30日のニューヨーク外国為替市場でドル円は5営業日ぶりに反発。終値は148.20円と前営業日NY終値(147.24円)と比べて96銭程度のドル高水準となった。デイリー米サンフランシスコ連銀総裁が「現時点では利下げについて全く考えていない」「米連邦準備理事会(FRB)が利上げを完了したかどうかを考えるのは時期尚早」と述べたほか、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁が「景気抑制的な金融政策はかなりの期間続くと想定」「インフレ圧力が続けば再び利上げの可能性もある」などと発言すると全般ドル買いが先行。11月米シカゴ購買部協会景気指数が55.8と予想の45.4を上回ったこともドル買いを促し、一時148.51円と日通し高値を更新した。
月末のロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに絡んだ円買い・ドル売りが入ると147.72円付近まで伸び悩む場面もあったが、フィキシング通過後は再び強含み、148円台に乗せた。
ユーロドルは続落。終値は1.0888ドルと前営業日NY終値(1.0969ドル)と比べて0.0081ドル程度のユーロ安水準だった。欧州時間発表の11月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が予想を下回ったことを受けて、全般ユーロ売りが先行。FRB高官の発言や予想を上回る米経済指標を受けて、FRBが早期に利下げに動くとの観測が後退すると全般ドル買いが活発化した。5時30分前に一時1.0879ドルと日通し安値を更新した。なお、FRBが金融政策を判断するうえで重視している10月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)で変動が激しい食品とエネルギーを除くコアデフレーターは前年比3.5%上昇と市場予想通りの結果となった。ユーロ円は小幅ながら4日続落。終値は161.37円と前営業日NY終値(161.52円)と比べて15銭程度のユーロ安水準。ドル円の上昇につれた円売り・ユーロ買いが出ると一時161.94円と本日高値を付けたものの、ロンドン・フィキシングに絡んだ円買いが入ると161.20円付近まで失速。
本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜予定されているパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を控えて、攻防の分岐点である日足一目均衡表・転換線148.21円を意識した値動きが予想される。
12月12-13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、明日からFRB当局者が金融政策に関する発言を控える「ブラックアウト期間」に入る。そのため、日本時間2日1時に予定されているパウエル議長がどのようなことを話すのかが注目されている。
パウエルFRB議長は先日、タカ派な見解として「必要と判断すれば一段の政策引き締めを躊躇しない。インフレ率を2%に下げるため十分な引き締めを行ったと完全には確信を持てていない」と述べた。しかし、ハト派的な見解として「数カ月の良好なデータで見誤るリスクと、引き締め過ぎるリスクの両方に対処できるよう、引き続き慎重に行動していく」とも言及。PCEデフレーターの伸び率鈍化を受けた後の今夜の発言に要注目となる。
FRBがインフレ指標として注視している米10月PCEデフレーターは前年比+3.0%と9月+3.4%から減速。またコアPCEデフレーターは前年比+3.5%と、こちらも前回+3.7%から低下となった。
PCEデフレーターの伸び率鈍化を受けて、ウィリアムズNY連銀総裁やデイリーサンフランシスコ連銀総裁は、FRBの利上げサイクルが終了した可能性があると示唆。しかしながら、物価を巡る進展が停滞すれば追加利上げの可能性を否定せず、市場で出ている早期利下げ着手の観測を退けた。これを受けて米長期金利が上昇し、ドルの買い戻しに繋がった。
WSJ紙のFed番であるニック・ティミラオス記者は先日、「10月の米雇用統計と米CPI、7月がFedの最後の利上げとなる見方を強く示唆。12月FOMCでは、声明文をどのように修正し、FRBが利上げを見送ったことを反映させるかが大きな議論になりそうだ」と述べている。
今月FOMCでの判断材料となる10月データは以下の通り。こちらに今後、11月雇用統計(12/8発表)とCPI(12/12発表)も加わることになる。
・雇用統計:失業率=3.9%、非農業部門雇用者数=前月比+15.0万人
・消費者物価指数(CPI):前年比+3.2%
・PCEデフレーター:前年比+3.0%
CMEのフェドウオッチによると、米金利先物市場では来年5月のFOMCでの利下げ開始確率が高まっている。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◎ 10月完全失業率(予想:2.6%)
○08:30 ◎ 10月有効求人倍率(予想:1.29倍)
○08:50 ◇ 7-9月期の法人企業統計調査(法人季報、ソフトウェアを含む設備投資額、予想:前年比3.4%)
<海外>
○10:45 ◎ 11月Caixin中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:49.8)
○16:00 ◇ 11月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比▲0.4%)
○16:00 ◇ 11月トルコ製造業PMI
○17:00 ◎ 7-9月期スイス国内総生産(GDP、予想:前期比0.1%/前年比0.5%)
○17:00 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○17:30 ◇ 11月スイス製造業PMI(予想:42.0)
○17:50 ◎ 11月仏製造業PMI改定値(予想:42.6)
○17:55 ◎ 11月独製造業PMI改定値(予想:42.3)
○18:00 ◎ 11月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:43.8)
○18:30 ◎ 11月英製造業PMI改定値(予想:46.7)
○19:00 ◎ エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○19:15 ◎ デコス・スペイン中銀総裁、講演
○20:30 ◎ ラガルドECB総裁、講演
○22:30 ☆ 11月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化1.50万人/失業率5.8%)
○23:45 ◎ 11月米製造業PMI改定値(予想:49.5)
○24:00 ☆ 11月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:47.6)
○24:00 ◇ 10月米建設支出(予想:前月比0.4%)
○24:00 ◇ 11月メキシコ製造業PMI
○24:00 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、講演
○2日01:00 ☆ パウエルFRB議長、講演
○2日03:00 ◎ 11月ブラジル貿易収支(予想:90.00億ドルの黒字)
○2日04:00 ☆ クックFRB理事、パウエルFRB議長とディスカッションに参加
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
30日10:36 中村日銀審議委員
「今は慎重な対応が必要、金融緩和政策修正にはもう少し時間かかる」
「賃金と物価の好循環実現させる千載一遇のチャンス到来しており、正念場迎えている」
「現在の物価上昇コストプッシュの色彩強く、持続的な2%目標実現確信持てる状況でない」
30日14:47
「政策修正、慎重に見ていかないと取り返しのつかないことになる」
「修正のタイミング、いつという決め打ちはできない」
30日19:21 パネッタ伊中銀総裁
「ECBは必要に応じて制限的な方針を維持するだろう」
「ユーロ圏のコアインフレ率は2024年も減速を続ける」
「インフレ率の低下が加速すれば、金融政策が緩和される可能性がある」
30日23:06 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「最新のデータは心強い」
「現時点では利下げについて全く考えていない」
「FRBが利上げを完了したかどうかを考えるのは時期尚早」
「さらなる利上げは我々の基本シナリオではない」
30日23:21 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「景気抑制的な金融政策はかなりの期間続くと想定」
「インフレ圧力が続けば再び利上げの可能性もある」
1日01:04 グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「政策は長期間、制限的でなければならない可能性」
「労働市場はインフレ持続の兆候を示唆」
1日02:50 ナーゲル独連銀総裁
「インフレリスクは上向きに傾いている」
1日03:15 イエレン米財務長官
「ソフトランディング達成への非常に良好な兆候」
「失業率は現在の水準付近で安定する可能性が高い」
「インフレを抑えるために景気後退を引き起こす必要はない」
※時間は日本時間
<ドル円=三役逆転が解消、基準線を抵抗に戻り売り>
陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の中で引けたことで、三役逆転が解消したものの売りシグナルが優勢な展開には変わりない。4手連続陰線の後、抱き線で反発したものの転換線148.21円を下回って引けており、反落の可能性が示唆されている。
転換線は148.21円まで低下し、本日は同線を念頭に置いた取引に。基準線を抵抗に戻り売りスタンスで臨みたい。
レジスタンス2 150.78(11/17高値)
レジスタンス1 149.29(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 148.20
サポート1 147.62(日足一目均衡表・雲の下限)
サポート2 146.67(11/29安値)
<ユーロドル=転換線を下回って引け、下向き圧力増す>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグナルが点灯している。しかし、2手連続陰線で転換線を下回って引けており、下サイドへの圧力が増しつつある。
本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0935(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0888
サポート1 1.0767(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロ円=162円前半の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
小陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けているため三役好転の強い買いシグナルが点灯中。しかし上昇局面も転換線の手前で失速し、4手連続陰線を記録し、続落の可能性が示唆されている。ダブル・トップ(164.30円・163.72円)形成中の可能性にも留意か。
本日は162円前半の転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 162.16(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 161.37
サポート1 160.60(11/30安値)
<豪ドル円=三役好転が点灯中、転換線を念頭に取引>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けており三役好転の強い買いシグナルが点灯中。3手連続陰線の後に孕み線で反発して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は転換線97.69円を念頭に置き、買いスタンスで臨みたい。下押しした場合でも、基準線が支持となりそうだ。
レジスタンス1 98.62(11/16高値)
前日終値 97.89
サポート1 96.65(日足一目均衡表・基準線)
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