13日のニューヨーク外国為替市場でドル円は大幅に続落。終値は142.89円と前営業日NY終値(145.45円)と比べて2円56銭程度のドル安水準だった。11月米卸売物価指数(PPI)が予想を下回ったことが分かると、全般ドル売りが先行。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言が「市場で広がっている来年の利下げ観測を後押しする内容だった」との受け止めから、米金利が急低下するとドル売りが加速した。5時過ぎには一時142.65円まで大きく値を下げた。なお、米10年債利回りは一時4.0051%前後と8月10日以来の低水準を更新した。
FRBは12-13日に開いたFOMCで市場予想通りFFレートの誘導目標を5.25-5.50%に据え置くことを決めたと発表。政策金利見通し(ドット・チャート)では2024年末時点の中央値を5.125%(5.00-5.25%)から4.625%(4.50-4.75%)に下方修正し、来年3回の利下げを想定していることが示唆された。また、パウエルFRB議長は会見で「インフレは緩和したものの、依然として高すぎる」「FOMCは適切であれば追加引き締めの用意」としながらも、「きょうの会合で利下げのタイミングを協議した」「FOMCは現状維持が長すぎる場合のリスクを認識」などと語った。
ユーロドルは3日続伸。終値は1.0874ドルと前営業日NY終値(1.0794ドル)と比べて0.0080ドル程度のユーロ高水準だった。11月米PPIが米国のインフレ鈍化を裏付ける内容だったことから、全般ドル売りが先行。FOMCの結果を受けて米利下げ観測が高まると、ドル売りが加速した。前日の高値1.0827ドルを上抜けて一時1.0896ドルまで上値を伸ばした。
なお、市場では「FOMCの内容はかなりハト派的だった」との声が聞かれた。
ユーロ円は続落。終値は155.38円と前営業日NY終値(157.00円)と比べて1円62銭程度のユーロ安水準。ユーロドルの上昇につれた買いが入った半面、ドル円の急落につれた売りが出ると一時本日安値となる155.38円まで値を下げた。
本日のドル円相場は、昨日のFOMCの結果を受けて上値が重い動きとなりそうだ。昨日はパウエルFRB議長が「きょうの会合で利下げのタイミングを協議した」「政策金利は今サイクルのピークかそれに近いと考えている」などと発言。ドットプロットではFF金利見通しを、2024年末時点の中央値を4.6%と、前回の5.1%から下方修正した。この結果を受けてシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、来年3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ予想は、前日まで約41%が利下げ予想だったものが、約78%まで上昇している。米金利の低下がドル全体の重しになるだろう。
FOMC後に米10年債利回りは一時8月10日以来の4.00%台まで低下したが、同日のドル円は143-144円台で取引されていた。米金利の低下幅とドル円の下落幅はほぼ同じだが、日銀がマイナス金利政策解除に舵を切るとの観測が強いことで、円は更に買い上げられる可能性もありそうだ。
来週18-19日に行われる日銀政策決定会合を前に、会合前は日銀の政策を事前に小出しに伝えようとする日経新聞は、本日も「金利のある世界に備え」との見出しで、マイナス金利政策解除だけではなく「継続的利上げ 耐えられるか」とも記載している。もっとも、同紙が指摘するように、市場関係者の中で来週にマイナス金利政策解除を行うとの予想はほぼないが、地ならしを始める可能性はありそうだ。あくまでも観測記事ではあるが、海外勢はこのような記事に対しては反応が敏感なこともあり、ドル円の上値を抑える一因になりそうだ。また、昨日発表された日銀短観の、全規模・全産業の2023年度の下期想定為替レートは139.97円となっている。現行水準から3円程度しかないことで、円安局面では輸出予約が入ることも考えられる。なお、本日は本邦からそれぞれ10月の機械受注、鉱工業生産確報、設備稼働率などが発表されるが、円高基調ということもありポジティブサプライズには要警戒となりそうだ。
円以外の通貨では、オセアニア通貨の動きに注目したい。11月の食品価格が3カ月連続でマイナスとなり、インフレ鈍化予想となっているニュージーランドだが、本日早朝に発表された7-9月期の国内総生産(GDP)はプラス予想がマイナスに転じ、NZドルは上値が重く推移している。この後に豪州から11月の雇用統計が発表されることで、オセアニア通貨が軟調地合いとなっている中で、ネガティブサプライズへの反応が敏感になりそうだ。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 10月機械受注(予想:船舶・電力除く民需 前月比▲0.5%/前年比▲5.1%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○13:30 ◇ 10月鉱工業生産確報
○13:30 ◇ 10月設備稼働率
<海外>
○09:01 ◇ 11月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格(予想:▲57)
○09:30 ◎ 11月豪雇用統計(予想:失業率3.8%/新規雇用者数1.10万人)
○16:00 ◎ 11月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.6%/前年比6.0%)
コア指数(予想:前月比0.5%/前年比3.9%)
○16:30 ◇ 11月スイス生産者輸入価格
○17:30 ☆ スイス国立銀行(中央銀行、SNB)、政策金利発表(予想:1.75%で据え置き)
○18:00 ◎ ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:4.25%で据え置き)
○18:30 ◇ 11月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.1%/前年比5.5%)
○21:00 ☆ 英中銀(BOE)、政策金利発表(予想:5.25%で据え置き)
○21:00 ☆ 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
○21:00 ◎ 10月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比1.8%)
○22:15 ☆ 欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:4.50%で据え置き)
○22:30 ◇ 10月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲2.7%)
○22:30 ☆ 11月米小売売上高(予想:前月比▲0.1%/自動車を除く前月比▲0.1%)
○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.0万件/188.7万人)
○22:30 ◇ 11月米輸入物価指数(予想:前月比▲0.8%)
○22:45 ☆ ラガルドECB総裁、定例記者会見
○24:00 ◇ 10月米企業在庫(予想:前月比横ばい)
○15日04:00 ◎ メキシコ中銀、政策金利発表(予想:11.25%で据え置き)
○欧州連合(EU)首脳会議(15日まで、ブリュッセル)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
14日04:04 米連邦公開市場委員会(FOMC)声明
「最近の指標は、経済活動が第3四半期の好調なペースから鈍化していることを示している」
「雇用の増加は年初から鈍化したが依然として強く、失業率も低いままだ」
「インフレは過去1年間で緩和したが、依然として高止まりしている」
「米国の金融システムは健全で強固だ」
「家計や企業の金融および信用状況の引き締まりが経済活動、雇用、インフレの重しになる可能性がある」
「これらの影響の程度は引き続き不透明だ。委員会はインフレのリスクを引き続き大いに注視している」
「委員会は雇用最大化と長期的な2%のインフレ率の達成を目指す」
「これらの目標を支援するため、委員会はフェデラルファンド(FF)金利の目標誘導レンジを5.25-5.50%に維持することを決定した」
「委員会は追加の情報と金融政策への意味を引き続き評価する」
「徐々にインフレ率を2%に戻すために適切とみられる追加的な金融政策の引き締めの程度を決めるに当たり、委員会は金融政策の度重なる引き締め、金融政策が経済活動とインフレ率に及ぼす影響の遅れ、および経済と金融の動向を考慮する」
「さらに、以前発表された計画で説明されている通り、委員会は保有する米国債およびエージェンシーローン担保証券の削減を続ける」
「委員会は、インフレ率を2%の目標に戻すことに強く取り組む」
「金融政策の適切な姿勢を評価するに当たり、委員会は今後もたらされる経済見通しに関する情報の意味を引き続き監視する」
「もしも委員会の目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある」
「委員会の評価は、労働市場の状況、インフレ圧力、インフレ期待、金融と世界の動向を含む幅広い情報を考慮する」
「今回の金融政策決定は全会一致」
14日04:35 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「インフレは緩和したものの、依然として高すぎる」
「引き締めの効果はまだ十分に感じられていない可能性」
「政策は制限領域にうまく移行した」
「失業の急増なしにインフレが緩和したことは良いニュース」
「FOMCは慎重に進んでいる」
「労働市場のリバランスは継続すると予想」
「ここ数カ月のインフレ率低下を歓迎」
「FOMCは雇用市場の緩和が継続すると予想」
「名目賃金の伸びは鈍化しているようだ」
「金利上昇が設備投資に重し」
「FOMCは適切であれば追加引き締めの用意」
「当局者はさらなる利上げの可能性をテーブルから外すことを望んでいなかった」
「政策金利は今サイクルのピークかそれに近いと考えている」
「きょうの会合で利下げのタイミングを協議した」
「FOMCは現状維持が長すぎる場合のリスクを認識」
※時間は日本時間
<ドル円=200日線割れ水準で底堅さ示し反発できるか注視>
大陰線引け。低下中の一目均衡表・転換線を追う展開から下抜けに発展した。一時142.65円と、142.40円台で推移する200日移動平均線を試す動きとなった。
まだ7日の141.71円、8日の142.50円手前に下落はとどまっていた。しかし反発して長い下ひげをともなう足型を形成した両日と異なり、大きな陰線でしっかり下げた印象。本日早朝は売りが盛り返し142円割れに近づく動き。相場の強弱を判断する際の分岐点・200日線を下回る水準から反発できるか注視する状況となっている。
レジスタンス2 143.93(12/13レンジ38.2%水準)
レジスタンス1 142.89(12/14オセアニアタイム高値)
前日終値 142.89
サポート1 141.71(12/7安値)
<ユーロドル=基準線を支えとした底堅い推移予想>
陽線引け。前日12日に押し返された一目均衡表・転換線の抵抗をこなし、一目・基準線も上抜けた。1.09ドル回復をうかがう状況となっている。レンジ切り上げにより、基準線は横ばいから週明け18日にも上昇を再開する公算となってきた。1.0870ドル前後で推移する21日移動平均線付近で上昇の流れはやや停滞したが、ここからは基準線を支えに底堅く推移するか。
レジスタンス1 1.0922(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 1.0874
サポート1 1.0837(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロ円=転換線の上昇を待つことできるか注目>
大陰線引け。低下傾向の一目均衡表・転換線付近では動きが重く、円高基調のなか155.38円まで下振れた。動きを弱めたものの、154円前半で上昇中の200日移動平均線がまだ支えになる可能性を残している範囲の推移。同線を下値に控えるなかレンジ切り下げを回避して、上昇へ転じる兆しも見えてきた転換線(現在156.58円)の動きに沿って戻す機会をうかがう状況といえる。
レジスタンス1 156.18(12/13レンジ38.2%水準)
前日終値 155.38
サポート1 154.68(ピボット・サポート1)
<豪ドル円=雲を下抜け、雲下限付近のさえない動き想定>
上影陰線引け。一目均衡表・雲を下回る重い動きとなった。雲の中で戻りを試す場面もあったが押し返され、上値の重さを示す上ひげをつけた足型を形成している。雲の下限95.33円近辺のさえない推移が続くか。一目・転換線も現水準95.85円から低下してくる見込みで次第に抵抗を強めてきそうだ。
レジスタンス1 95.67(12/13高値)
前日終値 95.18
サポート1 94.61(12/14オセアニアタイム安値)
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