◆ドル円、日銀金融政策発表を控えて週末まで神経質な展開
◆ドル円、日米政策発表の他にも重要指標が目白押し
◆ユーロドル、ECB 理事会やラガルド総裁の発言に注目
ドル円 135.00-145.00 円
ユーロドル 1.0800-1.1300 ドル
ドル円は、日米の金融政策発表が予定されており、特に日銀の政策決定次第では乱高下する可能性もあるため、非常に神経質な展開が予想される。
まず、25‐26 日の米連邦公開市場委員会(FOMC)については、今回は 0.25%の利上げがほ確実視されており、焦点となるのは次回 9 月以降の利上げ見通しとなる。市場では、7 月で利上げが打ち止めとなり、来年初旬から利下げが開始されるとの見方が広がっているが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は先月 29 日の講演で「年内に少なくともあと 2 回の追加利上げが必要になる公算が大きい」と発言している。市場と当局との間で認識のかい離は埋まっておらず、パウエル議長の会合後の定例記者会見での発言に注目が集まる。
28 日の日銀金融政策決定会合では、発表までのリーク記事などに十分警戒する必要があるだろう。7 日の内田日銀副総裁の発言をきっかけに長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正観測が高まったが、植田日銀総裁が 18 日に「持続的・安定的な物価 2%目標達成にはまだ距離がある」との認識を示したことで状況は一変。急速に進んだ円高の反動からドル円はショートカバーが強まった。ただ、YCC の変動幅拡大か撤廃、もしくは据え置かれるかどうかは依然として不透明。発表後は荒い値動きとなることを想定しておくべきだろう。
なお、来週は日米金融政策発表の他にも、24 日には 7 月米購買担当者景気指数(PMI)速報値、25 日に 7 月米消費者信頼感指数、27 日に 4-6 月期米国内総生産(GDP)速報値、28 日に 6 月米 PCEコアデフレータなど、重要指標が目白押しとなっている。ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)理事会およびラガルド ECB 総裁の会見に注目が集まる。来週の理事会では 0.25%の利上げが予想されているが、注目はその後の利上げ見通し。タカ派として知られるクノット・オランダ中銀総裁をはじめ多くの要人からハト派発言が相次いでいるため、市場では 9 月以降の利上げ観測が急速に低下している。
ドル円は、7 月 NY 連銀製造業景気指数が予想を上回ったことで 139.41 円まで上昇したが、139円台では頭が重く、翌 18 日には 6 月米小売売上高が弱かったことで 137.70 円まで失速。ただ、植田日銀総裁のハト派発言を受けて YCC 修正観測が後退すると一転して買い戻しが優勢に。20 日には、前週分の米新規失業保険申請件数が良好な内容だったことで米長期金利が急上昇すると一時 140.50 円まで買い上げられている。
また、ユーロドルは週前半に 1.1276 ドルまで上げたが、ECB 高官からのハト派発言を受けて上値は重く、米金利上昇も売りを促す形で一時 1.1119 ドルまで値を下げた。(了)
◆豪ドル、CPI の結果に注目
◆豪ドル、日米の金融政策決定後にレンジを抜け出せるか注意
◆SARB、2021 年からの連続利上げがストップ
豪ドル円 93.00-98.00 円
南ア・ランド円 7.60-8.00 円
豪ドルは荒い値動きに注意が必要となりそうだ。今週発表された 4 日開催分の豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨では、「利上げと据え置きの両方が検討されていた」ほか、「8 月理事会で改めて追加利上げの必要性を協議する方針」などが示された。その後に公表された 6 月分の豪雇用統計が良好な結果となったこともあり、金利先物市場では年末までにあと 2 回程度の利上げを織り込んでいる。ただ、来週に関しては重要イベントが数多く控えているため、豪ドル相場も結果次第で上下に振らされる可能性が高いだろう。豪州からは 26 日に 4-6 月期の四半期消費者物価指数(CPI)と 6 月の月次 CPI が発表予定。また、28 日には 4-6 月期の四半期卸売物価指数(PPI)の公表も控えている。CPI については、市場では 6 月・4-6 月期ともに前回からインフレの鈍化が見込まれているが、予想から乖離した場合には注意が必要となる。
また、来週は日米で金融政策が公表される。今週は植田日銀総裁の発言を受けて、イールドカーブ・コントロール(YCC)の修正観測は後退したが、27-28 日の日銀金融政策会合後には豪ドル円を含めたクロス円全般が改めて動意づきそうだ。さらに、25-26 日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。こちらも結果公表後は対ドルを中心とした豪ドルの値動きに注意しておきたい。
テクニカル面でみると、対ドルでは 0.66-0.69 ドルのレンジ内で上下する展開が続いているほか、対円でも 95 円を挟んだレンジ相場に入り込みつつあるようだ。明確な方向感を欠いた状態ではあるが、来週以降の豪・日・米などの重要イベントを消化してレンジ相場を抜け出せるか注目したい。
南アフリカ・ランド(ZAR)も荒い値動きに警戒している。南アフリカ準備銀行(SARB)は 20日に開催された金融政策決定会合で金利の据え置きを決定。2021 年 11 月からの連続利上げはいったん停止した格好となったが、声明では「インフレ見通しに対する深刻な上振れリスクは依然として残っている」「利上げのサイクルが終わったわけではない」などの見解を示した。
来週 27 日に 6 月 PPI の発表が予定されているが、相場への影響は限定的となりそうだ。基本的には、日米金融政策などの外部材料に左右されるだろう。日銀金融政策決定会合を受けたクロス円の動向や FOMC 後のドル相場の推移、更には投資家のリスク志向の行方などに注目しておきたい。
豪ドルは下げ渋り。週明けから全般ドルの買い戻しが進んだことで対ドルを中心に弱含んでいたが、20 日の豪雇用統計が良好な結果となったことでいったん下げ止まった。対円でも週初からの売りが一巡すると、日銀総裁発言を受けた円売りの流れに沿って買い戻された。
ZAR は対円で足もとの底堅い地合いが継続。対ドルでも買い先行となったが、20 日の SARB 金融政策決定後はやや頭が重くなった。(了)
◆26 日の FOMC、28 日の日銀会合結果を見定めることに
◆ポンド、ECB 理事会後のユーロドル、ユーロポンドの動向に注意
◆加ドル、インフレ大幅減速も利上げ観測は残ったまま
ポンド円 178.00-183.00 円
加ドル円 104.50-108.00 円
金融市場にとって非常に重要となるこの週、ポンドはまず、週初に発表の 7 月英製造業とサービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値で足もとの景気動向を確認。製造業 PMI は 1 年ほど景況判断の境目である 50 を割り込んでおり、下振れた 6 月分の流れが続いてしまうかがポイントだろう。週半ばからは、25-26 日の米連邦公開市場委員会(FOMC)、27 日が欧州中央銀行(ECB)定例理事会、そして 27-28 日の日銀金融政策決定会合を一つずつ見定めながらの取引になる。
0.25%の利上げが確実視される FOMC では、秋以降の会合に関するヒントを声明やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見で探ることになる。タカ派姿勢と受けとめられた場合、市場が織り込む「今回で利上げ打ち止め」の巻き戻しには注意したい。特に、インフレ減速を受けて過度な英金利先高観が後退しつつあるため、ポンドは対ドルで売りが強まる可能性が出てくる。
また、ECB 理事会については、政策結果やラガルド ECB 総裁の会見を受けたユーロの対ドルでの動きにポンドはまず追随するだろうが、難しいのはユーロポンドの影響を受けたときだろう。両通貨ペアの方向性を同時に注視しておく必要がある。
28 日の日銀会合については、一時高まったイールドカーブ・コントロール(YCC)修正への思惑は、植田日銀総裁の発言を受けて弱まりつつある。ただ、本邦物価動向からも YCC 許容変動幅の拡大は海外勢が飛びつきやすい材料であることに変わりない。会合直前や会合当日になって情報が漏れ伝わる可能性もあり、ニュースのヘッドラインには常に注意が必要だろう。
加ドルも、米日の金融政策の結果を受けたドル相場や円相場の動きに左右されることになるだろう。なお、18 日発表の 6 月カナダ消費者物価指数(CPI)は前年比 2.8%上昇と 2 年 3 カ月ぶりの低い伸び率となった。市場予想以上の減速であり、カナダ中銀(BOC)の許容レンジ(1-3%)内にも収まっている。もっとも 40 年ぶりの高インフレ率を記録した前年同月からの反動が大きいほか、CPI トリムが予想比上振れたこともあり、年後半の BOC 利上げ観測は残ったままだ。28 日発表予定の 5 月国内総生産(GDP)の結果を受けて、カナダの金利見通しに変化があるのかどうか。注意しておきたい。
ポンドは上値が重かった。19 日に発表された 6 月英 CPI は前年比 7.9%と前回からの鈍化予想を更に下回り、2022 年 3 月以来の 7%台を記録。英中銀の金融引き締め長期化・強化観測がやや後退し、ポンドは戻り売りが優勢となった。対ドルでは 1.31 ドル台から 1.28 ドル半ば、対円では 182 円台から一時 180 円割れまで弱含んだ。加ドルは対ドルで 1.31 加ドル前半まで強含む場面があった。予想を下回った CPI を受けても加ドル売りは 1.32 加ドル半ばまで。底堅い原油先物が支えとなったほか、全般ドル高が進んだ影響も受けた。対円では 104 円前半から 106 円半ばまで切り返した。YCC 修正観測の後退が円売り加ドル買いに繋がった。(了)
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