予想:136.0万件、前月比▲0.9%)
◎ 建設許可件数(予想:146.5万件、前月比▲2.2%)
○23:30 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○20日02:30 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○20日06:00 ◎ 10月対米証券投資動向
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
18日06:34 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「米経済のソフトランディングについて勝利宣言は時期尚早」
「2023年は失業率の大幅な上昇を伴わず、インフレ率が大きく低下することになりそう」
「目標に向かって進んでいると確信できるまでインフレ率を低下させなければならない」
18日19:39 ブロードベント・イングランド銀行(英中銀、BOE)副総裁
「不確実性がBOEの反応機能を遅らせる」
「賃金上昇率のより明確な低下がMPCが下向きトレンドと確信する前に必要だろう」
「英国は潜在成長率を下回る期間が長引く可能性」
18日21:42 カジミール・スロバキア中銀総裁
「性急な利下げは長すぎる引き締めのリスクよりも重大」
「過去数ヵ月に見られたインフレ率の好転は、勝利を宣言して次の段階に進むには十分ではない」
「インフレ率が2025年に目標に到達し、ソフトランディング・シナリオでこれを達成できるとの確信を深めている」
※時間は日本時間
<ドル円=144円前半の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。2手連続陽線で上昇中の200日移動平均線を上回ったものの、依然として転換線を下回って引けており、反落の可能性が示唆されている。
本日は144円前半の転換線を抵抗に戻り売りで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 145.99(12/13高値)
レジスタンス1 144.15(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 142.78
サポート1 141.43(12/15安値)
サポート2 140.97(12/14安値)
<ユーロドル=上向きの基準線を支持に押し目買い>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグナルが点灯している。3手連続陽線の後に孕み線で反落したものの、抱き線で切り返して転換線を上回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。
本日は、転換線の下で1.0850ドル台まで水準を上げてきた基準線を支持に押し目買いスタンスで臨みたい。基準線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.1009(12/14高値)
前日終値 1.0924
サポート1 1.0855(日足一目均衡表・基準線)
<ポンド円=低下中の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けているため三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。孕み線で反発したものの転換線を下回って引けており、反落の可能性が示唆されている。
本日は181円後半まで低下してきた転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 181.70(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 180.58
サポート1 179.83(12/15安値)
<NZドル円=昨日高値の上、転換線を抵抗に戻り売り>
陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、本日時点の雲の上限88.94円を下回って引けていることで売りシグナルが優勢な展開となっている。2手連続陽線でも転換線を下回って引けており、反落の可能性が示唆されている。
本日は昨日高値の上に位置する転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 89.24(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 88.68
サポート1 87.77(12/14安値)
フォレックス・ドットコムでは、ノックアウトオプション、FX、株価指数CFDを取引いただけます。
口座開設は以下のステップで行えます。
本レポートに記載されている情報や見解は、一般的な情報としての使用のみを目的としたものであり、FX、CFD、その他あらゆる金融商品の購入や売却に関する勧誘や依頼の意図は全くありません。本文書に記載されている見解や情報は、予告や通知なく変更されることがあります。本文書は、特定の投資目的や背景、特定の受領者の意思などに沿って書かれ配布されたものではありません。本文書内で引用・言及されている過去の価格データは、当社独自の調査や分析に基づいており、当社はそのデータの提供元やそのデータそのものの信頼性につき、いかなる保証もせず、また筆者や訳者、各国の支社・ 支店も、本文書の内容の正確性や完全性についても一切保証しません。本文書の内容に基づく直接または間接の損失、そして本文書を信頼したことにより生じた損失についても、当社は一切その責を負いません。
本レポートに記載されている情報や見解は、一般的な情報としての使用のみを目的としたものであり、FX、CFD、その他あらゆる金融商品の購入や売却に関する勧誘や依頼の意図は全くありません。本文書に記載されている見解や情報は、予告や通知なく変更されることがあります。本文書は、特定の投資目的や背景、特定の受領者の意思などに沿って書かれ配布されたものではありません。本文書内で引用・言及されている過去の価格データは、当社独自の調査や分析に基づいており、当社はそのデータの提供元やそのデータそのものの信頼性につき、いかなる保証もせず、また筆者や訳者、各国の支社・ 支店も、本文書の内容の正確性や完全性についても一切保証しません。本文書の内容に基づく直接または間接の損失、そして本文書を信頼したことにより生じた損失についても、当社は一切その責を負いません。