28日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続落。終値は147.48円と前営業日NY終値(148.69円)と比べて1円21銭程度のドル安水準となった。米国で利上げ局面が終了したとの見方が広がる中、全般ドル売りが先行。ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が「政策が好位置にあるとの確信を強めている」「インフレ率がさらに数カ月間低下し続ければ、政策金利を引き下げる根拠は十分にある」などと発言すると、米長期金利の低下とともに円買い・ドル売りが活発化し、一時147.33円まで下落した。
21日の安値147.15円がサポートとして働くと147.71円付近まで下げ渋る場面があった。米7年債入札が低調となったことを受けて、米長期金利が低下幅を縮めたこともドル買い戻しを促した。ただ、戻りを売りたい向きは多く、買い戻しの勢いは長続きしなかった。
なお、ボウマンFRB理事は「インフレ率の低下が停滞した場合には利上げを支持する」などと述べた。
ユーロドルは4日続伸。終値は1.0993ドルと前営業日NY終値(1.0954ドル)と比べて0.0039ドル程度のユーロ高水準。タカ派のウォラーFRB理事が数カ月後の利下げの可能性を示唆すると、全般ドル売りが先行。節目の1.1000ドルを突破し、2時過ぎに1.1009ドルと8月10日以来の高値を更新した。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時102.61と8月11日以来の低水準を付けた。
米長期金利の指標となる米10年債利回りは一時4.3187%前後と9月20日以来の低水準を付けた。
ユーロ円は続落。終値は162.12円と前営業日NY終値(162.87円)と比べて75銭程度のユーロ安水準。ドル円の下落につれた円買い・ユーロ売りが優勢になると、161.93円と日通し安値を更新した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りが4.3%台まで低下していることで下値リスクが高い展開が予想される。
昨日は、米連邦準備理事会(FRB)のタカ派であるウォラー理事やボウマン理事が、ややハト派的な見解を示した。それらを受けて市場が織り込む来年の利下げ確率が上昇。米国債利回りの低下とともに、ドルは全面安の展開となった。
ウォラーFRB理事は、インフレ率が低下し続ければ、数カ月先に政策金利を引き下げる可能性を示唆した。ボウマンFRB理事は、「インフレ率の低下が停滞した場合には利上げを支持する」とタカ派見解を述べつつも、追加利上げは経済データ次第とし、追加利上げを明確に求めるには至らなかった。
今週のドル円の注目経済指標は、FRBがインフレ指標として注視している30日に発表される米10月PCE価格指数。もし、10月PCE価格指数の伸び率が鈍化していた場合、来年の利下げ開始時期が、これまで市場が見込んでいた「6月や5月」から3月あたりまで前倒しされる可能性が高まることになる。CMEのフェドウオッチによると、米金利先物市場では来年3月の利下げ確率を約34%、5月は約49%と想定している。
ドル円のテクニカル分析では、長期的には、エリオット波動の最終第5波を示唆する「斜行三角形」を形成しつつあり、中期的には高値反転を示唆する「弱気の乖離(ベアリッシュ・ダイバージェンス)」を形成しつつあることで、下値リスクが高まりつつある。
そして短期的には「ダブル・トップ(151.72円・151.91円)」がネック・ラインの149.21円(11/3安値)を下抜けたことで完成し、目標値146.70円{=149.21円–(151.72円-149.21円)}が点灯している。
9時30分発表の10月豪消費者物価指数(CPI)は前年同月比+5.2%と予想されており、9月+5.6%から低下見込み。ブロックRBA総裁は先日、「価格上昇がCPI項目の広範囲にわたり、インフレがますます国内主導、需要主導になっている」と述べ、金利がしばらく高止まる可能性が高いことを示唆していた。10月CPIでRBA総裁の発言を裏付けるような広範な物価上昇が確認されれば、追加利上げ期待の高まりとともに豪ドル相場を下支えすることになる。
10時に発表されるニュージーランド準備銀行(RBNZ)の政策金利は、5.50%での据え置き予想。声明文では、足もとのインフレ率がRBNZの目標レンジである1-3%からまだ距離があることを考慮すると、「政策金利を当面抑制的な水準に維持する必要がある」との基本方針に変化はないことが予想されている。しかし、今後の四半期CPIが予想を下回る可能性が高まりつつあることで、RBNZのインフレに対する見方に注目しておきたい。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○10:30 ◇ 安達誠司日銀審議委員、あいさつ
<海外>
○09:30 ◎ 10月豪消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比5.2%)
○10:00 ☆ ニュージーランド準備銀行(RBNZ)、政策金利発表(予想:5.50%で据え置き)
○16:00 ◇ 10月独輸入物価指数(予想:前月比▲0.1%/前年比▲13.4%)
○16:00 ◇ 10月トルコ貿易収支(予想:67.0億ドルの赤字)
○16:00 ◎ 7-9月期スウェーデン国内総生産(GDP、予想:前期比横ばい)
○18:30 ◇ 10月英消費者信用残高(予想:15億ポンド)
○18:30 ◇ 10月英マネーサプライM4
○19:00 ◎ 11月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:93.7)
○19:00 ◎ 11月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲16.9)
○21:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○22:00 ◎ 11月独CPI速報値(予想:前月比▲0.1%/前年比3.5%)
○22:30 ◇ 7-9月期カナダ経常収支(予想:10.0億カナダドルの黒字)
○22:30 ◇ 10月米卸売在庫(予想:前月比0.2%)
○22:30 ☆ 7-9月期米GDP改定値(予想:前期比年率5.0%)
◎ 個人消費(改定値、予想:前期比年率4.0%)
◎ コアPCE(改定値、予想:前期比年率2.4%)
○30日00:05 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○30日00:30 ◇ EIA週間在庫統計
○30日01:00 ◎ 10月ロシア失業率(予想:3.0%)
○30日03:45 ◎ メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○30日04:00 ◎ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
28日11:14 ラムスデン英中銀(BOE)副総裁
「インフレ率を目標の2%に戻すには、金融政策を長期にわたって制限的にする必要がありそうだ」
「英国のインフレは国内に起因する傾向が強い」
28日11:16 ブロック豪準備銀行(RBA)総裁
「失業率を上げずにインフレ率を下げるために金利を使うことに対して多少注意する必要」
「高い雇用は、より高額な住宅ローンを支払うのに役立つ」
「豪州のインフレは海外と似ている」
28日13:28 潘功勝・中国人民銀行(PBOC)総裁
「中国経済は勢いを増している」
「中国のCPIは徐々に底を打ちつつある」
「中国は2024年に持続可能な成長を享受できると確信」
「緩和的な金融政策を継続する」
28日22:25 ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「雇用市場の逼迫は金利上昇の長期化を意味する」
「労働市場の逼迫がインフレ圧力を与え続けている」
「現在の見通しでは、近い将来に金利が緩和される余地は示唆されていない」
「金利は多くの人が予想しているよりも長く、高く維持される必要があるだろう」
29日00:12 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「政策が好位置にあるとの確信を強めている」
「全体のインフレ率が2%に達するには、住宅を除くサービスインフレ率のある程度の改善が必要」
「FRBが十分な措置を講じたかどうかは断言できない」
「今後数カ月間のデータによって、FRBが十分な措置を講じたかどうかが分かると期待」
「経済成長鈍化の兆しが後押し」
「インフレ率は依然として高すぎ、減速が持続するかどうかを判断するには時期尚早」
「個人消費は低迷しており、製造業や非製造業の活動は減速している」
「労働市場は冷え込んでいるものの、依然としてかなり逼迫しており、今後も注意深く監視」
「インフレ率がさらに数カ月間低下し続ければ、政策金利を引き下げる根拠は十分にある」
29日00:13 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「全体としてインフレに関しては良好な進展が見られた」
29日00:49 ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事
「インフレ率の低下が停滞した場合には利上げを支持する」
29日04:48 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「インフレ圧力の低下は励みになる」
「FRBはインフレ率を2%に戻すという強いコミットメントを示している」
「長期的なインフレ期待は非常に安定している」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=147.39円まで上昇した雲下限を念頭に置いた取引>
陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の中で引けているものの売りシグナルが優勢な展開となっている。3手連続陰線で転換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。
本日は昨日の下落局面で支えとなった雲の下限を念頭に置いた取引となりそうだ。同水準は昨日147.31円から本日は147.39円まで上げてきている。
レジスタンス2 148.97(日足一目均衡表・転換線)
レジスタンス1 148.43(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 147.48
サポート1 146.44(9/12安値)
サポート2 145.91(9/11安値)
<ユーロドル=1.0910ドル台まで上昇してきた転換線が支持>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグナルが点灯している。一時1.10ドル台に乗せて、8月10日以来の高値を更新した。4手連続陽線で転換線を上回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。
転換線は1.0917ドルまで上昇してきた。本日も同線を支持に押し目買いスタンスで臨み、下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.1150(7/27高値)
前日終値 1.0993
サポート1 1.0917(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロ円=11/28高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けているため三役好転の強い買いシグナルが点灯中。しかし、2手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
転換線は162円半ばまで水準を下げてきた。本日は同線を念頭に、28日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨みたい。
レジスタンス1 162.95(11/28高値)
前日終値 162.12
サポート1 161.00(日足一目均衡表・基準線)
<豪ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
小陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグナルが点灯中。2手連続陰線でも、依然として転換線を上回って引けており、反発の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 98.62(11/16高値)
前日終値 98.05
サポート1 97.69(日足一目均衡表・転換線)
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