12日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続伸。終値は149.81円と前営業日NY終値(149.17円)と比べて64銭程度のドル高水準だった。米労働省が発表した9月米消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.7%上昇と予想の3.6%上昇を上回り、エネルギーと食品を除くコア指数は前年同月比4.1%上昇と市場予想と一致した。根強いインフレを示す内容だったことから、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが長く続くとの見方が改めて広がった。
前日の米10年債に続き、本日の30年債入札も「低調」だったことが分かると、米長期金利がさらに上昇。全般ドル買いが活発化し、4時過ぎには149.83円と日通し高値を更新した。
なお、米長期金利の指標である米10年債利回りは一時4.7261%前後まで上昇した。
ユーロドルは3営業日ぶりに反落。終値は1.0528ドルと前営業日NY終値(1.0620ドル)と比べて0.0092ドル程度のユーロ安水準だった。米CPIの上振れや低調な米国債入札をきっかけに、米長期金利が上昇すると全般ドル買いが広がった。4時前には一時1.0526ドルと日通し安値を更新した。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時106.60まで上昇した。
ユーロ円も3日ぶりに反落。終値は157.72円と前営業日NY終値(158.41円)と比べて69銭程度のユーロ安水準。米インフレ指標発表後にユーロドルが下落した影響を受けた。米長期金利の急上昇を受けて米国株が軟調に推移するとリスク・オフの円買いも入り、一時157.65円と日通し安値を更新した。
ユーロ円以外のクロス円も軟調だった。ダウ平均が一時340ドル超下落するとリスク回避の円買いが優勢となり、ポンド円は182.34円、豪ドル円は94.46円、NZドル円は88.72円、カナダドル円は109.31円、スイスフラン円は164.77円まで値を下げた。
昨日に米9月CPIを通過し、米連邦準備理事会(FRB)が当面、金利を高水準に維持するという観測が強まった。市場では再びFRBが12月に追加利上げに踏み切るとの観測が強まり、最近FRB高官らの発言を受けて低下気味だった米長期金利は上昇基調に戻しており、ドル円は再び米長期金利上昇VS介入警戒感の綱引きとなる。米9月CPIはインフレを2%に戻すのは容易ではないことが改めて示され、FRBがインフレを抑制できるまで金利は長期にわたりかなり高い水準にとどまる公算が大きい。海外ファンドや日本の個人投資家は世界で唯一金利がマイナスの円に対しての弱気姿勢も変わらず、日米金利差拡大を背景としたドル高・円安は継続し、ドル円は日本当局の円買い介入に警戒しながら150円の攻防が注目される。
介入でドル高・円安トレンドは変えられないとの見方が強いものの、ドル円が再び150円大台に接近し、市場は介入への警戒感が高まっている。為替政策を指揮する神田財務官の最近の発言から、相場の値動きが実体経済を反映せず、短期間に過度に変動した場合だけでなく、時間をかけて緩やかに円安が進んだ場合でも介入を実施する可能性があると、為替介入の基準について新しい解釈も出ている。
東京タイムでは中国の9月貿易収支、9月CPI・生産者物価指数(PPI)などの注目指標の発表が予定されており、同指標結果を受けた人民元の動きや中国株の動向がドル円相場に影響を与える可能性がある。中国当局は経済成長率の達成に向け、2023年の財政赤字率が上限を突破することを容認し、新たな景気刺激策を準備しているとの報道もあり、本日の中国の経済指標がさえない結果となれば中国当局が大型の支援策実施に向かうとの期待感が強まりそうだ。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 9月マネーストックM2
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○09:00 ◎ 7-9月期シンガポール国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比年率0.6%)
○09:00 ◎ シンガポール金融通貨庁(MAS)、金融政策発表
○10:30 ◎ 9月中国消費者物価指数(CPI、予想:前年比0.2%)
○10:30 ◎ 9月中国生産者物価指数(PPI、予想:前年比▲2.4%)
○未定 ◎ 9月中国貿易収支(予想:700億ドルの黒字)
○15:00 ◎ 9月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%/前年比6.3%)
コア指数(予想:前月比0.2%/前年比3.8%)
○15:30 ◇ 9月スイス生産者輸入価格
○15:45 ◇ 9月仏CPI改定値(予想:前月比▲0.5%/前年比4.9%)
○15:45 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○17:00 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○18:00 ◎ 8月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比0.1%/前年比▲3.5%)
○21:30 ◇ 9月米輸入物価指数(予想:前月比0.5%)
○22:00 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○22:00 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、パネルディスカッションに参加
○23:00 ◎ 10月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:67.2)
○14日01:30 ◎ カンリフBOE副総裁、講演
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(モロッコ・マラケシュ、最終日)
○14日 ニュージーランド総選挙
○15日 ポーランド総選挙
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
12日05:38 コリンズ米ボストン連銀総裁
「インフレリスクは経済活動の鈍化によりバランスが取れている」
「FOMCは現在漸進的で辛抱強い政策立案段階に入っている」
「おそらくピーク金利に近づいている可能性がある」
12日10:37 野口日銀審議委員
「YCC政策による金融緩和の継続のためにも、ある程度の柔軟化が必要」
「7月の柔軟化は金融緩和の縮小を意味するものではない」
「名目賃金が2%物価安定目標と整合的な水準で上昇し続けることが必要」
「(YCC再修正で)1%上限まではまだ少し余裕、慌てて何かをする必要性はない」
「マイナス金利の解除、2%物価目標の実現が確実になっていることが前提」
「物価上昇の要因は基本的には輸入価格上昇の転嫁、いまだに続いている」
「持続的な物価上昇にはまだ距離がある」
「10年債金利の0.8%台への上昇、インフレ期待反映したものではない」
「インフレ期待は相当上がってきているが、全体としてまだ弱い」
「2%物価目標の実現、インフレ期待に織り込まれてはいない」
「想定以上のインフレが続いている、23年度見通しも相当引き上げざるを得ない」
12日15:21 マクルーフ・アイルランド中銀総裁
「必要であればさらなる利上げを行う」
12日16:56 センテノ・ポルトガル中銀総裁
「データに合わせて政策を機敏に調整する必要がある」
「イスラエル紛争の影響はまだデータに表れていない」
「原油価格の動向を注視する必要がある」
12日17:34 ウンシュ・ベルギー中銀総裁
「我々はまだターミナルレート(利上げの最終到達点)に到達していない」
「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の下での保有国債償還金の再投資を続ける理由はない」
12日17:50 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「ユーロ圏のインフレの低下基調は好ましい」
「ユーロ圏のインフレ率のピークは過ぎた模様」
「欧州中央銀行(ECB)は、利上げという行動よりも、見守るという忍耐が必要」
「金融政策は、可能ならばソフトランディングに繋がるべき」
12日18:41 ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト
「金利についてさらに取り組む必要があるかどうか微妙なバランス」
「英インフレ率は依然として高すぎる」
12日19:07 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「インフレ率が2%まで低下するとは思えない」
12日20:34 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(9月14日分)
「インフレ解消のプロセスはほぼ予想通りに進んでいる」
「エネルギー価格がさらに上昇し、将来的にエネルギー価格の上昇ショックがより頻繁に起こる可能性があれば、インフレが押し上げられる可能性がある」
「インフレが長期間にわたって目標を上回るリスクが依然として存在しており、慎重さが求められる」
「多数のメンバーは25ベーシスポイントの利上げへの支持を表明。一時停止により引き締めサイクルが終わったとの憶測が生まれ、インフレが回復するリスクが高まる可能性があると主張」
「一部のメンバーは金利を現在の水準に維持することを希望すると表明。7月以降に入手可能となったデータは総合的にみてさらなる利上げを支持していないとみなした」
13日00:47 米ウォールストリート・ジャーナルのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者
「9月のCPIが、11月の米連邦準備理事会(FRB)の決定を含めて、どのように考えが変わるのかを判断するのは難しい」
「良いニュースはコアインフレが6月から著しく鈍化したこと」
「悪いニュースはインフレ率が2%ではなく3%に落ち着きつつあること」
12日23:32 バスレ・スロベニア中銀総裁
「インフレには上下両サイドのリスクがある」
「量的引き締め(QT)やすべてのオプションについて話し合う必要がある」
13日01:12 鈴木財務相
「中東情勢による経済的な影響を注視している」
13日01:31 財務省幹部
「G7は過度な為替の変動は問題と再確認」
※時間は日本時間
<ドル円=レンジ切り上がり転換線の頭打ちリスク後退>
陽線引け。一目均衡表・転換線前後の不安定な推移を脱し、149.83円まで上値を試した。
心理的節目150.00円、3日つけた年初来高値150.16円の上抜けをうかがう状態。レンジが切り上がったことで転換線の頭打ちとなるリスクは後退。警戒感はあるものの、調整があっても149.20円付近で上昇中の5日移動平均線近辺にとどめ高値更新を試す局面か。
レジスタンス2 150.89(10/6-10下落幅の倍返し)
レジスタンス1 150.16(10/3高値=年初来高値)
前日終値 149.81
サポート1 149.20(5日移動平均線)
<ユーロドル=転換線付近で底堅さ示すか注視>
陰線引け。来週半ばにも切り下がる可能性が高い一目均衡表・基準線1.0609ドル付近から下振れた。懸念されていた1.0580ドル台へ低下した21日移動平均線を追うような下落だけにとどまらず、一目・転換線1.0544ドルを割り込む動きとなった。本日朝方は転換線に少しづつ近づく動きとなっている。上昇傾向の転換線付近で底堅さを示すと予想。しっかりした支えを得られなければ6日安値や年初来安値をめどに1.05ドル割れ水準で下値を探ることになる。
レジスタンス1 1.0583(21日移動平均線)
前日終値 1.0528
サポート1 1.0483(10/6安値)
<ポンド円=上昇する見込みの転換線が水準回復の鍵>
大陰線引け。一目均衡表・雲の中で伸び悩み、低下へ転じた一目均衡表・基準線を追うように失速した。182円半ばで上昇中の90日移動平均線付近にまだとどまっているが、基準線181.32円に近づく動きが続くか注視。現水準181円から週明けには181.69円、ほどなく183円台へ上昇する見込みの一目・転換線が水準回復の鍵になるとみる。
レジスタンス1 183.08(10/12レンジ半値水準)
前日終値 182.39
サポート1 181.55(日足一目均衡表・雲の下限、10/10安値)
<NZドル円=転換線や21日線、基準線の下支えを期待>
大陰線引け。9月29日につけた年初来高値90.20円をまえに今週10・11日に89.93円で頭打ちとなった。大幅反落して一目均衡表・転換線88.52円に近づく動き。底打ちが予想される転換線の下支えが期待されるほか、やや手前88.61円前後で上昇中の21日移動平均線や下値88.31円の一目・基準線も支えになる可能性がある。
レジスタンス1 89.28(10/12レンジ半値水準)
前日終値 88.78
サポート1 88.31(日足一目均衡表・基準線)
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