11日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は146.16円と前営業日NY終値(144.95円)と比べて1円21銭程度のドル高水準だった。欧州市場序盤に「日銀は賃金と物価の好循環の実現に向けた十分な確証が得られていないため、マイナス金利やイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の撤廃などを今月急ぐ必要はほとんどないとの認識」との観測報道が伝わり、全般円売りが進んだ影響が残った。低調な米3年債入札を手掛かりに米長期金利が上昇するとドル買いも優勢となり、一時146.59円と日通し高値を更新した。ただ、引けにかけては伸び悩んだ。米長期金利が上昇幅を縮めたことでドル円にも売りが出て、一時146.07円付近まで下押しした。
ユーロドルは小反発。終値は1.0765ドルと前営業日NY終値(1.0763ドル)と比べて0.0002ドル程度のユーロ高水準だった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.28%台まで上昇するとユーロ売り・ドル買いが先行。1時30分過ぎに一時1.0742ドルと日通し安値を更新した。ただ、米10年債利回りが4.22%台まで上昇幅を縮めると1.0770ドル付近まで持ち直した。もっとも、今日一日の値幅は0.0037ドル程度と小さかった。今週は11月米消費者物価指数(CPI)や米連邦公開市場委員会(FOMC)、欧州中央銀行(ECB)定例理事会など重要イベントが予定されているとあって、持ち高を一方向に傾ける動きは限られた。
ユーロ円は続伸。終値は157.34円と前営業日NY終値(156.05円)と比べて1円29銭程度のユーロ高水準。日銀が金融政策の修正に早期に動くとの観測が後退する中、全般円売りが優勢になると一時157.68円と本日高値を付けた。ただ、そのあとは157円台前半でのもみ合いに終始した。
本日のドル円相場も、日銀の政策変更に関する観測報道に右往左往する展開が続きそうだ。12月7日に行われた参院の財政金融委員会では、植田日銀総裁の「年末から来年にかけ一段とチャレンジングになる」との発言に市場の注目が最も集まったが、2時間超にわたる委員会では日銀に対して、様々な質疑応答が行われた。
その質疑応答の中で勝部議員(立憲民主党)が、ブルームバーグが記載した11月のコラムを引用し「日経(新聞)などがYCCの再修正を議論することを事前に報じた」ことに対することが、情報漏洩につながっているのではないかとの質問を行った。これに対し内田日銀副総裁は情報管理を徹底するとし、「日銀が報道機関の関係者と接触する場合は複数の人数で会うようにしている」という旨の回答をし、事前報道についての説明を行った。そのような状況下で流れた、昨日のブルームバーグの報道(マイナス金利やYCCの撤廃などを今月急ぐ必要はほとんどないとの認識)は、「複数の関係者への取材で分かった」と報じていることで、観測報道ではなく日銀関係者が非公式ながらも言及したと市場が受け止めるのは至極当然だろう。市場が12月への撤廃と先走っていたこともあり、円買いの調整に動いたのもうなずける。
しかしながら、本日の日経新聞の朝刊では「日銀、不慣れな対話路線」との見出しで、これまで事前報道を行っていた同紙が日銀の混乱について報じている。そして、この記事で注目されるのが「12月に解除を事前予告し、フォワードガイダンスを同時に修正する見方もある」との内容。141円台から146円台まで円買いの修正が入った相場だが、もし18-19日に行われる日銀政策決定会合で上述の事前予告が行われた場合は、再び円買いに動きやすい相場になりそうだ。
いずれにしても、日銀のブラックアウト期間は他国の中央銀行と違いわずか2営業日前(詳細は、各金融政策決定会合の2営業日前、会合が2営業日以上にわたる場合には会合開始日の2営業日前)からで、本日を含め日銀関係者からの発言や観測記事で市場は神経質な動きを繰り返すことには変わらないだろう。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 11月企業物価指数(予想:前月比0.2%/前年比0.1%)
<海外>
○09:30 ◇ 11月豪NAB企業景況感指数
○16:00 ◇ 11月独卸売物価指数(WPI)
○16:00 ◎ 11月英雇用統計(予想:失業保険申請件数推移1.50万件/失業率なし)
○16:00 ◎ 8-10月英失業率(ILO方式、予想:4.2%)
○19:00 ◎ 12月独ZEW景況感指数(予想:8.8)
○19:00 ◎ 12月ユーロ圏ZEW景況感指数
○21:00 ◎ 10月インド鉱工業生産(予想:前年同月比10.0%)
○21:00 ◎ 11月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比5.70%)
○21:00 ◎ 11月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比4.70%)
○21:00 ◇ 10月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比▲0.1%)
○22:30 ☆ 11月米CPI(予想:前月比横ばい/前年比3.1%)
☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比4.0%)
○13日02:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○13日03:00 ◎ 米財務省、30年債入札
○13日04:00 ◎ 11月米月次財政収支(予想:3010億ドルの赤字)
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
○メキシコ(聖母グアダルーペの日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
11日21:15 ブンゲ・リクスバンク(スウェーデン中銀)副総裁
「金融引き締めによりインフレは低下しつつあるが、インフレとの戦いが終わったと断言するには時期尚早」
「インフレが減速傾向にあるものの、クローナ安が不確実性を高めている」
「スウェーデン・クローナは過小評価されており、経済状況を考えると今後強含むことが示唆されている」
※時間は日本時間
<ドル円=次の抵抗として基準線を意識>
上影大陽線引け。相場の強弱を判断する際の分岐点・200日移動平均線を上回る水準での底堅さを維持した。上伸して一目均衡表・転換線145.11円や145円後半で低下中の5日線を上抜けている。
ここからは一目・基準線146.81円が次の抵抗として意識されるか。現状では横ばいからやがて低下へ向かう公算の基準線付近では相応の売り圧力にさらされそう。転換線や5日線を乗り越えたような反発力を示せるか注目となる。
レジスタンス1 146.81(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 146.16
サポート1 145.47(12/11レンジ38.2%水準)
サポート2 144.78(12/11安値)
<ユーロドル=気迷い示す十字線のような足型形成>
極小陰線引け。1.07ドル前半で低下中の90日移動平均線を追うように1.0742ドルへ下振れる場面もあった。しかし戻しており、気迷いを示すほぼ十字線のような足型を形成。方向感を定めにくいが、200日移動平均線1.0825ドルや一目・基準線1.0837ドルまでの上昇余地を感じる状況にもみえる。もっとも、低下傾向の一目・転換線1.0854ドル付近からは引き続き上値が重そうだ。
レジスタンス1 1.0854(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0765
サポート1 1.0724(12/8安値)
<ユーロ円=157.59円に低下した転換線前後の攻防>
大陽線引け。200日移動平均線前後で2日にわたり長い下ひげをつけて反発する底堅さを示した。その後を受け、157.68円まで上値を試している。昨日157.74円に位置していた一目均衡表・転換線は抵抗となり、引き続き本日は157.59円に低下した同線前後の攻防。重い動きを想定するが、こなすことができれば上昇が続く一目均衡表・雲の下限(本日157.75円)に沿って水準を回復できそうだ。
レジスタンス1 158.38(12/6安値)
前日終値 157.34
サポート1 156.44(12/11レンジ38.2%水準)
<豪ドル円=転換線付近で動き停滞か>
陽線引け。200日移動平均線を上回る水準ながら不安定に下振れる場面が続いていた。しかし昨日は底堅く、一目均衡表・雲を上回る動きとなっている。低下傾向の一目均衡表・転換線95.92円付近では動きが停滞気味。昨日の上昇が一目・基準線96.17円目前で抑えられた点も気になる。転換線の低下に引っ張られるように雲の中へ押し戻されるリスクも視野に入れて臨みたい。
レジスタンス1 96.57(12/7高値)
前日終値 95.99
サポート1 95.33(日足一目均衡表・雲の下限)
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