19日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは反発。終値は1.0582ドルと前営業日NY終値(1.0536ドル)と比べて0.0046ドル程度のユーロ高水準だった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はこの日の講演で「リスクや累積利上げを踏まえ、FOMCは進んでいる」「地政学的緊張は非常に高まっており、主要なリスクに」と述べた一方、「インフレは依然として高すぎる、さらなる進展が必要」などと発言した。また、質疑応答では「金利の高さ、期間が十分でない可能性がある」「現在の政策が引き締め過ぎでないことは明らか」と述べた半面、「利回りの上昇は利上げの必要性低下を意味し得る」などと語った。パウエル氏の発言を受けて売買が交錯したため、NY市場では大きな方向感が出なかった。
1時過ぎには一時1.0616ドルと12日以来の高値を付ける場面もあったが、1.06ドル台では戻り売りなどが出たため、すぐに失速。そのあとは1.05ドル台後半でのレンジ取引に終始した。
なお、パウエル氏の発言については「他のFRB高官の発言よりもややハト派的だったうえ、最近の金融情勢の引き締まりや地政学的な緊張のリスクについても言及した。ただ、インフレ率がFRBにとって望ましい水準まで低下していないことから、高金利長期化バイアスも排除しなかった」との指摘があった。
ドル円は3営業日ぶりに小反落。終値は149.80円と前営業日NY終値(149.93円)と比べて13銭程度のドル安水準だった。パウエルFRB議長の発言が伝わった直後に149.96円と3日以来の高値を付けたものの、米10年債利回りが4.88%台まで低下すると149.68円付近まで下押しした。
ただ、東京時間に付けた日通し安値149.67円が目先サポートとして働くと買い戻しが優勢に。1時30分過ぎには149.93円付近まで持ち直した。米10年債利回りが一時4.9920%前後と2007年7月以来の高水準を記録したことも相場を下支えした。
なお、売買一巡後は149円台後半でのもみ合いに終始した。今日一日の値幅は29銭程度と非常に小さい。市場では「政府・日銀による為替介入への警戒感は根強く、150円の心理的節目に迫る水準で足踏み状態となっている」との声が聞かれた。
ユーロ円は反発。終値は158.52円と前営業日NY終値(157.97円)と比べて55銭程度のユーロ高水準。ドル円とユーロドルの方向感が乏しかったため、ユーロ円ももみ合いの展開となった。1時過ぎに一時158.93円と日通し高値を付けたあとは158円台半ばから後半での値動きが続いた。
本日の東京外国為替市場のドル円は、中東情勢の緊迫化を受けて有事のドル買いの様相を呈し始めていることで、150円台に上昇する局面では、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒する展開が予想される。
昨日のパウエルFRB議長の講演では、タカ派見解「金融政策の一段の引き締めが正当化される可能性がある」により米10年債利回りは上昇したものの、複数の米連邦準備理事会(FRB)が言及しているハト派的見解「長期金利の上昇で利上げの必要性を低下」を受けて、年内の利上げ観測が後退している。
8時30分に発表される9月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)の予想は前年比+2.7%で、8月の同比+3.1%からの伸び率鈍化が見込まれている。8月の政府による電気・ガス価格激変緩和対策事業の影響を除いたコアCPIは4.1%上昇、日銀が注視している生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIは4.3%となり、1981年以来の高水準だった5月と7月に並んでいる。一部報道で「日銀が物価見通しを上方修正する方向」と伝わっており、伸び率が予想に反して上昇していた場合には要警戒となる。
神田財務官は、昨日、「為替はファンダメンタルに沿って安定推移が好ましいが、過度の変動があれば経済に悪影響があるため、適切な行動を取るというのは国際的に認められている」と述べた。
昨年10月は、12-13日のG20財務相・中央銀行総裁会議の後、21日のニューヨーク市場(東京時間23時30分過ぎ)と24日のシドニー市場(東京時間8時30分過ぎ)でドル売り・円買い介入が実施された。今年も12-13日のG20会議の後に口先介入(鈴木財務相「為替は場合によって適切な対応が求められる」や神田財務官「為替介入で過度の変動に対抗する」)が行われていることで、要警戒となる。
2022年10月20日のドル円は150.29円まで上昇していた。そして、21日には、151.95円まで上昇した局面で、ドル売り・円買い介入が実施された。
当時、神田財務官は「投機筋によって為替が大きく変動し、国民生活、世界経済に悪影響を及ぼすのは容認できない」と述べていた。
本日も引き続き、中東情勢に関するヘッドラインの要警戒となる。最悪のシナリオは、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザで地上作戦を開始し、ハマスを支援するイランが参戦することで、第5次中東戦争、そして石油ショックが引き起こされることとなる。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ☆ 9月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合、予想:前年比2.7%)
○08:30 ☆ 9月全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く、予想:前年比4.1%)
○15:35 ◎ 植田和男日銀総裁、全国信用組合大会であいさつ
〇臨時国会が召集
<海外>
○07:40 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、講演
○08:01 ◇ 10月英消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲20)
○15:00 ◇ 9月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.4%)
○15:00 ◎ 9月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲0.2%/前年比▲0.1%)
○15:00 ◎ 9月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比▲0.4%/前年比▲0.2%)
○17:30 ◎ 9月香港CPI(予想:前年同月比1.8%)
○21:30 ◎ 8月カナダ小売売上高(予想:前月比▲0.3%/自動車を除く前月比横ばい)
○21日01:15 ◎ メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
〇米・欧州連合(EU)首脳会談(ワシントン)
○22日 スイス連邦議会選挙
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
19日13:57 神田財務官
「為替市場はこう着している」
「市場は方向感を失っている」
「世界経済は、中国減速・ウクライナ・中東情勢など下方リスクが大きい」
「過度な変動があったら適切に対応する」
「為替はファンダメンタルズに沿って安定推移がいい」
20日01:03 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「力強い経済の追加証拠があれば利上げに値する可能性」
「FOMCはリスクや累積利上げを踏まえて慎重に進めている」
「地政学的緊張は非常に高まっており、主なリスクに」
「利回りは金融環境を著しくタイトにした」
「金融環境の動向が持続的であれば、政策に影響する可能性も」
「金融状況はここ数カ月で著しく逼迫している」
「金融政策は制限的」
「低インフレへの持続的な回帰にはトレンドを下回る経済成長が必要」
「インフレは依然として高すぎる、さらなる進展が必要」
「賃金上昇率は2%のインフレと一致する水準まで徐々に低下を示している」
「持続的にトレンドを上回る成長を示すさらなる証拠は一段の引き締めを正当化する可能性」
「失業率上昇なしのインフレ率低下は大歓迎だが歴史的に異例」
「我々は非常に回復力のある経済を手にしている」
「経済は利上げの影響をいくらか受けにくいかもしれない」
「金利が長く十分に高くなかったのかもしれない」
「金利が経済に与える影響に根本的な変化は見られない」
「自然利子率は短期間で上昇した可能性がある」
「長期の潜在成長率は2%程度だと推測」
「現在の政策が引き締め過ぎでないことは明らか」
「現時点でのリスクは依然として高いインフレ」
「利回りの上昇は利上げの必要性低下を意味し得る」
「利回りの上昇について、FRBは見守るしかない」
20日02:55 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「リセッション(景気後退)を回避できると期待」
「米国の労働市場は緩和したが依然として堅調」
20日 05:37米格付け会社ムーディーズ
「イスラエルの格付け『A1』を引き下げる可能性」
20日 06:23 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁
「最新のデータは予想よりわずかに強い」
「必要に応じてさらなる利上げを支持する可能性」
20日 06:25ボスティック米アトランタ連銀総裁
「賃金と物価のスパイラルは見られない」
「賃金は現在の経済における遅行指標」
「FRBは雇用市場に大きなダメージを与えることなくインフレを制御できると信じている」
※時間は日本時間
<ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグナルが点灯中。孕み線で反落したものの転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 151.95(2022/10/21高値)
レジスタンス1 150.16(10/3高値)
前日終値 149.80
サポート1 149.07(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 148.74(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロドル=10/13安値を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けており、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。しかし、抱き線で反発して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は、転換線1.0568ドルを念頭に置き、13日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0640(10/12高値)
前日終値 1.0582
サポート1 1.0496(10/13安値)
<ユーロ円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。抱き線で切り返して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けたら手仕舞い。
レジスタンス1 159.76(8/30高値)
前日終値 158.52
サポート1 157.85(日足一目均衡表・転換線)
<豪ドル円=10/18高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けているものの、売りシグナルが優勢な展開となっている。2手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、18日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 95.67(10/18高値)
前日終値 94.80
サポート1 94.06(日足一目均衡表・雲の下限)
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