7日のニューヨーク外国為替市場でドル円は大幅反落。終値は144.13円と前営業日NY終値(147.31円)と比べて3円18銭程度のドル安水準だった。NY勢の参入後も日銀の政策修正期待を背景にした円買いの流れが継続した。3時前に売り圧力が強まると、市場では「エアポケット(買いの空白)のような状態に陥ってしまったようだ」との声も聞かれるなか、一時141.71円まで急落した。ただ、その後は急ピッチで値を下げてきた反動から短時間で143円台まで反発。引けにかけても144円台前半まで下値を切り上げた。
ユーロ円は大幅に9日続落。終値は155.58円と前営業日NY終値(158.57円)と比べて2円99銭程度のユーロ安水準だった。円が独歩高となった流れに沿って一時153.23円まで下押す場面があった。他のクロス円も全面安となり、ポンド円は178.67円、豪ドル円は93.73円、NZドル円は87.71円、カナダドル円は104.25円まで下げ幅を拡大。ただ、クロス円もドル円と同じく3時前に急落した後は反動から買い戻しが入り、ユーロ円は155円台半ばまで反発した。
ユーロドルは7営業日ぶりに反発。終値は1.0794ドルと前営業日NY終値(1.0764ドル)と比べて0.0030ドル程度のユーロ高水準だった。対円を中心にドル売りが進んだ影響を受けた。昨日高値の1.0804ドルを上抜けて3時前には1.0818ドルまで上昇。もっとも、その後は1.0790ドル台まで押し戻された。
本日のドル円相場も不安定な値動きになりそうだ。レンジ相場に慣れていたこともあり、昨日は5円を超える値幅を伴ったドル円相場だが、本日も1日を通して乱高下を繰り返しそうだ。また、昨年も12月の日銀政策決定会合を前後に大幅な円高となったことで、同様の動きを先取りした感じもある。
昨年を振り返ってみると、12月17日の日経新聞に「政府、日銀との共同声明見直し論」との報道が流れ、2%の物価上昇目標の達成時期や範囲をより柔軟にし、表現の一部を修正との内容を報じた。市場は瞬間的な円買いとなったが、影響は限られた。しかし、20日の日銀政策決定会合で長短金利操作の運用に関し、長期金利の許容変動幅を従来の「±0.25%程度」から「±0.5%程度」に拡大すると発表すると、一転円が急伸した。ドル円は当日の高値から7円弱の円買い・ドル安が進行した。
この経験があったことで、昨日は同じ轍を踏まないようにとの動きも進み、円の買い戻しが強烈に入った次第だ。ただし、市場が警戒しなくてはならないのは、今年最後の日銀政策決定会合は18-19日ということで、結果発表までまだ10日以上先になっている。日銀のブラックアウト期間は他国の中央銀行と違いわずか2営業日前(詳細は、各金融政策決定会合の2営業日前、会合が2営業日以上にわたる場合には会合開始日の2営業日前)からで、今後も植田日銀総裁をはじめとした日銀関係者から様々な発言が出てくることが予測され、その都度発言内容で乱高下することが予想される。
また、今後の本邦の経済指標もこれまで以上に神経質に市場が反応することが考えられる。本日も10月家計調査、10月毎月勤労統計、7-9月期実質国内総生産(GDP)改定値、10月国際収支速報、11月景気ウオッチャー調査などが発表される。9月の毎月勤労統計では実質賃金が2.4%減少し18カ月連続でマイナスとなった。日銀はこれまで「賃金上昇に伴う2%物価安定目標」としていることで、更に連続してマイナスになるのか。19カ月ぶりにプラスに転じるのかにより市場が敏感に反応する可能性も出てきている。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◇ 10月家計調査(消費支出、予想:前年比▲3.0%)
○08:30 ◇ 10月毎月勤労統計(現金給与総額、予想:前年比1.0%)
○08:50 ☆ 7-9月期実質国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比▲0.5%/前期比年率▲2.0%)
○08:50 ◎ 10月国際収支速報
◇ 経常収支(予想:季節調整前1兆9012億円の黒字/季節調整済1兆8582億円の黒字)
◎ 貿易収支(予想:3722億円の赤字)
○14:00 ◇ 11月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数49.1/先行き判断指数48.1)
<海外>
○13:30 ☆ インド中銀、金融政策決定会合(予想:6.50%で据え置き)
○16:00 ◎ 11月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比▲0.4%/前年比3.2%)
○16:35 ◎ ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○22:30 ◇ 7-9月期カナダ設備稼働率(予想:81.0%)
○22:30 ☆ 11月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化18.0万人/失業率3.9%/平均時給、前月比0.3%/前年比4.0%)
○24:00 ◎ 12月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:62.0)
○9日01:00 ◎ 11月ロシアCPI(予想:前月比1.2%)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
7日10:03 植田日銀総裁
「日本経済の先行き、緩やかな回復を続けるとみている」
「基調的な物価上昇率は、25年度にかけ2%目標へ徐々に高まる」
「為替市場の動向や経済、物価への影響を注視」
7日15:20
「(岸田首相との会談で)為替については話していない」
「金融政策の基本的な考えを説明した」
「年に数回の意見交換」
8日02:39 グラベル・カナダ銀行(中央銀行、BOC)副総裁
「住宅価格の不均衡は住宅価格のインフレに深刻な影響を及ぼす」
「10月の家賃インフレは40年ぶりの高水準に加速、住宅供給は近年の移民増加に追いついていない」
「人口動態に伴う需要の急増と既存の構造的供給問題が相まって、家賃インフレが上昇を続けている可能性がある」
「景気は現在ほぼ均衡しているが、インフレ期待、賃金の伸び、企業の価格設定行動を注視」
「これらの指標は、インフレ率が2%への持続的な道筋をたどるのかどうかを評価するのに役立っている」
「主要なインフレ指標では歓迎すべき改善が見られたが、さらなる進展が必要」
※時間は日本時間
<ドル円=支えとなりそうなテクニカル指標が乏しく不安定か>
下影大陰線引け。8月7日以来、4カ月ぶりの安値141.71円まで大幅安となった。
その後は急落の反動で144円台へ大きめに戻している。本日も買い戻しが入る余地はあるかもしれないが戻り待ちの売りも想定できる。下値に押し目を支えそうな主要な日足テクニカル指標も乏しいため、不安定に振れる展開が続くか。
レジスタンス2 145.98(5日移動平均線)
レジスタンス1 145.27(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 144.13
サポート1 142.34(200日移動平均線)
<ユーロドル=基準線に沿う戻り期待も1.08ドル台は重そう>
小陽線引け。昨日1.0793ドルへ切り上がった一目均衡表・基準線を動向を追うように戻し、一時1.08ドル台を回復する動きとなった。NY終値ベースでも基準線を上回った。基準線は本日1.0816ドルへ上昇。同線を追うような戻りが続くことも期待できる。ただ、昨日は5日移動平均線付近で上値が重かったが同線は本日1.0797ドル前後へ低下して推移。一目・転換線1.0886ドルの抵抗も位置する1.08ドル台では動きが重くなりそう。
レジスタンス1 1.0852(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 1.0794
サポート1 1.0755(12/7安値)
<ユーロ円=即座の200日線回復好感もリスクは下向き>
下影大陰線引け。7月28日以来、4カ月ぶり以上となる水準153.23円まで大きく下振れた。154円付近で推移する200日移動平均線を下抜ける場面もあった、反発して155円半ばでNYを引けており、相場の強弱を判断する上の分岐点200日線を即座に回復した点は好感したい。しかし相場が傷んだ感のある下振れであり、200日線を意識した下向きリスクを抱えながらの推移が続くことになりそう。
レジスタンス1 156.52(10/9安値)
前日終値 155.58
サポート1 154.01(200日移動平均線)
<豪ドル円=200日線手前から反発も安定感を欠く推移か>
下影大陰線引け。10月3日以来、約2カ月ぶりの安値93.73円まで大幅に下落が進んだ。好感したいのは93円半ばで推移する200日移動平均線手前で折り返すことができた点。相場の強弱を判断する上の分岐点である同線付近から95円近辺で切り上がる一目均衡表・雲の下限付近まで反発した。ただ、昨日安値や200日線は支えと考えるにはやや距離感があり、急落に対する反動が続くにしても安定感を欠く推移になるとみる。
レジスタンス1 96.06(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 95.16
サポート1 93.73(12/7安値)
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