26日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続伸。終値は150.40円と前営業日NY終値(150.23円)と比べて17銭程度のドル高水準となった。アジア市場では一時150.78円まで上昇し年初来高値を付けたあと、政府・日銀による為替介入への警戒感が高まったことから一時149.96円まで急落。ただ、売り一巡後は急速に買い戻しが入り150円半ばまで持ち直すなど、荒い値動きとなった。
そのため、欧米市場では積極的にポジションを取りづらい雰囲気となり、150円台での狭いレンジ取引に終始した。7-9月期米国内総生産(GDP)速報値や9月耐久財受注額などが予想を上回った一方、米長期金利が大幅に低下したことで売買が交錯した面もあった。
ユーロドルは小幅ながら3日続落。終値は1.0563ドルと前営業日NY終値(1.0566ドル)と比べて0.0003ドル程度のユーロ安水準だった。予想を上回る米経済指標をきっかけにユーロ売り・ドル買いが先行。21時30分過ぎに一時1.0524ドルと日通し安値を付けた。ただ、米長期金利が低下に転じると一転ショートカバーが優勢となり1.0560ドル付近まで切り返した。市場では「米GDPとあわせて発表されたコアPCE速報値が予想より弱い内容となったことが米長期金利の低下につながった」との指摘があった。
もっとも、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が定例理事会後の会見で「ユーロ圏の経済は弱いままであり、年内も同じような状態が続くだろう」「成長に対するリスク、依然として下振れ方向」「インフレは近いうちに低下するだろう」と発言すると1.0525ドル付近まで押し戻された。
NY午後に入ると再び強含んだ。米7年債入札が「好調」と受け止められると、米長期金利が低下幅を拡大。ドル売りが優勢となり、一時1.0565ドル付近まで下げ渋った。
ユーロ円は3営業日ぶりに小反発。終値は158.86円と前営業日NY終値(158.75円)と比べて11銭程度のユーロ高水準。しばらくは158円台半ばでのもみ合いが続いていたが、ユーロドルが上昇したタイミングで158.90円と日通し高値を更新した。ただ、前日の高値158.94円を上抜けることは出来なかった。
本日の東京外国為替市場のドル円は、引き続き本邦通貨当局のドル売り・円買い介入に警戒していく展開となる。
昨日のドル円は年初来高値を更新したが、鈴木財務相は「今まで通りしっかり緊張感を持って動きを見ていく」と述べ、村井官房副長官は、「為替相場の過度な変動は望ましくない。政府として万全の対応を行う」と市場を牽制した。岸田首相は昨日の参院代表質問で、「日銀の金融政策と政府の物価高対策は矛盾しない」「為替介入は『貯蓄から投資へ』という政府の方針とは矛盾しない」と述べた。
3日のドル円の150.16円から147.43円まで急落は、本邦通貨当局による小規模のドル売り・円買い介入とされているが、昨日の150.78円から149.96円までの急落は、来週の日銀勘定の資金移動で確認することになる。
岸田政権が標榜している物価高の抑制のためには、輸入物価高の要因でもある円安を阻止する必要があると思われるが、これまでのところは昨年秋のようなドル売り・円買い介入は実施されていないことで、ドル高・円安がじりじりと進行している。
すなわち、岸田政権の物価抑制という方針にも関わらず、日銀はマイナス金利を維持して円安を助長し、財務省は円安を放置している構図となっている。
8時30分に発表される日本の10月の消費者物価指数(CPI)の先行指標となる10月東京都区部CPI(生鮮食料品除く総合)は、前年比+2.5%と予想されており、9月の同比+2.5%と変わらずと見込まれている。
9月の全国コアCPIは、前年比+2.8%と発表されており、8月の同比+3.1%から低下していた。しかしながら、10月24日に、2%の物価安定目標の実現を目指す日銀が公表した9月の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」では、加重平均値の上昇率が前月に続いて過去最高水準を更新していた。すなわち、来週30-31日の日銀金融政策決定会合では、経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、2023年度と24年度のコアCPIの前年度比上昇率の見通しが上方修正となる可能性を高めている。市場の予想では、2023年度が7月時点の2.5%から3.0%付近、2024年度が1.9%から2.0%以上に引き上げられると見込まれている。さらに、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)も、7月の1.0%への上限引き上げに続く再修正の可能性も警戒されている。
9時30分に発表される7-9月期豪生産者物価指数(PPI)では、25日に発表されたCPIのポジティブサプライズの再現に警戒することになる。しかしながら、ブロックRBA総裁は「CPIは予想の範囲内であり、利上げを正当化するかどうかなお検討中だ」と述べており、利上げ確率が70%程度まで低下している。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◎ 10月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合予想:前年比2.5%)
○未定 ◇ 10月月例経済報告
<海外>
○09:30 ◎ 7-9月期豪卸売物価指数(PPI)
○15:45 ◇ 10月仏消費者信頼感指数(予想:83)
○19:30 ◎ ロシア中銀、政策金利発表(予想:14.00%に引き上げ)
○21:00 ◇ 9月メキシコ貿易収支(予想:7.12億ドルの赤字)
○21:30 ◎ 9月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.5%)
◎ 9月米個人所得(予想:前月比0.4%)
☆ 9月米PCEデフレーター(予想:前年比3.4%)
☆ 9月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.3%/前年比3.7%)
○22:00 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長(銀行監督担当)、あいさつ
○23:00 ◎ 10月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:63.0)
〇欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、最終日)
○29日 欧州が冬時間に移行
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
26日07:22 ブロック豪準備銀行(RBA)総裁
「CPIは予想より少し高かったが、我々が予想していた程度の水準に達した」
「モノの価格は下がっているが、サービスのインフレは依然として続いている」
「サービスのインフレは私たちが満足している水準よりも高い」
「サービスのインフレを予測に組み込む必要がある」
「CPIが見通しに重大な変化を与えるかはまだ考慮している」
「インフレ予想に変更が生じるだろうが、それが重要なものになるかどうかはわからない」
「中国はおそらく5%成長を達成するだろう」
「中国への輸出は好調を維持 」
「中国の不動産リスクが鍵」
26日08:50 鈴木財務相
「(為替について)緊張感をもって注視していく」
26日11:27 村井官房副長官
「為替は安定的な動きが望ましい」
「為替相場の動向や介入の有無についてのコメントは控える」
「(為替相場について)政府として引き続き万全の対応を取る」
26日11:35 岸田首相
「日銀の金融政策は政府の物価対策と矛盾しない」
「為替介入は、政府の貯蓄から投資へという方針と矛盾しない」
「総合経済対策の取りまとめを11月2日に行う」
「所得税の減税が望ましい」
26日20:01 トルコ中銀声明
「第3四半期のインフレ率は予想を上回った」
「年末のインフレ率は四半期インフレレポートで示された予想レンジの上限に近いが、月次インフレ率の基調は低下傾向にあると評価」
「金融引き締めは、インフレ見通しの大幅な改善が達成されるまで、適時・漸進的に必要なだけさらに強化」
「インフレ指標とその基調を注意深く監視し、委員会は物価安定という目標に沿って、あらゆる手段を断固として行う」
26日21:10 欧州中央銀行(ECB)声明
「基調的なインフレの指標は大半が緩和を続けている」
「入ってくる情報はほぼこれまでに予測した通り」
「インフレ率は依然として高すぎる状態が長く続くと予想」
「過去の利上げは引き続き金融政策に力強く反映されている」
「金利水準は十分に長期間維持されなければならない」
26日21:49 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「インフレは依然として高いまま」
「ユーロ圏の経済は弱いままであり、年内も同じような状態が続くだろう」
「労働市場が弱まるサインが出ている」
「インフレは近いうちに低下するだろう」
「ユーロ圏内の価格圧力は依然強い」
「成長に対するリスク、依然として下振れ方向」
「長期的なインフレ期待のほとんどの指標は現在2%程度」
「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)や最低準備金について議論せず」
「利下げについて議論せず。時期尚早だろう」
26日23:07 ロシア外務省報道官
「ハマス代表団がモスクワを訪問」
27日02:34 李強中国首相
「中国は主権保持でイランを強く支持」
27日02:36 イエレン米財務長官
「本日のGDPは良好で強い数字」
「今年の成長率が2.5%でも驚かない」
「米国経済のソフトランディングを目指す」
「利回りは強い経済と長期で高水準(HIGHER-FOR-LONGER)の金利を反映」
「金利が高止まりすれば財政的課題はさらに大きくなる」
※時間は日本時間
<ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグナルが点灯中。3手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は、上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 151.95(2022/10/21高値)
レジスタンス1 150.78(10/26高値)
前日終値 150.40
サポート1 149.81(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 149.11(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
小陰線引け。転換線は基準線を上回っているものの、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、売りシグナルが優勢な展開。3手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0609(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0563
サポート1 1.0483(10/6安値)
<ポンド円=転換線182.43円を軸にした取引か>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の中で引けていることで、買いシグナルが点灯している。しかし、抱き線で切り返したものの転換線182.43円を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線182.43円を念頭に置き、下回れば売りスタンス、上回れば買いスタンスで臨むことになる。
レジスタンス1 183.21(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 182.40
サポート1 181.00(日足一目均衡表・基準線)
<NZドル円=基準線を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を下回っているものの、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、買いシグナルが優勢な展開となっている。しかし、孕み線で切り返したものの転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。
本日は、基準線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 88.50(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 87.54
サポート1 86.84(日足一目均衡表・雲の下限)
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