17日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落。終値は149.63円と前営業日NY終値(150.73円)と比べて1円10銭程度のドル安水準となった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.3772%前後と約2カ月ぶりの低水準を付けると円買い・ドル売りが先行。市場では「海外勢が長期休暇に入り始める感謝祭を来週に控えて、積み上がった円売りポジションを解消する動きが広がった」との声も聞かれた。節目の150円を割り込むとストップロスを巻き込んで、22時過ぎに一時149.20円まで値を下げた。
ただ、売り一巡後は下げ渋る展開に。10月米住宅着工件数/建設許可件数が予想を上回ったことが伝わると、米10年債利回りが上昇に転じドル買い戻しを誘った。1時30分過ぎには149.88円付近まで下値を切り上げた。
なお、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁は講演で「米連邦準備理事会(FRB)は待つという大胆さが必要」と発言し、追加利上げに慎重な姿勢を示した一方、コリンズ米ボストン連銀総裁はインタビューで「追加利上げは選択肢から外していない」との認識を示した。
ユーロドルは続伸。終値は1.0915ドルと前営業日NY終値(1.0852ドル)と比べて0.0063ドル程度のユーロ高水準だった。欧州市場序盤に一時1.0825ドルと日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。米長期金利の低下をきっかけにユーロ買い・ドル売りが入ったほか、欧州株相場の上昇を背景にリスク・オンのドル売りが出た。前日の高値1.0896ドルを上抜けると一時1.0916ドルと8月31日以来の高値を更新した。米格付け会社ムーディーズがイタリアの格付け見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引き上げたことも相場の支援材料。
ユーロ円は続落。終値は163.27円と前営業日NY終値(163.57円)と比べて30銭程度のユーロ安水準。今週に入り、2008年8月以来の高値を連日で更新していただけに利益確定目的の売りが出やすかった。来週の感謝祭を前にロングポジションを手仕舞う動きも進み、22時前に一時162.16円と日通し安値を更新した。ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。ドル円の下げ渋りやユーロドルの上昇につれた買いが入り、163円台前半まで持ち直した。
先週末は円安に調整が入ったものの、週前半はドル円が昨年10月21日につけた1990年7月以来の高値に接近し、スイスフラン(CHF)円は史上最高値、ユーロ円は15年ぶり、豪ドル円は9年ぶり、ポンド円は8年ぶりの高値をつけた。11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)、10月の米雇用統計とインフレデータの結果などを背景にドル高の動きは後退したが、円安の流れは変わっていない。植田日銀総裁の発言は総じてハト派寄りとの見方が強く、為替市場では日銀の金融政策正常化期待は後ずれしている。先週発表された本邦7-9月期GDPが前期比年率-2.1%に沈んだことも金融政策正常化先送り観測を強めている。近く日銀金融政策を巡る思惑に変化が出る可能性は低く、円安の地合いは継続しそうでドルの重い局面でもドル円の下押しは限られそうだ。
本日は東京タイムだけではなく、海外市場でも注目の経済指標は乏しく、ドル円は株式市場の動きや米金利の動向を眺めながらの動きが予想される。米10年債利回りは先週末に一時4.37%台と約2カ月ぶりの低水準をつけており、このまま低下基調をたどるのか、再び切り返すのかが大きな関心を集めている。米長期金利が一段と低下すれば、今週は米感謝祭を控えていることもあり、円ショートポジションの解消が強まる可能性もある。ただ、米利上げサイクル終了の観測は強まっているものの、高金利政策の長期化への思惑は強く、米長期金利が一気に低下基調を強めるとは思えない。先週もサンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁とボストン地区連銀のコリンズ総裁は、インフレ緩和を示す一段の証拠を確認したいと強調した。
※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○16:00 ◇ 10月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比横ばい)
○18:10 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○19:00 ◇ 9月ユーロ圏建設支出
○22:00 ◎ デコス・スペイン中銀総裁、講演
○24:00 ◎ 10月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.7%)
○21日02:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○21日03:00 ◎ 米財務省、20年債入札
○21日03:45 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○21日04:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○メキシコ(革命記念日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
17日09:39 植田日銀総裁
「景気は緩やかに回復している」
「先行きの景気は海外経済の回復ペース鈍化による下押し圧力を受けるものの、ベントアップ需要の顕在化などにも支えられ緩やかに回復する」
「基調的な物価上昇率、2%の物価目標に向けて徐々に高まっていく」
「金融・為替市場の動向や日本経済・物価への影響、十分注視する」
「賃金上昇伴う形で物価目標の実現目指し、金融政策運営を行う」
「粘り強く金融緩和を継続することで、賃金上昇しやすい環境を整える」
「物価目標実現の見通し立てば、マイナス金利・YCCの撤廃を検討する」
「物価上昇が家計や中小企業に負担をもたらしていると認識」
17日23:47 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「忍耐や慎重な調整が必要」
「FRBがインフレ率2%に向けて順調に進んでいるかどうか確信が持てない」
18日02:36 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「インフレは改善しつつあるが、依然として高すぎる」
「インフレを克服するために必要なことは何でもする」
18日02:39 コリンズ米ボストン連銀総裁
「データにノイズが多く、進行状況が不均一」
「追加利上げの検討の選択肢から外すつもりはない」
「忍耐強くいることが重要」
※時間は日本時間
<ドル円=基準線や転換線が反発を抑えそう>
下影陰線引け。3日安値149.21円をわずかながら割り込み、10月31日以来の安値149.20円をつけた。
やや戻して目先的な底堅さを示す下ひげをともなう足型を形成した。しかしレンジの切り下がりによって、一目均衡表・転換線は150.56円へ小幅に低下。来週にも一目・基準線150.36円を下抜けて売り示唆へ転換することが見込まれる。ここからは基準線や転換線が反発を抑制する展開を念頭に置いて臨むべきか。
レジスタンス1 150.36(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 149.63
サポート1 149.20(11/17安値)
サポート2 148.81(10/30安値)
<ユーロドル=5日線前後の底堅さ維持へ>
下影陽線引け。1.0825ドルへ下振れる場面もあったが持ち直し、8月31日以来の1.09ドル回復となった。上昇中の5日移動平均線付近で下げ渋った格好。本日1.0881ドル前後へ切り上がった同線を多少割り込むことがあっても底堅さを維持し、上向きの流れを維持するとみる。
レジスタンス1 1.0961(8/14高値)
前日終値 1.0915
サポート1 1.0855(ピボット・サポート1)
<ユーロ円=下押しあっても転換線が支えとなるか>
下影小陰線引け。一時162.16円と13日以来の水準まで大きく下振れた。しかし162円前半に位置していた一目均衡表・転換線を割り込んだ同水準から折り返し、長い下ひげをつけた足型を形成して週の取引を終えている。底堅さを示す足型を形成して戻した。再び下押すことがあっても、本日162.50円へ切り上がった転換線付近で下支えされ、底堅く推移することが予想される。
レジスタンス1 163.87(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 163.27
サポート1 162.50(日足一目均衡表・転換線)
<豪ドル円=転換線を下回る水準から反発>
下影小陰線引け。一時96.93円と、一目均衡表・転換線97.33円を割り込んで下振れが先行した。しかし反発して97.48円で週を引けている。今後の切り上がりが予想される転換線前後で下支えされ、底堅い推移が続くとみる。現状からすれば、転換線は来週にも97.78円まで上昇することが見込まれる。
レジスタンス1 97.97(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 97.48
サポート1 96.93(11/17安値)
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