30日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落。終値は149.10円と前営業日NY終値(149.66円)と比べて56銭程度のドル安水準となった。米長期金利の指標である米10年債利回りが4.91%台まで上昇すると円売り・ドル買いが先行。21時30分過ぎに一時149.85円と日通し高値を更新した。
ただ、「日銀は明日の金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の再修正を議論。現在1%としている長期金利の事実上の上限を柔軟にし、一定程度1%を超える金利上昇を容認する案が有力」との日経新聞の報道が伝わると、一転円買い・ドル売りが優勢となった。0時30分前には一時148.81円と日通し安値を更新した。ナイト・セッションの日経平均先物が310円下落したことも相場の重し。もっとも、売り一巡後は下げ渋る展開に。1時30分前には149.17円付近まで下げ幅を縮めた。
ユーロドルは上昇。終値は1.0615ドルと前営業日NY終値(1.0565ドル)と比べて0.0050ドル程度のユーロ高水準だった。日本時間夕刻に一時1.0547ドルと日通し安値を付けたものの、前週末の安値1.0535ドルが目先サポートとして働くと買い戻しが優勢に。ダウ平均が一時580ドル超上昇するなど、米国株相場が堅調に推移するとリスク・オンのドル売りも優勢となり、一時1.0625ドルと日通し高値を付けた。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時106.06まで低下した。
ユーロ円は小反発。終値は158.25円と前営業日NY終値(158.13円)と比べて12銭程度のユーロ高水準。米国株高を背景に円売り・ユーロ買いが先行すると23時前に158.93円と日通し高値を付けた。ただ、「日銀はYCC再修正を議論」との観測報道が伝わると失速した。2時30分前には158.01円付近まで上値を切り下げた。
本日のドル円は、日銀政策決定会合の金融政策発表と植田日銀総裁の会見、そして外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)が注目となる。
今回は日銀が年4回公表する展望レポートも公表される。7月の同レポートでは、23年度のコアCPIの前年度上昇率を、4月の1.8%から2.5%を上方修正した。日銀が24日に発表した9月の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」では、日銀が注目している「刈り込み平均値」は7・8月の3.3%から3.4%まで上昇。また「加重平均値」は8月の1.8%を上回り2001年1月以降で最大となる2.0%まで上昇していることなどで、今回も上方修正へ期待が高い。もし今回23年度を上方修正した場合は6回目の修正となり、日銀のインフレ見通しがこれまで甘かったこととなる。
もっとも、市場では展望レポートの上方修正は織り込んでいることで、注目は長短金利操作(イールドカーブコントロール=YCC)を修正するか否かになる。現在の長期金利の変動幅は±0.5%程度を撤廃、1.0%の利回りでの指値オペを引き上げる、など憶測が多く流れている。その中で、本日の日経新聞朝刊一面が「日銀、金利操作再修正へ」「長期、上限1%超柔軟に」と報じていることもあり、市場は1.0%を上回る金利上昇を容認することを織り込みつつあるか。
仮に修正が入った場合の為替市場は、AI取引が反応し円買いに動きやすい。一方、修正がない場合には円安に反応するだろう。予想判断が難しいのはその後の動き。YCC修正の場合でも日銀が長期金利を低位に抑える政策は変わらず、日米金利差の溝は左程埋まらないとの声が多く、円買いにも限定的との声がある。一方、無修正の場合は為替介入への警戒感が強い。昨年9月22日の円買い介入は、日銀政策決定会合及び当時の黒田日銀総裁の会見への失望感から、市場が円売りに傾いたタイミングで介入を行ってきた。今回も同様に市場が円安に動いた場合には、待ち構えていたように介入を行う可能性もありそうだ。
また、仮に日銀政策決定会合や植田日銀総裁の会見が無風に終わった場合でも、日本時間19時に発表される今月の介入実績の結果でも動意づく可能性があり、警戒を怠らないようにしたい。今月は一時円買い介入と噂される動きもあった。もし、介入が行われていた場合には、今後の介入継続を示唆することもあり円買いに動きやすいだろう。
なお、ドル円以外では10月中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表されることで、中国の景気動向が他通貨に影響を与えることには注意したい。また、中東情勢もイスラエルのネタニヤフ首相が停戦を拒否したことで、更なる戦火拡大やイランの動向を引き続き注視する必要があるだろう。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◎ 9月完全失業率(予想:2.6%)
○08:30 ◎ 9月有効求人倍率(予想:1.30倍)
○08:50 ◎ 9月鉱工業生産速報(予想:前月比2.5%/前年比▲2.3%)
○08:50 ◇ 9月商業販売統計速報(小売業販売額、予想:前年比5.9%)
○未定 ☆ 日銀金融政策決定会合(終了後、決定内容発表、予想:当座預金金利▲0.10%で据え置き)
○未定 ◎ 経済・物価情勢の展望(10月、基本的見解)
○14:00 ◇ 10月消費動向調査(消費者態度指数 一般世帯、予想:35.0)
○14:00 ◇ 9月新設住宅着工戸数(予想:前年比▲4.7%)
○15:30 ☆ 植田和男日銀総裁、定例記者会見
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
<海外>
○06:45 ◎ 9月ニュージーランド(NZ)住宅建設許可件数
○09:00 ◇ 10月ANZ企業信頼感
○10:30 ◎ 10月中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:50.2)
○15:30 ◎ 7-9月期仏国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比0.1%)
○15:30 ◇ 9月仏消費支出(予想:前月比0.4%)
○16:00 ◎ 9月独小売売上高(予想:前月比0.5%/前年比▲3.4%)
○16:00 ◇ 9月独輸入物価指数(予想:前月比0.7%/前年比▲15.3%)
○16:00 ◇ 9月トルコ貿易収支(予想:50億ドルの赤字)
○16:30 ◇ 9月スイス小売売上高(予想:前年比▲1.9%)
○16:45 ◇ 10月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.2%/前年比4.0%)
○16:45 ◇ 9月仏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%)
○17:30 ◎ 7-9月期香港域内総生産(GDP)速報値(予想:前期比1.4%/前年同期比5.2%)
○17:30 ◎ デコス・スペイン中銀総裁、講演
○18:30 ◎ ビスコ伊中銀総裁、講演
○19:00 ☆ 7-9月期ユーロ圏GDP速報値(予想:前期比横ばい/前年比0.2%)
○19:00 ☆ 10月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比3.1%)
○19:00 ☆ 10月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比4.2%)
○20:45 ◎ ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○21:00 ◎ 9月南アフリカ貿易収支(予想:120億ランドの黒字)
○21:00 ◎ 7-9月期メキシコGDP速報値(予想:前期比0.8%/前年比3.2%)
○21:30 ☆ 8月カナダGDP(予想:前月比0.1%/前年比0.9%)
○21:30 ☆ 7-9月期米雇用コスト指数(予想:前期比1.0%)
○22:00 ◇ 8月米住宅価格指数(予想:前月比0.5%)
○22:00 ◎ 8月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比1.6%)
○22:45 ◎ 10月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:45.0)
○23:00 ◎ 10月米消費者信頼感指数(予想:100.0)
○1日01:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○1日01:30 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
30日17:36 カジミール・スロバキア中銀総裁
「利上げサイクルが終了したと宣言するのは、時期尚早」
「インフレ圧力が強まる可能性は残されている」
30日22:58 バイデン米大統領
「労働組合と自動車メーカーの合意、素晴らしいと思う」
※時間は日本時間
<ドル円=149円前半の基準線を巡る攻防に>
陰線引け。戻りは149円後半の日足一目・転換線を超えたところまでとなり、その後は下値を試す展開に。一時149円を割り込む場面もあった。一巡後は149円前半の一目・基準線付近まで持ち直すも、2手連続の陰線引け。
本日は149.11円で横ばいの基準線を巡る攻防か。もし反発した場合でも、転換線や昨日高値の149.80円台では売り圧力が高まりそう。ただしイベントリスクもあり、ある程度の値幅は想定しておいたほうが良さそうだ。
レジスタンス1 150.78(10/26高値)
レジスタンス1 149.80(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 149.10
サポート1 148.17(10/10安値)
サポート2 147.43(10/3安値)
<ユーロドル=1.06ドル前半の転換線を睨みながらの取引に>
陽線引け。1.05ドル半ばで支えられて1.06ドル前半まで上昇。1.0609ドルで横ばいの一目・転換線を上回り、2手連続の陽線引け。
本日は転換線を睨みながらの取引となりそうだ。先週後半から1.05ドル台で下値を切り上げてきており、下押しした場面でも1.0571ドルに位置する基準線辺りが支持となるか。
レジスタンス1 1.0694(10/24高値)
前日終値 1.0615
サポート1 1.0524(10/26安値)
<ポンド円=雲の下限や基準線を意識した値動きに>
小陽線引け。一目・雲の下で売りが進み、基準線181円も割り込んで180.70円台まで下げ幅を広げた。6日安値を下回ったところで下落は一巡して181円台に戻したものの、終値は雲を下回っている。
前日同様に181.55円で横ばいの雲の下限や基準線を意識しながらの値動きか。雲の中に入り込んだ場合でも、182円前半の21日移動平均線や転換線などが重しとなりそうだ。
レジスタンス1 182.26(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 181.45
サポート1 180.29(10/5安値)
<NZドル円=一目・雲を中心とした値動き続くか>
小陰線引け。86円後半の一目・雲の下限を割り込むも、下落圧力は強まらず。雲の中再び入り込んで引けた。
雲の上限は本日から87.70円台まで上昇し、87.60円台で下向きの90日移動平均線と共に上値の圧迫要因となりそうだ。もっとも、下サイドも先週後半から86円後半の底堅さが確認されており、暫くは雲を中心とした値動きが続くか。
レジスタンス1 87.95(10/25高値)
前日終値 87.12
サポート1 86.57(ピボット・サポート2)
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